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ブラック校則は何のため? かえって生徒の居場所を奪いかねない不合理な校則

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Photo by Dick Thomas Johnson from Flickr

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 昨年10月、大阪府の府立高校に通う女子生徒(18)が、生まれつき茶色い髪を黒染めするよう教師らに指導され不登校を余儀なくされたとして、府に対して賠償責任を求める提訴を行った。

 報道によると、女子生徒の髪は生まれつき色素が薄く茶色く見えるため、2015年春の入学時に母親が学校に事情を説明していたが、教師らは女子生徒に“黒染め”するよう指導。女子生徒は指導に応じ黒染めを行ったが、色が戻る度に染め直すように注意され、2016年春頃から頭皮がかぶれ痛みを感じるようになった。そのことを訴えても学校側の指導に変化はなく、女子生徒は黒染めが不十分であることを理由に、学校行事の参加を禁じられたり、指導によって過呼吸を引き起こしたこともあったという。20169月には学校から授業の出席を禁じられ、不登校にならざるを得なくなった。女子生徒の提訴に対して、大阪府は争う姿勢を見せている。

 児童・生徒の髪色をめぐる学校側の対応は、今年5月に朝日新聞が「地毛証明書」について報道した際にも話題になったが、髪色に限らず、学校の「校則」にまつわる疑問は、教育を受けた多くの人が持っているだろう。私自身も、小中高、主に中学時代、教員から校則違反を指摘されては度重なる注意を受けてきた。

 大阪府の件をきっかけにBuzzFeed JapanTwitter上で募集した「#こんな校則いらない」体験談には、服装や髪型など外見に関するものが多く寄せられていた。一番目についたのは制服の着こなしや頭髪、眉毛など「ファッション(おしゃれ)」にまつわる校則である。具体的には、ポニーテール禁止、お団子ヘア禁止、髪を結ぶ位置は耳より下に限る、ツーブロック禁止、巻き髪禁止、ハーフアップ禁止、ヘアゴムの色指定(黒・茶色が多い)、くるぶしソックス禁止、前髪は眉より上、眉毛の手入れ禁止、下着の色は白、制汗剤禁止、メイク禁止、リュックサック禁止、バッグに付けるキーホルダーに対する制約(付けていいのは1個まで、サイズは5センチ以内、など)など。

 ポニーテール禁止、というツイートが少なくないことに驚かされた。私が在籍した中・高でも、茶髪・パーマが禁止なだけでなく髪が肩より下まである女子は結ぶように指導がなされ、中学に限ってはヘアゴムの色も黒・茶・紺と定められていた(ピンクや赤やベージュは注意され、長さが肩より上の女子には「外しても困らない」と外すように求めたり)が、ポニーテール禁止というのは一度も聞いたことがなかった。低い位置で結ぶことを推奨されているのか、おかっぱ(ショートヘア)以外禁止ということなのか。一部ではポニーテール禁止の理由として「女子のうなじが男子の欲情を煽る可能性があるため」だとの説明もあった。

 リュックサック禁止の学校があることは、個人的に意外に感じた。私の通った中学ではむしろ肩掛けカバンやトーとバッグではなくリュックが推奨されていた。バッグに多量のキーホルダーを付けることに関しては特に校則で定めはなかったが、中学時代に個別で注意を受けた思い出がある(学校生活にふさわしくない云々)。下着の色は白、というのも、小中高で一度も経験がない。色つきのキャミソールやブラジャーが透けて見えたとして、担任が男性だった場合は、別の女性教員が注意するのだろうか。女性教員であってもそんなことはされたくないし、教員自身もしたくないのでは。

 一方、眉毛の手入れ禁止や制汗剤禁止は私が通っていた学校でも徹底されていた。中学時代はファッション雑誌を参考に眉の手入れをしていたのだが、「眉毛が細い」と何度も何度も注意を受けた(教員だけでなく先輩からも目をつけられた)。教員の注意に対して私が「じゃあ当分は整える程度にする」と答えたら、すかさず「整えなくていいっ!」とレスポンスがあったのが、印象に残っている。あれはつまり、中学生はおしゃれしなくていい(するな)という意味だった。おしゃれする=色気づくと、不良グループの勧誘を受けるなどして非行に走り、不純異性交遊、飲酒喫煙、無免許運転、窃盗、傷害事件、予期せぬ妊娠など様々なトラブルに巻き込まれてしまうと想定されているのだろう。なかなか飛躍している。

 制汗剤についても同様に、色気づくこととイコールと見なされるからNGだったのだろうか。当時は8×4BanAg+などの制汗剤が流行しており、特に夏場、女子たちは競うように思い思いの制汗剤を見せ合ったり貸し合ったりしていたのだが、教員はこれを禁じた。ただ、これに関しては“スメハラ”という事情もあり、実際に加減を知らずシューシューする女子生徒もいたため制汗剤のにおいで体調不良を起こした生徒がいたというから、やむを得ないかもしれない。汗対策・ニオイ対策・エチケットを踏まえ、全面的に禁止するのではなく一定のルール(無香料のものに限るとか)の元、持ち込み・使用を認めるなど、生徒間でのルールづくりを試みてもよかったのではないかと、今なら思う。とはいえ、制汗剤を使うタイミングというのは体育や部活後の「着替え」中であり、女子生徒の着替え中に教員が立ち入ることはなかったため、禁止された後も皆、好きな制汗剤を使っているのが実情だった。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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