吉岡里帆の「グラビア嫌だった」発言がさらに波紋、「言いたいこと」と「拡散された情報」の違い

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吉岡里帆Instagramより

 女優の吉岡里帆さんが、「文春オンライン」でグラビアアイドルとしての仕事について語ったことが波紋を広げている。話題になっているのはてれびのスキマさんによる「テレビっ子」インタビューの中編だ。<文春オンライン:吉岡里帆が語る「グラビアのお仕事のこと」

 落語が好き、テレビが好き、といった話をしていき、てれびのスキマさんが「事務所に入って、グラビアもやられたじゃないですか。その時、抵抗があったそうですね」と水を向けると、吉岡さんは「グラビアの話、なんかどんどん違う方に話が拡散してて、すごく困ってるんです。全然言いたいことと世間で書かれてることが違っていて」と語った。一部を引用する。

「初めは戸惑いもあったけれど、グラビアの仕事ができて、今思うとすごく感謝してて、この仕事をしてる人たちにリスペクトがあるという話をしたのに、『嫌だった』ということばっかりバーッと書かれてしまって。こうやって知らない間に違う情報が流れてくんだと、ほんとにショックでした」

「間違った情報で、関わった方やグラビアを見て応援して下さっている方達を悲しませてしまい本当に申し訳なく思っています」

 吉岡里帆さんは実際に、過去、いくつかのインタビュー記事で「水着グラビア写真を撮る仕事での葛藤」について話してきた。どのような言葉だったのか。

 2015年の「週刊プレイボーイ」(集英社)インタビューで、吉岡里帆は「グラビアの話を最初にもらった時は抵抗があったのでは?」と質問されて「実は泣いちゃいました。あははは」と答えている。

「だってグラビアに出るなんて人生で一回も考えたことなかったから(笑)。でも自分にとってこれもチャンスなんだなと思えたのでやらせていただくことにしました」 

 そして2017年もまた、同誌のインタビューで「吉岡さんは最初、水着グラビアをやりたくなかったんですよね」と聞かれ、「はい。撮影のお話をいただいたとき、『絶対私にはできない」って、マネジャーさんとの電話で号泣しちゃいました(笑)」「週刊誌に水着姿で出るということがまるで想像つかなくて。自分とは最も遠い世界のような気がして、危険な一歩を踏み出すみたいな心持ちでいたんです」と、その覚悟を明かしている。

 CINRAの運営するweb媒体「She is」での、友人でシンガーソングライターの吉澤嘉代子(27) との対談では、インタビュアーからグラビアで着用していた水着の「紐の細さがすばらしい」という話を振られ、次のように語っている。

「あの時間もある種、文字通り切り売りの時間だったんです。だって私は水着姿なんて絶対出したくなかったし、両親からも、『本当に結婚するような人にしか見せちゃだめ』という教育を受けてきたから。それを、全国区の、ワンコインで買える週刊誌で披露して、1週間後には廃棄処分されて。こんなに脱いでも、翌週には別の女の子のことを見るんだろうなと思うと、自分のその『旬すぎる時間』みたいなものがすごく辛かったです」

 この話をすると「ファンでいてくれる方たちはすごく怒る」そうで、「応援している人をバカにしてる」という手紙が送られてきたこともあるという。

「やりたくないというのは私の偽れない本当の気持ちで、でも、そう思いながらも脱ぐことに意味があると思っていました。嫌なんだけど、自分の夢をつかむために、それをやってほしいと求めてくれる人がいる以上、その人たちに応えるのが私の生き方だということに抗えなかったんです」

「人は、脱いだ人を『脱いでる人が芝居している』って見るんですよ。脱がない人のことは、はじめから『この人は芝居する人なんだ』という目で見ます。その壁ってすっごく厚くて高くて、自分で自分の首を絞めるみたいな行為をしてしまったと思うこともあります」

 そして昨年915日にリリースしたフォトブック『吉岡里帆コンセプトフォトブック 13notes#』(東京ニュース通信社)では、グラビア撮影について「お仕事を選り好みする立場になかったですし、何か結果を出さないと、という気持ちがあったんですけど、グラビアで評価されるほど、お芝居から離れていってしまうのではないか」と不安だったことを明かす。

 2014年に初めて水着グラビアを撮影し雑誌に掲載された時、本人が撮影に際して恥ずかしすぎて泣いてしまっただけでなく、グラビアを見たご両親もショックで泣いてしまったという。マネジャーに相談すると、彼女の今後を見据えた上でのブッキングだと説得されたそうだ。やがて彼女は水着の写真を撮影する現場でも「せっかくやるならグラビアでも最高な作品を残そうというふうに意識を変えて」いき、「“最高のワンカット”を残すために何ができるか模索するというアプローチが、お芝居でもすごく生きている」という。

 冒頭の文春オンラインのインタビューでも同様に、グラビア撮影を重ねるうちに意識が変化したことを話している。

「初めてグラビアのお仕事を頂いた時は、その瞬間は確かにやったことないし、やる予定もなかったので、動揺したんですけど、でもやっぱりやればやるほど、やりがいを感じているんです。担当してくださった編集部の人も、今でもずっとつながりがあって。昨年も一緒に仕事をして、一番の応援者でいてくださっている人たちです」

 このように振り返ってみると、彼女は一貫して、「最初は嫌だったけれど、やりがいのある仕事だった」と発言している。グラビアアイドルを見下す発言や、当時の自分を卑下する発言、悲観的な発言はしていない。しかし「嫌だった」の部分だけがクローズアップされ、一人歩きし、挙句「天狗になっている」と批判されながら「イヤイヤ脱いでるなんて興奮する」といった具合に消費されたりする。

 彼女が強調したいのは「初めは戸惑いもあった」という部分ではなくて、「グラビアの仕事ができて、今思うとすごく感謝してて、この仕事をしてる人たちにリスペクトがある」という部分なのだろう。そして、そう言いつつもまだ葛藤は消化していないようにも見える。「やればやるほどやりがいを感じている」とはいえ、これから先もかつてのようなタイプの水着グラビアを撮影する可能性は低いだろう。「脱いでる人が芝居している」と見られることは認めがたいからだ。当時のことを回想すれば、初期の苦しかった感情も思い出すだろう。言葉には力があるが、今の彼女にそこまで発言の整合性を求めることは酷かもしれない。

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