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広辞苑にLGBTが登場。しかし、内容がおかしい。

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 10年ぶりに改訂された「広辞苑」の第7版が112日に発売された。この新しい「広辞苑」は、第6版の刊行後に定着した言葉として、約1万項目を新たに追加したもので、「ブラック企業」や「安全神話」のほかに「LGBT」が初めて登場したことが報じられている。

 こりゃあやったね! と、LGBT界隈では歓迎の声がわきあがった。さらに、今回の改訂にあたって、岩波書店の岡本厚社長は「自分だけが苦しんでいると思っていることが、言葉を獲得することによって多くの人々と共通する問題であることが分かる。それが人を楽にし、自由にする」ともコメント。なんとも喜ばしいニュースではないか、と思いきや、実は肝心の内容がまちがっていた(!)。

 新広辞苑におけるLGBTの記述は、こう書かれている。

レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字。多数派とは異なる性的指向を持つ人々。GLBT

 LGBTとは、性的指向におけるマイノリティであるLGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル)と、出生時の性別と性自認が異なる人々であるT(トランスジェンダー)をあわせた言葉であって、新広辞苑の表記はまちがっている(セクシュアル・マイノリティ/LGBT基礎知識編)。トランスジェンダーと性的指向はまったく関係がない。これが今後、あちこちで引用されてひとり歩きをされては困る。なにがどうして、こうなった。

 ちなみに、恋に関する項目は、相変わらず「男女が~」である。

 「三省堂国語辞典」では、恋愛は異性間にかぎったものではないとして2014年に「人を好きになって、遭いたい、いつまでもそばにいたいと思う、満たされない気持ち(を持つこと)」と改訂したことが話題になった。ここも見直してほしかった!

 広辞苑といえば、1991年までは同性愛を「異常性欲」として記述していて、その後「動くゲイとレズビアンの会(アカー)」の申し入れによって価値中立な書き方に変わったことも過去の経緯としてはある。言葉は、だれがどう語ってきたのかによって意味合いが変わり、それが人を助けることも傷つけることもある。LGBTが新たに加わったというのは、あきらかに前進ではあるのだが、それがまちがっていることは、なんとも残念きわまりない。

 似たようなことを、別の場面でも目にした。春から使われる高校教科書のLGBTに関する記述に派手なまちがいを見つけて、昨年末に「これはちょっとまずいですよ」と教科書会社を訪れたのだ。担当者はまちがったものを印刷してしまって本当に申し訳ないと陳謝していた。悪気がないのはわかっているし、せっかく取り組んだものが批判のまとになってしまえばガッカリするだろうから、厳しい批判は別の人たちにおまかせするとしよう。

ただ、岩波書店や教科書会社がなにをどう引用して、このようにあからさまなミスを載せてしまったのかには、やはり興味がある。再発防止策は、どう講じたらよいのだろう。フツーまちがえないだろうとLGBTコミュニティの中にいると思うのだけど、我々のフツーは、まだまだ社会全体のフツーではない、ということか。

 国語辞書が時代をうつす鏡だとすれば、「LGBTへの理解は進んでいるようにみえて、実はそこまで深くはない」ということを、はからずも「広辞苑」は浮き彫りにしてしまっているようだ。気持ちはありがたいからこそ、もう少し担当者はがんばってほしい。

遠藤まめた

1987年生まれ、横浜育ち。トランスジェンダー当事者としての自らの体験をもとに10代後半よりLGBT(セクシュアルマイノリィ)をテーマに啓発活動をはじめる。主にLGBTの若者支援や自殺予防に関わる。著書に「先生と親のためのLGBTガイド 〜もしあなたがカミングアウトされたなら」(合同出版)ほか。

twitter:@mameta227

サイト:バラバラに、ともに。遠藤まめたのホームページ

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