集団強姦裁判、痴漢疑惑からの線路逃走、伊藤詩織、#metoo……2017年に起きた性暴力報道を振り返る

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伊藤詩織氏によるレイプ被害の告発

 そして5月。ジャーナリストの伊藤詩織氏が、同じくジャーナリストの山口敬之氏からレイプ被害にあったことを告発する記事が『週刊新潮』(新潮社)に掲載された。同月29日には伊藤詩織氏が実名で顔を出して司法記者クラブにて記者会見を行った。この国で、大物ジャーナリストからのレイプ被害を実名顔出しで訴えるという大変センセーショナルな出来事であったが、本事件について積極的に報じるメディアは少なかった。

 10月18日に伊藤氏は、著書『BlackBox』を刊行。それから数日後の25日には外国特派員協会にて2度目の記者会見を行った。当初から今まで、伊藤氏が一貫して訴えているのは自身が遭った被害についてだけでなく、性暴力にまつわる日本の司法や社会のあり方、システムについてだった。

 彼女は現在、民事訴訟を起こし真実を明らかにするために闘っている。私たちは決して、この事件のことを忘れてはいけない。まだ、何も終わってはいない。

世界中に広がり始めた#metoo運動

 10月。超大物映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏の20年以上にも渡るセクシュアル・ハラスメント、性暴力疑惑が報道された。その後、アンジェリーナ・ジョリー氏を含む多くの俳優たちから同氏による性暴力の被害の訴えが噴出した。14日、米映画芸術科学アカデミーはワインスタイン氏の会員資格の剥奪を決定した

 これらの告発は、自身が過去に遭遇した性暴力の被害について #metoo (私も)というハッシュタグをつけてツイッターなどでつぶやく運動を再熱させ、大きなムーブメントにまで発展した。

 今月17日、著名ブロガーであるはあちゅう氏が電通社員時代に受けたセクハラ、パワハラ被害について相手の実名を出して告発したのである。伊藤氏の告発があった日本でも、#metooを使った発信を行っていた人はいたが、はあちゅう氏の告発を皮切りに一気にその流れが加速したのだ。12月16日までの2カ月間で約6万だった#metooに関連するツイートが、今月17日、18日の2日間のみで7万を超えたのだという

性暴力のない社会へ変わっていくために私たちは何ができるだろう

 今年一年だけでも「集団強姦」「痴漢疑惑線路逃走事件」「伊藤詩織氏の告発」「#metooムーブメント」と、これだけ多くの性暴力にまつわる話題があったことがわかる。忘れてはならないのは、報道された事件は実際に起こっている性暴力のうちのほんの一部でしかないということ、そしてこうした事件はこれまでも起きていた、ということだ。報道されない事件、そしてそもそも事件にさえなっていない性暴力がたくさんある。2014年の内閣府の調査によると異性から無理やりに性交された人のうち、警察に相談に行ったのはわずか4.3%だ。また“よくある些細なこと”であり仕方のないことだと思いこまされている性暴力、セクシュアル・ハラスメントは日常のあちこちで今も毎日起こっている。

 性暴力という社会問題はようやく告発する声が上がってきたという段階であり、まだ解決していない。刑法が改正され性犯罪の厳罰化や、これまで女性に限定していた被害者に男性も含むなど、少しずつ変化は見え始めている。

 私たちは決してこれらの事件を忘れてはいけない。そして、私たちは確実に前に進んでいかなければいけない。仕方のない性暴力などひとつもない。2018年、性暴力のない社会へ変わっていくために、性暴力の被害者が救われる社会になるために、私たちは何ができるだろうか。
(もにか)

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