エンタメ

有賀さつきさんの病名・死因を推測することは故人への冒涜にならないか

【この記事のキーワード】
有賀さつき

有賀さつきオフィシャルブログより

 元フジテレビのアナウンサーの有賀さつきさんが、2018130日に都内の病院で死去していたことが25日に分かった。まだ52歳、あまりにも早い死である。同世代である筆者はこのニュースを聞いたとき、正直、かなり動揺した。

 人生も50年近く生きるようになると、ぼんやりと「私にはもうそんなにたっぷりとは時間が残されていないんだな」と考えることは何度かある。あるけれども、じゃあもういま死んでもいいのかと誰かから問われたとしたら……答えは当然「ノー」だ。いくら「もうそんなに時間はない」と考えていたことがあったとしても、なかなか自らの死をあっさりと受け入れられるような達観した思いにはなれない、まだこの年では。「ちょっと待って、やりたいことはたくさんある」――いま死を宣告されたなら、筆者ならバタバタともがきあがいてしまうだろう。周囲には隠していたものの実は長く闘病中であったとされる有賀さんも、そんな思いにかられた日がおそらく幾度もあったのではないだろうか。

 5日、有賀さんの父・洋さん(84)は横浜市内の自宅前に詰めかけた報道陣の取材に応じた。病状については詳しく明かされていなかったとのことで「それまでに痩せて衰えてまいりまして、2週間ほど前から入院していました。検査入院かと思い退院できるかと安心していましたが、全く予想外でした」と話した。しかし、娘の突然の死に驚く様子を見せながらも洋さんは気丈な対応をされており、「父親として本当に彼女らしい人生だったと思う。自分の意志で全て1人でやって来た」「常に前向きで、独立独歩の彼女らしい人生だった。本人に代わって厚く御礼申し上げます」と故人を称えていた。子供に先立たれるというのは言葉にできないほどの悲しみや痛みがあるだろうに、報道陣に真摯に対応してくださるその様子には頭が下がる思いだった。

 さて、有賀さんの病名や病状については故人の遺志により、明らかにはされてない。にも関わらず、一部スポーツ紙が病名を推測、報道している事態には違和感を覚える。有賀さんの父も(病名を公表しないという)本人の固い意思を尊重すると言っているのに、あえて病名を明記するのは故人への冒涜のように思えてならない。有賀さんも、そして残された家族も公表を望んでいないというなら、その気持ちを尊重すべきではないだろうか。いずれにしろ、病名を知ったところで彼女はもうこの世にいないのだ。推測だけが独り歩きしてはならない。

 有賀さんは1988年にフジテレビにアナウンサーとして入社。ニュース番組『FNNスーパータイム』やバラエティー番組に多数出演、同期入社の花田(旧姓河野)景子や八木亜希子と共に「花の3人娘」と呼ばれ、女子アナブームの先駆けとなった。この時代の彼女たちの人気を、筆者ははっきりと覚えている。3人とも個性の違う美人で、持って生まれた華を兼ね備えていた。同じフジテレビの人気女子アナということでカトパンこと加藤綾子やアヤパンこと高島彩の人気を想像される方も多いとは思うが、当時の3人娘の人気と露出ぶりはもっとすさまじいものがあり、髪型やファッションを真似る女子も多くいたと記憶している。テレビの時代だったことも大きいだろう。

 有賀さんは92年にフジテレビを退社、フリーアナウンサーに転身した。最近はバラエティ番組やクイズ番組などに出演するほか、母校でもあるフェリス女子学園でアナウンス講座の講師を務めるなど、芸能界の外でも仕事をこなしていたという。彼女のオフィシャルブログは2017214日が最後の更新であり、そこにはバラエティ番組『ぶっちゃけ寺』(テレビ朝日系)に出演した際のロケ写真がアップされている。この原稿を書いている201826日時点ではコメント数は143。そのほとんどが「お疲れさまでした。ゆっくり休んでください」「笑顔をありがとうございました」など亡くなった有賀さんを偲ぶ思いで溢れている。

 周囲に病気を告げることなく人知れず病魔と闘っていた有賀さんだが、仕事は昨年末までにすべて整理し、年明けのオファーなどは「親のこともあって、今あるわずかな仕事を全て整理して、年内で活動をお休みする予定なんです」と断っていたという。自身の体調が悪い、と話すと周囲に心配をかけてしまうために、このような伝え方をしていたのだろうか。また、銀行口座をはじめ、本人でないと解約できない各種口座なども生前に整理していたそうである。家族にさえ病状を漏らさなかったが自身はその重さを把握していたのか、万が一を見越して冷静な判断で行動していたのか。しかし健康不安があればあるほど「万が一」を考えるのは怖く、冷静に終活することは難しい。なんて強い精神力を持つ女性だったのだろうか。まさに父・洋さんが話された通り、「常に前向きで、独立独歩」な女性である。独身の筆者としては、見習うべき点がたくさんあるなと感じ入った。有賀さつきさんのご冥福を心よりお祈りしたい。

(エリザベス松本)

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。