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SK-Ⅱ「30代になるのは不安」調査が炎上、SK-Ⅱが示したかった女性の生き方とは

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SK-Ⅱ公式webサイトより

 人生100年といっても過言でない時代に突入しているが、だからこそ余計になのか、「若さ」は儚く尊いものとされている。1020代が花盛りで「売り時」、30代で「落ち着いて」、40代で「もっと落ち着いて」……というイメージがある。特に女性は、その「若さ」を賞味期限にたとえられ、1020代のうちにある程度、人生の方向性を定めなければならないようなプレッシャーさえある。「30歳」は若さのひとつの節目のようになっているのだ。若手女優やモデルなんかがインタビューで「30歳までに結婚したい」と語ることも非常に多い。

 そうした社会的な抑圧を象徴するような、化粧品ブランドの『SK-Ⅱ(エスケーツー)』が、213日より公式Twitter上でおこなったアンケート調査に、反対のリプライが多くつくなど議論を呼んでいる。

20代女性のうち約6割が日々の生活に充実を感じている一方、最も多くの女性が30歳になることに漠然とした不安を感じている・いたという結果が。(41.6% / SK-Ⅱ調べ)  30歳になることに対して、皆さんはどう感じますか?
何も変わらないと思う。怖くない!
不安。20代とは色々変わりそう。
特に考えたことはない。

 この投稿へのリプライには「不安を煽っている」「炎上目的」「時代遅れ」「年齢差別」といった批判的な意見が多く寄せられることとなった。

 当該ツイートから筆者が一番最初に感じたことは、なぜ選択肢に「ワクワクする」とか「変わっていくのが楽しみ」といった“30代を迎えることは喜ばしいもの”というニュアンスの項目がないのだろう? ということだ。最もポジティブな項目ですら「何も変わらないと思う。怖くない!」と、歳を重ねるのは怖いという共通認識があること前提だ。先に「20代女性の多くが30歳になることに不安を感じている」という調査結果を提示した上で、「皆さんはどう感じますか?」と投げかけるのは、誘導的でフェアじゃないとも思う。

 ただ、『SK-Ⅱ』のTwitterアンケートに添えられたハッシュタグは「#期限なんてない」である。それゆえ、決して若い女性を脅したり30代以上の女性を貶める目的でこのアンケートを取ろうとしているわけではないと予想できた。「20代女性のうち約6割が日々の生活に充実を感じている一方、最も多くの女性が30歳になることに漠然とした不安を感じている・いたという結果が」出たという、大元の調査データを見てみよう。

 これは、『SK-Ⅱ』が昨年5月にインターネットで実施した「女性の生き方に関する意識調査」がベースになっているようだ。調査対象は、首都圏の1050代女性1,400人。調査結果は、次のように発表されている。

1)すべての年代の女性を通じて「30歳」が迎える節目として、最も不安/不安だった
2)20代女性の6割超 「日々に充実を感じる」 一方「なんとなく不安」も7割超
3)20代女性の最も多くが「30歳までに結婚したい」と考えていることが明らかに
(また、結婚とキャリアに関しては、「両立したいけれどできないと思う」が7割超)
4)20代女性が抱えるプレッシャーや不安の原因 直接的な言葉に加え「SNSの投稿による情報」と回答した人が58.3%
5)30歳という年齢を通過した女性においては、8割近くが「30歳という年齢に囚われる必要はなかった」と回答

 今回のTwitter投票で引用されているのは(1)の結果だろう。『年齢の節目(「20 歳」「30 歳」「40 歳」「50 歳」)の中で、どのタイミングにも最も「不安・ 心配」といった気持ちを感じる・感じたか』という質問に対して、「29歳→30歳になる時」と回答した女性が41.6%で最多。「19歳→20歳になる時」が13.1%、「39歳→40歳になる時」が26.6%、「49歳→50歳になる時」が18.7%だったという。

 年齢別に見ると、20代女性の63.5%が「29歳→30歳になる時」を「不安・心配」と回答したという。この質問文もすでに誘導的ではあるし、そもそも日本社会において30代は結婚や出産などライフイベントの適齢期に設定されているため、重大な選択を少し先の未来に控える20代が不安を感じるのは当然の成り行きともいえる。

 『SK-Ⅱ』の調査も、社会的に設定された“適齢期”を念頭に置いたものだろう。「何歳までに結婚の目処を付けたいと思っているか」「結婚と仕事を両立できると思うか」といった質問からも明らかだ。

 では、この調査を通じて『SK-Ⅱ』が伝えたかったことは何なのか。それは、若い女性たちを「30代になる前にちゃんとしなさい」と急きたてることではなく、「年齢に捉われなくていい」ということだったはずだ。一部をプレスリリースより引用する。

530 歳という年齢を通過した性の、8 割近くが「30 歳という年齢に囚われる必要はなかった」と回答
30 歳以上の性に、「これから 30 歳を迎えるに伝えたいメッセージとして当てはまるものを選んでください」という質問をしたところ、「30 歳という年齢に囚われる必要はなかった」と回答した 75.1%に上りました。30 歳を迎える前と後で年齢に対する意識が変わり、20 代のときに抱いていた不安・プレッシャーに対し、「意外と丈夫だった!」と感じているが多いといえるでしょう。

 つまり、30歳という年齢で自分を区切る必要はないということだ。ならばこそ、冒頭に紹介した“炎上”ツイートのやり方は悪手だったのではないかと思う。あれだけを見ると、「やっぱり年をとるのは怖い」という不安だけが煽られてしまうからだ。

 今の社会で当たり前とされている女性のライフコースに沿ったメディア発信や広告はそれだけで「呪縛」として機能する。『SK-Ⅱ』が呪いに立ち向かうポジティブなメッセージを送り、年齢問わずあらゆる女性を応援するブランドであろうとしていることが伝わりづらかったところに、問題があったのだろう。調査結果(1)ではなく(5)を最初に提示していればユーザーはまた違う感想を持ったかもしれない。『SK-Ⅱ』にはもっとワガママに、周囲の雑音に動じず突き進む女性像を見せつけてほしい。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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