私が「黒人の人形」を作るわけ。そして浜ちゃんの黒塗りについて

文=堂本かおる

カルチャー 2018.01.11 16:30

「肌の色、髪の質が異なる人形たち」

 新年早々、ダウンタウン浜田雅功の黒塗り(ブラックフェイス)問題が大揉めに揉めている。大晦日恒例の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)で浜田がアメリカの黒人俳優エディ・マーフィーに扮した際、顔を真っ黒に塗って登場した件だ。

 ブラックフェイスに関して私は過去に何度も書いている。ニューヨークの黒人地区ハーレムに長年暮らす者として、黒人を家族に持つ身として、いろいろ思うところがあるからだ。最近では米版ヴォーグ誌が掲載したスーパーモデル、カーリー・クロスの芸者ルック問題についての記事「白人モデのゲイシャ写真が炎上した本当の理由~”文化の盗用”と”ホワイト・ウォッシュ”」でブラックフェイスについても詳しく言及している。

 実のところ、今回は私が以前から作っている「黒人の人形」について書く予定だった。奇しくもブラックフェイス問題とタイミングがかちあってしまったので、両者をからめて書いてみたい。

黒人の子供たちの「肌色」クレヨン

 私はかつてハーレムYMCAのアフタースクール・プログラム(学童保育)で働いていた。2000年から始めて78年ほど続けただろうか。場所柄、通ってくる子供のほぼ全員が黒人かラティーノだった。キンダー(5歳児)から中高生までいたが、私は主にキンダーと小学生のコンピュータ室を担当した。といってもワードやエクセルなどを本格的に教えるのではなく、放課後の自由時間の一環として子供用のソフトで遊ばせることが多かった。

 当時、女の子に人気のあったソフトが「バービー」だった。着せ替え人形式にヘアスタイルやドレスを選んでいくのだが、最初にバービーの肌の色と目の色を選ぶ。毎日、何人もの女の子が遊ぶ様子を眺めているうちに、あるパターンに気付いた。黒人の少女たちはバービーの肌の色に白でも、いちばん濃い茶色でもなく、中間の薄い茶色を選ぶことが多かった。少女本人の肌の色をかならずしも反映していなかった。きれいな濃いチョコレートブラウンの肌をした少女もカフェオレ色を選ぶのだ。

 コンピュータに飽きた子供には用意してある塗り絵をさせることもあった。この時も日本人の私には思いもつかない事象があった。キンダーの女の子は塗り絵のキャラクターの肌を塗るとき、何色もあるクレヨンと自分の小さな手の甲の色を比べ、いちばん近い色を選んだ。別の女の子、髪をいつも見事な長いブレイズに編んでいた10歳のその子は、人魚の塗り絵をしながら私に滔々とレクチャーをしてくれた。

「人魚はね、金髪じゃないの。人魚はわたしとおなじブラックなの」

 そう言いながら、人魚の肌を自分と同じ濃い茶色で塗った。

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