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更年期が本当に来た―49歳、ホルモンチェックとHRT体験を経て実感したこと

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向き合います。更年期世代の生と性

向き合います。更年期世代の生と性

 49歳で生理周期が大きく乱れ始め、段々と出血する期間が長引くように。ある日、2週間出血が止まらなくなり、さすがに「これはまずい」と感じた私は婦人科を訪れた。そこで生まれて初めて女性ホルモンの値を測ることになり……。

▼前編はこちら
更年期を意識したきっかけは「2週間続く生理」だった―49歳、女性ホルモンの値を知る

セカンドオピニオンを求めて新たな病院へ

 友人に勧められた婦人科はHRTに特化している病院だった。リュープリン注射を打ってから約1週間後、私は病院に行き、医師(男性)に生理が2週間止まらなかったこと、リュープリン注射を打ったことなど、これまでの経緯を話した。前の病院でもらった血液検査の結果も提出した。先生はその紙を見て「この程度の貧血なら、造血剤と注射を1カ月も飲めばきっと大丈夫。僕はリュープリンはオススメしない」ときっぱりとした口調で話した。

 何度も繰り返して言うが、その当時、生理は私にとって苦しくやっかいなだけの存在。いつなくなってくれてもいい。そうは思ってはいたが、バカ高い注射を打ち体に負担をかけてまで強制的に終わらせる、となると話は別である。前の病院の青年医師は「貧血の改善のため」だと言うが(たしかに貧血が続くと心臓に負担がかかり、体にはよくない)、目の前の先生は貧血は決して酷く悪い数値ではないから造血剤で治せると言う。それならまずはそちらを試してみてもいいのではないか……。

 新たに行った病院は子宮の超音波検診をした際、エコー画面をモニターで私も見せながら説明してくれたため、安心感があった。先生が随所で「質問ある?」と訊いてくれるのも好感が持てた。とりあえずその日は造血のための注射を打ち、造血剤を処方され、ホルモン値を測るために血液検査をして終了したのである。

 その1週間後。再び神奈川の病院を訪れた。ホルモンチェックの結果を確認すると……。E2(エストラジオール。エストロゲンの1種で女性ホルモンの主要成分)は15(pg/mL)、FSH(卵胞刺激ホルモン)は5(mIU/ml)。前回測定でFSHは48だったが、正常の範囲内になっている。女性ホルモンの値は生理周期によって分泌量が変化するものだが、E2は相変わらず風前の灯火といった少なさである。貧血結果は前の病院と同じく、やはり基準値を下回っていた。

 先生の治療方針を聞く。1~2カ月は造血剤を飲み続け、クリニックに行った際には注射もプラスしてまず貧血を治す。リュープリンは1度打っただけだとおそらくまた生理がくるだろうから、まずは生理の量をコントロールするために低用量ピルを飲む。その後は試しにHRTを行ってみてはどうか? と。

 HRTは子宮がある人、がんなどで子宮を摘出した人で方法は異なる。私は子宮があるので黄体ホルモンを飲むことで月経のような出血を起こす必要がある。ただし、コントロールされているので以前のように2週間生理が終わらないという症状はなくなるだろうし、出血も少なくなるはずだという。

HRTと乳がんリスクについて

 HRTといえば乳がん増加リスクが……と考える人が多いと思う。私も連載第1回目でその疑念については書いた。だがその後、実際にHRTをしている人に話を聞いたり、婦人科医のホームページを読んで情報を集めていくうちに様々な事実を知ることになる。

 結論から言うと、2002年当時のまるで「HRT=乳がん」ともとれるようなセンセーショナルな報道は行き過ぎた解釈である、ということ。その詳細は下記の説明がわかりやすいと思うので<NPO 女性の健康とメノポーズ協会>のHPより引用したい。

HRTと乳がんの発症リスクについては、5年以内の使用ではまったく見られず、7年以内でも明らかなリスクはないという解析結果が出ています。特にERT(エストロゲン単独投与によるホルモン補充療法)では、乳がんの発症は減るという報告も増えています。
<詳細>米国立衛生研究所(NIH)が2002年に発表したWHI中間報告の当初の解析では、HRTを5年以上投与した場合、乳がんのリスクが1.26 倍になる(日本女性にあてはめると、1年間で1万人につき3人ぐらい乳がんが増える)といわれてきました。
このことは、当時の日本の新聞各紙でも大きく取り上げられ、一部で「HRTを行うと乳がんになる」という行き過ぎた解釈が生まれたのです」

 さらに補足したい。WHI(女性の健康イニシアチブの略)のこの研究は、本来ならば更年期世代である40~50代でHRTをスタートさせた女性を対象にすべきところを、60歳を過ぎてから始めた女性を研究対象としている。つまり、いわばやや的外れな調査だったということが現在では明らかになっている。だが、これらの新に明らかとなった事実は大きく報道されていないため、現在も「HRT=乳がん」という情報だけが独り歩きしている状態なのである。

 HRTを行うと決めた場合は1年に1度の乳がん検診、子宮頸がん・体癌検診はマスト。検診に行かない人には薬を処方してもらえない。つまり、ひどく体調が悪くならない限り病院に行かないタイプだった私は、HRTを行うことでむしろ健康に留意することになるのかもしれない。この時点で生理の乱れ以外、そう目立った更年期症状は感じていなかった(慢性肩こりや背中のこりに悩まされてはいたが、そこは更年期か職業病かの区別が難しい)私だけれど「やっぱりやってみたい。自分の体で試してみたい」とのライター魂が沸き上がった。なによりもうリュープリン注射はこりごりだ。そう考えた結果、まずは低用量ピル(ソフィア)で生理をコントロールしたあと、HRT治療を行うことを決断したのである。

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日々晴雨

都内在住のフリーライター、更年期ジャーナリスト。いくつかのペンネームを使い分けながら、コラム、シナリオ、短編小説などを執筆。コピーライターとして企業のカタログやHPなどのライティングに携わることも。2017年にメノポーズカウンセラーの資格を取得。

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