「はれのひ」事件は日本中で起きている! お金が戻ってくる見込みは……。

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生き延びるためのマネー/川部紀子

 こんにちは! ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。

 新年早々に流れてきたはれのひ株式会社の残念なニュース。振袖の販売やレンタル業を行っているにもかかわらず、成人の日の直前に突如営業を停止し、当日に振り袖を着られないという人が続出していました。このニュースは、振り袖を着ない人には関係のない話題というわけではありません。自分自身や家族にいつ降りかかってきてもおかしくない話です。

 今回は、どういった事件なのか、なぜ他人事ではないのかを解説していきます。

「はれのひ」事件とは?計画倒産って?

 振り袖の販売・レンタル、着付けも行う業者「はれのひ」が、成人の日の直前に突然営業を停止。成人式当日、店舗はもぬけの殻で連絡も取れず、多くの新成人女性が予約していた晴れ着を着られなかったというのが今回の問題です。

 今、注目されているのは「これは詐欺ではないのか?」ということです。

 「はれのひ」に関して言われているのは、経営が苦しく、顧客にサービスを提供できないことが分かっているにもかかわらず、ギリギリまでお金を集めていた、ということ。そして、もしかしたら着物などを転売してお金を集め、倒産後のお金を隠し持って逃げたのではないかということです。これらが事実であれば、詐欺事件になる可能性もあります。法律上の言葉ではありませんが、「計画倒産ではないか?」と言われているのもこのことです。

 ただし、詐欺事件であることを証明することはとても難しいのです。実際に事件発覚から半月ほど経った今月26日に、ずっと雲隠れしていた社長が現れ、詐欺を否定しています。「ギリギリまで頑張っていました」と言い張っていることをひっくり返す証拠はなかなかありません。

「はれのひ」事件は時々ある話?お金は戻ってくる?

 今回は、新年早々、若い女性たちが人生一度しかない成人式に晴れ着を着て出席できないというかわいそうな状況もあり、センセーショナルに伝えられました。しかし実は業者の倒産によって一般生活者が被害をこうむるという事件は、いつの時代も日本中のあちこちで起こっています。

 近い過去では、旅行会社「てるみくらぶ」があります。また、英会話スクールで年会費を払ったのに教室が閉鎖されていたなどのニュースも見たことがあるという方も多いでしょう。類似の事件は報道されていないものも含めれば無数にあります。

 こうした事件に巻き込まれたときになにより気になるのは、支払ったお金はどうなるのか、です。結論から言うと、手元に戻ってくるのはかなり難しいです。事件を起こした会社のほとんどが、元々お金が圧倒的に不足していた会社です。単純な倒産であれ、詐欺であれ、残っていたお金が払われる順番というのがあります。金融機関、大きな取引をしていた先、従業員の給料など、支払われるべき会社も人も無数に存在しているでしょう。その中で、数万円から数十万円の支払いをした顧客にお金が全額戻ってくる可能性はほとんどないと思われます。

 ただし、カード決済の場合は、まだ引き落とし前の可能性もあります。まずはカード会社に相談してみましょう。これだけ大きな事件ですから、実際にサービスを受けていないことは明らかです。カードの不正利用などは証拠があれば引き落としされずに済みますし、可能性はゼロではないと思います。大きな事件というのは、時に会社のルールや法律を変えることもありますので、挑戦してみるべきだと思います。

防ぐ方法は?

 今回は、お金だけでなく一生に一度しかない成人式という日を奪ったことが非常に罪深く許し難い事件でしょう。新成人が会社の経営状況を調べて利用を避けるというのは考えづらいので、今回の件について利用者たちは何も悪くないと感じます。あえていうなら、悪かったのは運だけではないでしょうか。

 ただし、繰り返しになりますが、同じような事件は多くあります。今回の事件から、お金を払ったからといって、業者の破たんによってサービスの提供もお金もなくなってしまうことが、誰にでもあり得るという事実を学ぶことが必要なのではないでしょうか。

 業者を比較する必要性も感じました。極端に安過ぎないか、評判や口コミは?ホームページが充実していることと実際のサービスは別物。店舗数とサービスも別物。現金一括払いが必ずしもお得で安全とは限らない……など、いろいろ考えることができます。

 なによりFPとして思ったのは、被害者の方々の懐具合はどうだったのだろうか、ということです。なけなしのお金や借金で晴れ着をレンタルしようとしていた人もいるのではないでしょうか。そして、やはりなけなしのお金で行動するのは危険だ、とも思いました。例えそれが自分や子どもの成人式であろうとも! 20歳を迎えたならそれだけで間違いなく成人なのですから金銭面で無理する必要はありません。貯蓄がそれなりにある人と、ギリギリまたは借金のある人とではこうした事件で受けるダメージは大きく違います。

 「無い袖は振れない」ということわざがありますが、まさに無い袖を振ろうとしてはいけないと感じる事件でした。

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