特に酷かったのがお笑いコンビ・おぎやはぎの小木博明のコメントから始まる一連のやりとりだ。
小木「これ僕の意見じゃないんですけど。セクハラを受けたことで売れた人たちもいるじゃないですか、女優さんは。訴えた人の中でもそれで売れた人ってたくさんいると思うんですよ。それを訴えたところで、どっちが悪いって」
坂上「それはダメでしょ。合意の上で、利害関係が一致してる」
小木「売れてない人が文句を言ってるんですか? 大スターはそれで大スターになったんじゃないですか?」
デーブ・スペクター「(運動に賛同している人たちは)ほとんどが拒絶している」
小木「本当に拒絶しているんですか? これ俺の意見じゃないですよ」
(爆笑する出演者たち)
坂上「そこらへんは判別つきづらいから、そういうの(枕営業)がOKだっていう人は鼻から枕を持っていてくださいって言いたいわけ?」
小木「それも……だから、売れたあとに言うのはずるい」
(複数聞こえる「ああー」という声)
矢作兼「それで得した人がいたとしたらね」
昨年10月18日放送回でも、出演者のほとんどが告発されたセクハラよりも「枕営業」に注視するような態度を見せていた。例えば坂上は「女優のほうから実力者に(枕営業をもちかけることもある)」「(ワインスタイン)本人はあれは全部合意なんだとおっしゃっていますよね。じゃあ合意の部分も?(善? 聞き取れず)なんですか? 女優からいったパターンもあるんじゃないですか? って考えられなくもないって思うんですけどね」と発言しているが、今回の小木の発言と同種のものだ。
仕事を振ることのできる権力を持った人間が、仕事の対価として性的なサービスを求めたのであれば、「合意」があって「利害関係が一致」していたとしても問題だろう。そうした形で権力を行使すること自体がハラスメントであるし、本当に「合意」があったのかも「利害関係が一致」していたのかもわからない。誇示された権力を恐れ、NOと言えなかった女優もいるだろう。
また小木の「大スターはそれで大スターになったんじゃないですか?」という発言は、「実力ではなく枕営業のおかげで大スターになれた」という認識が前提にあり、あらゆる訴えを無効化してしまう。「本当に拒絶しているんですか?」の酷さは言うまでもないだろう。そもそも「僕の意見ではない」と言い訳を繰り返していることが卑劣極まりない。