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NHK青山祐子アナの6年産休・育休は「迷惑」「民間ならありえない」? 育児休業についての誤解

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神田うの青山祐子

神田うのブログより

 タレントのフィフィ(41)が1227日、自身のツイッターで、NKHの青山祐子アナウンサー(45)が約6年間産前産後休業と育児休業を取得していることに対して批判的な意見をツイートした。

 20111月に一般男性と青山アナは、20123月に長男、20136月に長女、20157月に次男、そして20172月に次女を出産し、現在育児休業中。最後に出演したのは20121月放送の『スタジオパークからこんにちは』(NHK系)で、およそ6年間に渡って産前産後休暇および育児休業を継続して取得しているということだ。

 1226日、そんな青山アナが、神田うの主催のクリスマス・ホームパーティーに参加したらしく、コスプレ姿で神田のブログに登場。アン・ミカ、植松晃士、ドン小西、園山真希絵、松本志のぶ、中島史恵など、神田うのは実に多くの友人を招いたようだ。この模様をデイリースポーツが報じたところ、翌27日フィフィは当該記事を貼り付けて次のようにツイートした。

『批判覚悟で言うが、これが民間ならご自由に。でも受信料を徴収するNHKで、こんな長期産休中に一部給与が支払われ続けてるとすれば、それって報酬としてなの?』(※現在は削除)。
6年産休を認めてポストを確保させる余裕、民間には無いね。無給だとしてもここまで長期で社保とか手当とか何らかの保障して、これを働くママの子育て支援と言うなら違う気がする。改めて女性のための制度を考えさせられる。』
『子供産むことは素晴らしいもっと産んでゆっくり休んで、職場にも連れてきていいから、だってお母さんは凄い!って最近は逆に持ち上げ過ぎな気もします。産まないより産めない女性もいるんだし。てか、母親ってだけで就労を保障してあげなきゃって風潮、女性の才能をちゃんと評価してる社会と思えない。』

 フィフィはユーザーからのリプライに対しても、このように反論し持論を展開している。

『あなたは職場における働くママは産んだ時点で義務を果たしたことになり、権利を得ることができるというお考えでしょうが、私はその考えが違っていて、働くママは働いているからその育児のサポートを要求する権利があると思ってるんです。長期になるとその権利をどこまで保障できるかその問題提起です。』
『私は権利は義務を果たした上に保障されるべきと言う考え方なんです。6年間の育休が働くママの子育て支援という定義で見て良いものなのか、これをそう思わない人もいる。今回はこの女子アナを非難する目的でなく、問題提起です。どこまでが必要な子育て支援なのか制度を考える上で必要だと思ったので。』

 確かにNHKの収益はおよそ8割が受信料で(そのほかコンテンツ貸出料や子会社収益などがある)、職員の給与はそこから支払われる。フィフィは、国民の支払う受信料によって職員の報酬が賄われるNHKという組織において、職員が6年も継続して産休・育休を取得していることがおかしい、と考えているようだ。

 しかし、「受信料が給与に」ということと「職員の産休・育休」とを関連づけるのはミスリードではないだろうか。

 ほとんどの会社において、産前産後休業および育児休業を取得している労働者に対して給料の支払いはない。つまり、その休業は「有給休暇」ではなく「無給休暇」である。あるのは、産休だと健康保険からの出産手当金、育休だと雇用保険からの育児休業給付金だ。休業する社員が雇用保険に加入しており、育休前の賃金支払基礎日数を勤めていれば、という条件つきだが。

 まず産前産後休業では、社会保険の被保険者が出産のため職務を休んだことによって給料が受けられない際、社会保険から「出産手当金」が支給される。これは「出産育児一時金」とは別になる(国民健康保険は、出産手当金なし)。なお、産休中は社会保険料と厚生年金保険料の負担はないものとされている。

※出産育児一時金
出産にかかる費用(分娩・入院費用など)の補助として支払われる。金額は42万円。お祝いの意味合いではなく、母体保護の考え方によるもの。

 原則、子が1歳に達するまでの間に取得できる育児休業においては、その間に休業前の8割以上の給料が会社から支払われている場合を除き、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されることになっている。育休中は社会保険料、厚生年金ともに事業主からの届出により、事業主負担分、被保険者負担分が免除される。ただし、住民税は支払わなければならない。

 ちなみに「育児休業給付金」は休業者の性別を男女問わず支給され、また保育所に入所できず待機児童となるなど特別な事情がある場合は16カ月まで休業期間延長に伴い支給される。支給額は、取得開始から180日目までは休業開始時賃金日額×支給日数×67%、181日目以降は、休業開始時賃金日額×支給日数×50%となっている。

 そして、産前産後休業にしろ育児休業にしろ、取得に当たっての規定が定められている。青山アナがおよそ6年間産休育休を取得することが可能だとすれば、それは彼女が(会社の制度や法律上の)取得条件を満たしている、つまり取得するための権利を持っている(フィフィが言う“義務”を果たしている)からではないか。そもそも何のための“保険”か、ということだ。青山アナに限らず多くの労働者は毎月労働をして保険料を納めてきたことで十分に“保険”を使う権利は得ている。ちなみにNHKは職員の給与についてwebにも公開している。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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