セクハラは男性の問題である。立場上の優位性ありきの関係を「プライベートの恋愛」と誤解する人たち

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立場上の優位性に女性蔑視が加わると認知が激しく歪む?

清田 著書には主に、会社の上司や経営者といった立場にある男性たちのセクハラ加害が紹介されています。我々の元に来た相談には、加害男性が大学の指導教授や仕事のクライアントというケースがあったし、一連の「#MeToo」で告発された男性の中には、映画監督やプロデューサー、編集者や演出家といった人たちがいました。職業は違えど、彼らはみな権力や権限を握る立場の人ですよね。

金子 加害者となる男性たちの話を聞いていると、とにかく自分の置かれている立場をまったく理解していないことが気になります。人間関係そのものに立場や権力が絡んでいて、自分の言動がどのように受け止められることになるのか、相手がどういう気持ちになるのかという点について、あまりに鈍感なんです。だから平気で相手の意思を無視してしまうし、自分の意思を押しつけていることにまるで自覚がない。

清田 それに加え、セクハラ加害者たちは一様に女性蔑視や差別意識が強いタイプの人でしたよね。正社員はダメだけど派遣社員の女性にはセクハラしていいという感覚を持っていたり、「離婚経験のある女性は男に飢えている」というとんでもない偏見を持っていたり……。前に桃山商事でも、ライターやイラストレーター、デザイナーやミュージシャンといったフリーランスで働く女性たちのお悩みを聞き集めたことがあったんですが、彼女たちの中にもお客さんや仕事の発注者から性的な嫌がらせを受けた経験のある人が少なくありませんでした。

清田代表提供、セクハラLINE

清田代表提供、セクハラLINE

清田 例えばこれは、知り合いのフリーライター女性(20代)が仕事相手の男性(40代)から受け取ったLINEの一部なんですが、内容が完全にセクハラですよね。断ってもしつこく誘ってくる。でも仕事相手だから強くは拒否できない。それでますます相手がつけあがるという地獄のような構造で。それにしても、こうして晒されるリスクだって十分あるのに、なぜこんな狂った内容のLINEを送ってしまえるのか……。

金子 そうなんですよね。力関係で強い立場にいるという優位性に差別的な視点が加わると、相手の拒否すら合意に見えてくるという、傲慢としか言いようのない思い込みに囚われるケースが本当によく見られます。相手がNOと言わなかったり、抵抗が弱かったりということをOKサインと見なしてしまう。それらは「女は合意をストレートに表現しないものだ」「弱い抵抗は女らしい合意の表現」などという身勝手な解釈に支えられています。人権感覚の欠如としか言いようのない話なんですが。

清田 さらに著書には、事情を聞きにきた相談員の金子先生に対し、「同じ男だからわかるでしょ?」と理解を求めてくる加害者男性や、社長のセクハラを知りながらも、ニヤニヤと見て見ぬふりをした社員たちの姿なども描かれています。このあたりはホモソーシャルの問題と深く関係しているものではないかと感じました。

金子 こういった男性たちと日々接していると、彼らは一体何を考えているのだろうか、なぜ自らの犯したセクハラを自覚できないのだろうか……という疑問が頭から離れなくなってしまったんです。男たちは壊れ始めているのではないか──。こうした加害者たちの意識を“男性問題”として俎上にあげない限り、問題の本質は見えてこないだろうと思って書いたのが『壊れる男たち』でした。

清田代表、金子先生

清田代表、金子先生

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