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ナタリーポートマンのセクハラ被害告白に見る「#MeToo」が浸透しない日本芸能界の問題点

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 セクハラ・性暴力被害を告発するハッシュタグ「#Metoo」が世界中で広がっているが、ナタリー・ポートマン(36)が米雑誌『PORTER』のインタビューでセクハラ被害を訴えたことが新たな話題となっている。ナタリー・ポートマンは、「最初は『私にはセクハラの被害経験はない』と思っていたけど、『ちょっと待って、私にも100件のストーリーがある』に変わった。多くの女性たちが私と同様、『これはプロセスの一部なんだ』と思い込み、我慢してきたのだと思う」と、ハリウッドに潜むセクハラの実態を告白した。

 ナタリー・ポートマンが打ち明けたのは、とあるプロデューサーと自家用ジェット機の中で2人きりになった時のこと。側にはベッドがひとつあったそうで、「居心地が悪い」と伝えると「その意見が尊重され」襲われることはなかったが、「絶対に良くないことです。そうでしょ? 許されるべきことではない」と、業界内の意識が変わっていくことを強く求めた。

 201710月のアリッサ・ミラノの訴えに始まり、レディー・ガガ、クロエ・グレース・モレッツ、ジェイミー・キング、ユマ・サーマンなど多数の著名女性がセクハラ被害を告白し、「#Me Too」問題はハリウッド全体に行き届きつつあるのかもしれない。ナタリー・ポートマンは、「ようやくセクハラ被害に耳を傾けてもらえる時代が来た」とハリウッドの後進性を指摘していたが、翻って日本の芸能界では、今なおセクハラ被害は議論にすらならないのが現状だ。日本はまだ「セクハラ被害に耳を傾けてもらえる時代」になっていない。

 今年110日放送の『バイキング』(フジテレビ系)にて「#Me Too」問題を取り上げた際、おぎやはぎの小木博明(46)は「セクハラを受けたことで売れた人もいる」とコメント。さらに「売れてから被害を訴えるのはズルい」と訴えると、他出演者たちから反論の声はあがらなかった。

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 118日放送の同番組では、「#Me Too」運動が始まるきっかけとなった大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインに関するニュースを取り上げ、映画評論家の有村昆が「有名になりたい俳優や監督から自らワインスタインに近づいた」と説明。すると司会の坂上忍も「女優の方から近づいたパターンもあるのでは」と女優側から枕営業を持ちかけた可能性もあると指摘し、梅沢富美男も「枕営業という言葉は、この業界では昔から飛び交っている。やっている奴はいっぱいいる」と断言。その後も、枕営業を「訴えられなければ良し」とも取れる軽率なトークが繰り広げられていた。

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告発してもビッチ呼ばわりされて干されるから

 『バイキング』では「口の固くて、ケツの軽い女が一番良い」との発言もあったが、現在の日本芸能界においてセクハラ被害を訴えることは莫大なリスクが生じる。

 たとえば、明日、綾瀬はるかや宮崎あおいのような人気を誇る女優の誰かが、芸能界において権力を握るテレビ局幹部や、大手スポンサーの“オエライサン”、所属事務所社長などからセクハラされた、性暴力を受けたことがあると被害を訴えたらどうなるだろうか。

 セクハラ被害を受けたと発言した時点で、世間の彼女たちを見る目は一変するだろう。「合意だろう」「嘘をついている」「ビッチだ」「タレントとしての商品価値が下がった」……そんな声が飛び交うことだろう。消費者がネガティブな印象を持つと同時に、スポンサー企業はその女優の起用を敬遠し、CM、テレビ、映画などへの露出は自然と減っていくだろう。

 つまり、著名であればあるほど、セクハラや性暴力を語らない、語れない環境だ。そしてセクハラや性暴力は「枕営業」「愛人のお誘い」と言い換えられて、トークバラエティ番組のネタにされる。

(ボンゾ)

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