
左から清田代表、川村エミコさん、森田専務(撮影/尾藤能暢)
恋の悩みが厄介なのは、相手の性格や気持ち、お互いのタイミング、置かれている状況など、さまざまなファクターが複雑に混ざり合っているために、「こうすれば絶対にうまくいく」という明確な解決法が用意されていないこと。そんなアドリブ力が問われるフィールドに立たされていることに、薄々、気づきながらも、自分の陥っているネガティブな状況を打破するヒントや答えがあるかもしれないと手を伸ばす恋愛指南本。でも、一辺倒で押しつけがましかったり、「それができれば苦労しないよ……」と感じるなど、参考にならなかった経験がある人も少なくないのではないでしょうか。
そんな人に手に取ってみてほしいのが、“失恋ホスト”として1000人以上の女性たちのお悩みに耳を傾けてきた桃山商事による『生き抜くための恋愛相談』(イースト・プレス)。「日経ウーマンオンライン」の人気連載を書籍化したもので、「付き合う前にセックスをすると、なぜ恋人になれないの?」「もういっそ、セフレか不倫が楽かも」「重い女ってどんな女?」といった読者が抱えるリアルなお悩みに、桃山商事のメンバーがとことん耳を傾け、向き合うというものです。
今回は、本著を読んだ、お笑いコンビ「たんぽぽ」の川村エミコさんと、桃山商事の清田代表、森田専務との鼎談を敢行。川村さんの「歳を重ねるたびに恋がしづらくなる」というお悩みを中心に、恋の悩みを紐解いていきます。
「自分の中にしか恋愛の辞書や法則はないと思ってます」
川村エミコさん(以下、川村) 私はよく恋愛本を読むのですが、「こうだったら、こう」という一問一答が多いなと感じていて。でも『生き抜くための恋愛相談』は少し違い、恋を理論的に、とても丁寧に分析しているところが新しいなと思いました。
清田代表(以下、清田) わっ、本にいろいろと書き込みをしてくれているんですね!

川村さんのカキコミ!
川村 相談者のお悩みに対して自分が思ったことを書いてみたんです。「大学生でこういう経験をしておいたほうがいい」「28歳でこの質問をしていちゃダメ」とか(笑)。あとは、自分なりの回答も書き込んだのですが、だいたい桃山商事さんの答えと一緒なんです。「この女性は何でこんな簡単なことがわからないの?」と思ったりもしたけど、女子って他人の恋愛はよくわかるのに、当事者になった途端、いろいろなことが見えなくなるんですよね。
森田専務(以下、森田) 我々は基本、ごく当たり前のことしか言ってないと思うんですよ。
川村 でも、それが大事だったりする。細やかな分析を読んでいると、恋に対して冷静になれる時間がもらえるんだと思います。共感したのは、“オールorナッシング思考”。あと、「自己開示が色気やムードの正体ではないかと我々は考えています」という一節もすごいと思い、星マークをつけました(笑)。
そして、これは失礼なんですけど、お二人はきっとモテなかったんじゃないかと本を読んでいて思いました(笑)。イケイケな人が回答していたら、たとえ同じ答えでも、一歩引いちゃうかもしれないなと。
清田 いや、本当にその通りです(笑)。僕は学生の頃から“ミスターいい人止まり”って言われてましたし……。ただ、失恋ホストの活動をする上では、それが役に立っているのかも。マウントを取らないしゃべり方は大事にしているところですね。
川村 だからこそ心を開けるし、背中を押してもらえる優しい本だと思いました。いかりや長介さんの「よし、次いってみよう!」という声が聞こえてくる感じ(笑)。大学生や若い人に読んでほしいですね。でも、一番強く思ったのは、もっと恋をしておけばよかったということですね。今は38歳ですが、20代に経験を重ねて、「私は、ここまでは我慢できる」「こうするとうまくいく」といった傾向と対策のようなものを見つけておけば、今、もっとスムーズに恋愛ができていたんじゃないかと思うんです。
清田 ケーススタディということですね。
川村 そう。知っていれば、好きな人ができたときのアプローチの仕方がわかるかなって。経験不足ゆえ、いつも私には判断材料がなさすぎるって感じるんですよ。
清田 例えば女友だちと情報共有をしたりとかはないんですか?
川村 もちろん、しますよ。でも、自分の中にしか恋愛の辞書や法則はないと思っていて。自分で経験をして学ぶしかない。人生もそうですけど、自分だけのうまくいくロジックや方程式というものがあって、それは、ひとりひとりまったく違う。
清田 我々のところに相談にくる人には大きく分けて二つのパターンがあって、「答えは自分の中にある」と考える人と、「答えは自分の外側にある」と発想する人です。我々は後者を“受験型モデル”と呼んでいて、こちらのほうが多数派のように感じるんですが、川村さんの考え方は明らかに前者ですよね。