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マツコ・デラックスにも知ってほしい、オシャレじゃないインスタの世界

【この記事のキーワード】
こういう世界観です

こういうインスタの世界もありますよね

 昨年10月放送の『マツコの知らない世界』(TBS系)で、司会のマツコデラックスが昨今のInstagram(以下インスタ)ブームに噛みつき、当時そこそこ話題になった。この日出演したゲストが、最近はインスタに撮影した写真をアップするためだけにスイーツビュッフェでケーキをチョイスしているのか、食べきれずに残す人が増加している、と語ったところ、マツコが噛みついた。「(インスタ映えを狙った愚かな行動は)そろそろ世間が制裁を加えるべき」「かわいいインスタあげてもお前はブスなんだからな!!」「地に足つけて生きろ!」などと吠えたのだ。これにネットでは「すっきりした」「言いたいこと言ってくれた」など賛美のコメントが多く集まっていたが、ちょっと待ってほしい。

 インスタと一言でいっても、可愛くてオシャレでセンス抜群なアカウントなどほんの一握りだ。インスタの頂点、キングオブキングである。そこに少しでも近付きたくてインスタ映えを狙った撮影テーマ選びをし、趣向を凝らして撮影・加工してオシャレな一枚を投稿するユーザーももちろん少なからずいるわけだが、インスタの楽しみ方はそういったオシャレ度の競い合いだけではないし、よくdisられるような見栄の張り合いばかりでもない。インスタ映えを狙ったオシャレな投稿の影に、実に面白くウォッチしがいのある投稿やインスタ内ブームも多々ある。その一例を紹介したい。

 最近、筆者がちょいちょい見ているのはデジタルpost”と呼ばれる文字だけの投稿。デジタルツイートとも呼ばれている。そもそもインスタにアップされるデータは全てデジタルデータなのに、おそらくテキストだけを指してデジタルと言ってしまうこのセンスからしてグッとくる。さて、インスタ検索窓で「#デジタルpost」もしくは、「#デジタルツイート」と検索してみると、ポエムや日記が続々と出てくる。日記は恋愛ものが多いのが特徴で、ポエムチックな投稿には背景に空(それも夕方〜夜空)の写真が使われていることが多い。ユーザーが自分で撮ったのか誰かが撮った写真を無断使用しているのかも不明だが、ともかく空の写真をバックに『わたしは「好き」て言われたら 「自分も好き(はーと)」って返してほしいんです』なんて書いてあったりするのだ。

 恋愛ものの日記の次に多いのは、エロ体験談だ。週刊実話もビックリ、いや週刊文春の「淑女の雑誌から」を凌ぐようなエロ体験談が並んでいる。「セフレの○○さんと会って来ました」「フラからのごっくん」など、どことなく半周遅れな言語センスも素晴らしい。ずらっとデジタルpostが並ぶその様は、居酒屋の和式トイレにしゃがんだとき、目の前にご丁寧に貼られているカレンダーを見てしまったときのゲンナリとおかしさが共存した感情を思い起こさせ、しかもそのカレンダーが「みつを」でいちいち前向きなポエムを読みたくもないのに読んでしまったときのような苛立ちと胸焼け感がある。これらの投稿は、地方出身者であれば誰もが思い出の片隅にある、インターチェンジ脇にある養鶏場から漂うかぐわしい臭いのような、インスタ映えとは対局の何かを放っていると、いちウォッチャーとして感じている。郷愁なのかなんなのか、こうしたデジタルpost”から放たれるダサさを筆者はついつい眺めてしまうのである。マツコ・デラックスもインスタを貶してばかりでなく、こうした投稿の面白さを拾ってほしい。

 筆者のオススメはデジタルpost”だが、絵日記タグも捨て難い。こちらは子育て系が異様に多い。「#子育て絵日記」タグではおびただしい数の子育て漫画がアップされている。正直どれも全然面白くないので、別に面白くもないのにどんどん描いてアップしていくモチベーションに驚かされる。他人の子供の写真をFacebookで見せられても何の感情も抱かないのと同じようなもので、身近な人にとっては「ウケる~」と共有できるしろものなのだろうか。

 子育て絵日記以上に今、気になるのは夫婦の日常を綴った絵日記だ。これはデジタルpost”と並んで筆者イチオシである。「#夫婦の会話」「#今日の夫」などのタグでもこうした夫婦の日常絵日記を見つけることができるのでぜひ検索してみてほしい。夫婦の日常を綴った絵日記の内容は、デジタルpost”のセックス体験談のようなものと趣が全く異なり、妻が愛情深い夫の様子を表現する投稿が多い。「いいね」の数もなかなかつく。なので筆者はこうした「#今日の夫」の絵日記の内容は「いいね」集めが目的であり、5割ぐらい嘘が含まれているのではないかという穿った見方をしている。とにかくインスタには多様な利用法があるのだ。

 このようにインスタにはマツコが嫌悪感を示すようなインスタ映えとは全く無縁の世界も広がっている。むしろそういった世界の方が広いかもしれない。インスタ映えという現象だけを見てインスタを毛嫌いしないでほしい。

(インスタウォッチャ〜京子)

ブログウォッチャー京子

1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

twitter:@watcherkyoko

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