様々な疾患に効果が期待されるHRT
では実際HRTを始めて、どうだったのか。HRTを行うにあたって、なにか必要なものはあるのか。その詳細はまた機会があれば別原稿で書くことにしたい。なんせロングストーリーになりそうなので(基礎体温を測らねばならない、などやることはいろいろある)。けれど、これだけは記しておこう。HRTを始めて約10カ月。私の女性ホルモンの値は安定してきている。ちなみに2017年1月のホルモン値はE2が168、FSHは17だった。あんなに悩まされていた生理の乱れはなくなっている。なお、貧血は造血剤で見事に回復。このふたつが改善しただけでも私にとっては万々歳だ。
HRTは更年期症状の改善はもちろんのこと、現在ではほかにも様々な効果が期待されている。たとえば骨粗しょう症の予防、認知症、心臓血管系、大腸がんのリスクを下げるなどなど……。人生100年と言われるこの時代。HRTを行うことで上記のような効果が出たとしたなら、QOLが上がり健やかに生きていけるであろうことが期待できる。ただし、更年期の症状が一切なく、予防目的でHRTを行う場合は保険適用はされず自費となる。これらの詳細についてもまた近日中に書いていきたいと思う。
メノポーズカウンセラーとはなにか
さてここで話を前編で書いた<メノポーズカウンセラー>に戻したい。メノポーズカウンセラーとは<NPO法人 更年期と加齢のヘルスケア協会>が発行している資格である。年に1度、カウンセラーになるための試験があり、この日にむけて「更年期」について学び、試験を受けて合否の結果を待つ。
ではメノポーズカウンセラーに期待されていることとは、どんなものなのか。下記、協会のホームページから引用したい。
「1)更年期全般について、2)とくに更年期障害についての成因、対応などについて、3)更年期から生涯にかけてのヘルスケアについて、4)医療制度について、5)医療施設(医師)についての情報提供、6)健康法、サプリメントなどについての正確な情報提供などがあります」
連載を重ねるにつれて、女性にとって更年期とはどれほど大切な時期なのか。更年期に入って突如襲い掛かる症状に悩み苦しんでいる人がどれほど多いことか。その一方で、かつての私のように、更年期世代であるのにもかかわらず全く知識のない人がいかに多いか。それらを痛感することになった。
更年期というと「大っぴらに周囲に打ち明けるものではない」「我慢すればいつかは通りすぎるもの」「気のせいだ」「甘えている」という、私の母親世代の考え方が未だまかり通るこの現状も変える必要があると思う。例えるなら「今日ご飯何食べた?」と訊くのと同じように、更年期について男女問わず、できれば世代も問わず話したり、相談したり、意見を交換したりしたい。そう思うようになった。そのためにはまず自分が学ぼう。知識を持とう。いま流れているauの菅田将暉君演じる鬼ちゃんのセリフじゃないけど「学んだことは誰にもとられない」はずだ。自分の体でなにが起きているか、知っておいて損することは決してなにひとつないはずである。
2017年12月・メノポーズカウンセラー資格試験に合格
正直、医療従事者でもなんでもない私にとって、メノポーズカウンセラーの勉強はキツかった。試験1カ月前には謎の高熱が1週間近く続き(いま思えば間違いなく知恵熱だ)、今年の受験は諦めようかと弱気になったりもした。だが、試験対策として講座を開いてくださった婦人科の先生(現在の主治医)や一緒に学ぶ友人がいたのでなんとか弱い自分を乗り越え受験、結果2017年12月に無事メノポーズカウンセラーに合格することができた。もちろんカウンセラーの資格を取ったからといってここで終わりではない。医学は日進月歩だ。日々、新しい情報が出るため知識をアップデートしていく必要がある。今後も学び続けなければならないことは明らかだけれど、きっとそれは自分の武器になると信じて進みたいと思う。
と、ちょっと熱く語ってしまったが、無事メノポーズカウンセラーになったことを記念して今後は<更年期ジャーナリスト>として連載を続け、ひとりでも多くの女性に「私もこの症状に当てはまる」「そうか、この症状は更年期だったんだ」「更年期で悩んでいるのは私だけじゃなかったんだ」と共感してもらえるような記事を書いていきたい。
更年期の症状がひどい場合、悩みがある場合は、ひたすらに耐えるなんてことをしなくてもいいのだ。治療はある。HRTだけではない。ほかに、サプリメントや漢方を飲むという選択もあるのだ。ただ、いまの日本では婦人科といえどもHRTに好意的でなかったり知識がなかったり(漢方やサプリメントも同様)する医師が多いのが現実。けれどもどうかあきらめないでください。更年期について詳しく正しい知識をお持ちの先生はいるので、人に聞いてみたり情報収集をして根気よく探してほしいと思う。
ひとりでも多くの女性に、更年期の症状は人によってそれぞれだということを理解してもらうことが私の願いだ。知ることで、自身の症状について更年期かどうかわからずにあらゆる病院をまわるドクターショッピングを繰り返さなくてもすむ。何十万もの無駄な医療費を支払わなくてもすむ。ひとりでも多く更年期で悩む女性の生の声を聴いて、書くことが使命。その思いで今後も連載を続けていきたい。
1 2