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奥山佳恵がダウン症次男の通常学級進学を決意したことに、的外れな批判が殺到。共生社会と合理的配慮、まだまだ周知は足りない

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 もともと3つの選択肢のうちのひとつである通常学級を選択したのであり、そもそも自治体教育委員会も最終的には保護者の意見を大切にする意向なので、奥山さんが批判されるいわれはないはずだ。しかし現在、ネット上には、「次男がかわいそう(=親のエゴ)」および「他の児童の負担を考えろ」といった具合の奥山批判が繰り広げられている。

 周知度が低いのかもしれないが、国としては現在、障害の有無に関わらず、「誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型」の「共生社会」の形成に向けて動きを進めている。まず、平成25年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定され、平成2841日から施行。これは国連の「障害者の権利に関する条約」を受けての動きだ。そして今、インクルーシブ教育システムの構築や、障害者差別の解消および「合理的配慮」を推し進めている最中である。内閣府HPには「合理的配慮」についての説明や具体例が詳細に記されており、たとえば障害を理由として、窓口対応の拒否、受験や合格の拒否、物件紹介の拒否は、不当な差別的取り合いであることなどが記されている。

 そこには、障害を持つ児童の就学先決定の仕組みに関して、次のような一文もあるのだ。

就学時に決定した「学びの場」は固定したものではなく、それぞれの児童生徒の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら柔軟に転学ができることを、すべての関係者の共通理解とすることが重要である

 奥山さんもまた、前述のブログ記事に「そして様子を見続けて シンドそうなら、合わないようなら 変えることだってできるから!」と書いており、頑なに通常学級に固執しているわけではない。障害を理由に居場所を限定せず、柔軟な対応をしていこうということだ。

 障害を持つ児童への「配慮」は、ただ甘やかすとか特別扱いするということではない。「合理的配慮」、つまり一人ひとりまったく違う児童にどう対応することが合理性を持つか、関係者(教職員だけでなく、特別支援教育支援員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士等の専門家など)間で連携、検討し、実施していけるよう、現場は試行錯誤している。そうした背景を知ろうとせずに奥山さんの選択を批判し攻撃することは、恥ずかしいことではないだろうか。

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