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トランプ「ハイチとアフリカは便所」発言〜「小学4年生」レベルの人種差別主義者

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ドナルド・トランプinstagramより

 アメリカ合衆国大統領がハイチ、アフリカ諸国、南米のエルサルバドルを「Shithole(シットホール)」と呼んだ。

「俺たちはなぜ、便所(shithole)の国から来た人間を居させてるんだ?」
“Why are we having all these people from shithole countries come here?”

 ”shithole” は直訳すると「糞の穴」だが、第一報を読んだときには適訳が思い浮かばず、とりあえず「便所」と訳してツイートした。すぐさま在米の日本人から「そんなレベルじゃない」とリプライがきた。続いて「肥溜め」「糞壺」など、さまざまな訳語が飛び交い始めた。世界各国で同様のことが起き、日本を含めた各国のメディアが訳語に苦労していること自体がニュースとして伝えられた。

 CNNでは当初、「Shithole」をそのまま使うことはせず、キャスターは「S-hole」と言った。だが、この言葉の酷さはありのままに伝えるしかないと判断され、やがて番組中に「Shithole」という言葉があふれた。何度も何度も繰り返された。女性キャスターも使った。トランプの品位の無さ、言葉の貧困は誰もがすでに知るところだが、これはあまりにも酷い言葉だ。メディアですら、あまりの酷さにショックを受けたのだ。”shit”という言葉が昼日中に繰り返されるなど、米国メディア史上、前代未聞の出来事だった。

移民を追い出せないことに怒って「便所」

 1月11日、トランプはホワイトハウスで特定の議員たちとのミーティングをおこなった。議題は多数ある移民問題のうちDACAについてだった。

 DACAは子供の頃に親に連れられるなどして、つまり自分の意思ではなく違法滞在者としてアメリカにやってきた若者たち(通称ドリーマー)を保護する法だ。約80万人のドリーマーの中には英語しか話さず、自国の記憶もない者もいる。彼らを祖国に強制送還することは人道に背き、かつアメリカで教育を受けた人材の損失でもあるとしてオバマ大統領が制定したものだ。

 昨年末にトランプはDACA廃止を発表したが、80万人もの送還は現実的ではなく、ミーティングでは党派を超えて妥協案が話し合われたのだった。しかしトランプはドリーマーを米国に留まらせる妥協案に怒り、そこから話はやはりトランプが廃止や縮小を訴えている永住権宝くじ、親族呼び寄せビザ、そして紛争国や災害国からの避難民を受け入れるTPS(一時保護資格)という法に及んだ。

 トランプは昨年、ハイチ大地震の被災者対象のTPSを解除し、今、紛争が理由でTPSが発効されているエルサルバドル人に対してもTPSを解除しようとしている。こうした話し合いの中でトランプはハイチ、アフリカ諸国、エルサルバドルを指して、「なぜ俺たちは便所(Shithole)の国からの人間をアメリカに居させるんだ?」と言い放った。

 「shit」(クソ)はカースワードであり、子供が使えば叱られる言葉である。教師に向かって使えば、学校によっては停学もあり得るだろう。それほどの言葉を大統領が使ったのである。しかも相手を定めずに漠然とではなく、ハイチ、アフリカ諸国、エルサルバドルとはっきり相手を限定して使ったのである。それらの国の人々、アメリカに暮らす同国からの移民やその二世や三世たちの顔に、それこそ「shit(糞便)」を投げ付ける、許されざる言葉である。

「ハイチ人=エイズ」「アフリカ人=小屋」

 トランプの言葉遣いについては以前よりメディアや言語の専門家が幾度も分析している。理由は今回の「便所」のように大統領どころか、まともな人間としてあるまじき言葉を多用すること、使う言葉に相当な偏りがあること、ボキャブラリーや文法が粗末、有り体にいえば幼稚であることが理由だ。また、特定の相手への執拗な攻撃を言葉によって長期に渡り、何度も繰り返すパターンは精神医学的にも取りざたされている。

 トランプは先月も「ハイチ人は全員AIDS」「アフリカ人はいったんアメリカに来ると掘立て小屋に戻らない」と発言している。「ハイチ人=エイズ」「アフリカ人=小屋に住んでいる」など小学生レベルのステレオタイプだ。かつ「○○は “全員” ▲▲」の話法も非常に幼い。また、なぜかハイチとアフリカにこだわっていることもみて取れる。

 幼稚さと執拗さを表す例として、敵とみなす相手への「あだ名」もある。大統領選中、対立候補で饒舌なテッド・クルーズには「嘘つきテッド Lyin’ Ted」、若く、童顔のマルコ・ルビオには「リトル・マルコ Little Marco」とあだ名を付け、繰り返し使い続けた。ヒラリー・クリントンへの「不正なヒラリー Crooked Hillary」に及んではいまだに使っている。トランプ批判の急先鋒であるウォーレン議員はネイティブ・アメリカン絡みで「ポカホンタス Pocahontas」、やはりトランプ批判をおこなったニュースキャスターには「IQが低いクレイジー・ミカ Low I.Q. Crazy Mika」「キチガイ・ジョー Psycho Joe」、北朝鮮の金正恩総書記は「ロケットマン Rocket Man」といった具合だ。いずれも大統領候補者/大統領としてありえない言葉である。

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堂本かおる

ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

サイト:http://www.nybct.com/

ブログ:ハーレム・ジャーナル

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