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老舗小学校は高級ブランド化、新設中学校ではジェンダーレス。対照的な制服の概念

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Thinkstock/Photo by DAJ

 東京都中央区にある公立泰明小学校が来年度から新調される標準服が高額過ぎることが問題視されている。校長の一存によって決定された新標準服は、イタリアの高級ブランド「アルマーニ」のデザイン監修を受けて制定され、もしすべてのアイテムを洗い替えも含めひととおり購入したならば9万円を超える。ブラウスやセーター、ソックスなど任意購入のアイテムを除いても、たとえば130センチサイズの女子だと、上着が24,840円、冬スカートが12,960円、夏スカートが11,880円、冬帽子が2,916円、夏帽子2,916円で、最低でも55,512円の費用が必要になる計算だ。

 子どもの身体は成長するし、小学校は6年間なのだから、サイズアウトによる買い替えも避けられない。泰明小学校は銀座の数寄屋橋交差点すぐそばに位置しており、学区内に住む子どもの数が少ないため、区内全域から通うことが認められている「特認校」だ。校長は“服育”を訴えるが、公立の小学校で高価な標準服を採用したこと、保護者らの合意形成を得るプロセスが不足していることに対する疑問の声は大きい。

 一方で、4月に開校予定のある公立中学校では、周到な計画と準備のもと、制服を男女で分けないことを決定した。千葉県柏市で4月開校予定の柏の葉中学校が、LGBTの生徒にも配慮したジェンダーレス対応の制服を導入する。

 柏市内の公立中学校は、男子は詰襟・女子はセーラー服というところが多い。今回、計画都市として開発され急速に人口を増やしている柏の葉に中学校を新設するにあたっては、開校後の中学校関係者による制服・校内服等検討委員会を立ち上げ、「制服は必要か、不要か」というところから検討に入り、入学可能性のある小学校の保護者にはアンケート調査を実施した。委員会は、昨年10月と11月、合計3回実施されているのだが、議事録によれば、出席しているのは中学校地域関係者、小学校教員、小学校PTA、公募委員、教育委員会、そして小学校児童も2人いたようだ。

 制服の制定が決定し、ではどのようなタイプの制服にするか(詰襟、セーラー服、ブレザーなどの選択肢から)という議題に移ると、次のような意見が出た。

LGBTについても、きちんと検討しなければならない。詰襟、セーラー服とした場合、詰襟を女の子が着用することは困難であり(逆もしかり)、考える必要がある。(中略)制服を制定することになった場合は、少数の方に配慮出来る(選択出来る)ような制服が望ましいと思う」

「昨今アレルギーの児童も増えており、アトピーの子には、詰襟は首周りが狭く、汗をかくのでつらい」

「例え、大多数は気にしていなくても、少なからず時代として配慮が求められているのであれば、詰襟及びセーラータイプには出来ないと感じた」

 そして最終的に「制服は男女ともに『ブレザー』とする」ことが決定された。さらに、具体的なデザインを決める際にも「LGBTによる配慮を考慮し、男女ともに同一デザイン(ズボン、スカートは同一柄)とすべき」「女性がズボンを選択した場合でも、違和感がないことが大事である」などの議論がかわされ、制服により男女を隔てないことが重要視されたのだと窺える。

(編集部追記:2018年2月14日)議事録には「LGBTに配慮」とあるが、出生時に割り当てられた性別に違和感を持つT(トランスジェンダー)に制服問題が発生する可能性はあっても、性的指向に関するLGB(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル)にはあまり関係がないと考えられます。制服について「LGBT生徒に配慮」という言葉を使って議論が進むことは、L-G-B-Tそれぞれへの誤った理解を促進してしまう懸念があり、この点は注意が必要です。

 同様のケースは他地域にもある。神奈川県平塚市の公立太洋中学校では、創立70周年を迎える2018年度に、ジェンダーレスの制服に新調される。女子はスカートとスラックスの同時採用だ。背景には、性的少数者の子どもが制服に悩んでいることへの配慮がある。女子の制服にスラックスが採用される場合、メインはスカートで、スラックスはあくまでもプラスアルファまたは防寒用というスタンスをとる学校もある。しかし、同校ではスカートとスラックスを同列に扱うことに重きを置く。同校校長は「男女らしさはあってもいいが、固定概念から解放してあげてもいいのでは」と語っている。(カナロコ:女子の制服にスラックスも「固定観念から解放」平塚の中学校

 もちろん制服がジェンダーレスというだけで、即、性差別や固定概念による偏見の視線が解消されるわけではないが、しかしながら制服を選定する際にこれまで意識が向けられていなかった性的少数生徒の存在が議場に上がったことは、大きな意義を持つ。学校は教育の場であり、社会のルールを覚える場でもあるが、それと同時に偏見なき価値観を育む場であってほしい。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

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