さらに小倉は「被害届を出すような話なのか。警察に言ったって相手にもしないだろう」「(式守伊之助の処罰について)これで懲戒解雇しますか? 立行司を降格させることなんておそらく考えられない。これが表に立ったということは、ご本人が引退するというか。そうでもしないと土俵にあがったとき、絶対にやじが飛びますよ、『セクハラ!』って。そういう自体を招くことになるじゃないですか」と、相撲協会がこの事件を公表したことへの不満を常に漏らしていた。
まず式守伊之助の行為は、準強制わいせつの容疑になり得るものであり、警察が「相手にもしない」ということはないし、そうであってはならない行為だ。処分内容を決めるのは相撲協会だが、少なくとも式守伊之助の行為は「これで(=この程度のことで)」と軽く済ませられるようなものではない。式守伊之助の加害行為、若手行司が受けた被害よりも先に、ヤジが飛ぶことに懸念を示すのも優先順位がおかしい。
また小倉は「なんで内々の話に留められなかったのか」と、相撲協会が公表したことにも疑問を呈しているが、今回相撲協会が公表しなかった場合、番組内で笠井信輔が指摘したように「(日馬富士の暴行事件と同じように)行司事件をそのままに(内々の事件に)するんですかって(指摘される)。同じ道をずっと辿る可能性があるので、協会の判断は正しい」ものだろう。
日馬富士の暴行事件、そして協会に相談することなく警察に被害届を提出した貴乃花を執拗に批判していた相撲協会側の対応をみる限り、梅津弥英子がいうように「角界には被害者が報告できない環境があるのではないか」と捉えている人は多いだろう。今回の事件について相撲協会が内々にどういった行動をとっていたのかは定かではないが、少なくとも事件を公表したことは間違いではないはずだ。
小倉はなによりも滞りなく相撲巡業が行われることを優先すべきだと考えているのだろう。最後に「(相撲協会が公表したことは)自分たちのクビを締めているような気がしてしょうがないんですけどね。僕はですよ」といってコーナーを締めていた。
ハーヴェイ・ワインスタインからセクハラ被害を受けたという女優やモデルたちの告発や作家のはあちゅうによる告発が昨年末に起きたばかりだが、小倉はセクハラを軽視する認識のままでいるようだ。
最後に、式守伊之助が協会の調査に対して「男色の趣味はないので、なぜこのような行為をしたのかわからない」と述べたという件について。
この事件は、式守伊之助の行為が問題なのであって、式守伊之助に「男色」の「趣味」があるかないかではない(「男色」という言葉をどういう意図で使ったのか不明だが、「同性愛は趣味」と捉えているのであれば、それもまた認識に問題があるのかもしれない)。式守伊之助のこの発言に注視し「男色趣味を否定」等の見出しをつけるメディアが多数みられるが、こうした報道の仕方は、男性同性愛者の偏見を強めかねないものだ。
(wezzy編集部)
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