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しつけとしての体罰、6割の大人たちが容認。保育園でも「たたいたほうがいい時あるよね」

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Thinstock/Photo by Bronwyn8

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 215日に公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが発表した『子どもに対するしつけのための体罰等の意識・実態調査』(昨年7月、国内の成人男女2万人を対象にインターネットで実施)の結果によると、子どもに対する「しつけとしての体罰」を容認する大人は6割近くにのぼった。家庭での「しつけとしての体罰」は未だに許容・肯定される傾向が残っているということだろうか。

 今回発表された意識・実態調査は、昨年7月、全国の20歳以上の男女2万人を対象に、ウェブアンケート方式で実施されたものである。意識調査では体罰等の容認度や子どもの頃に受けた体罰等の経験について。実態調査では意識調査回答者の中から18歳以下の子どもを持つ者を1,030人抽出し、自身の子どもへの体罰等の実態や子育て状況を質問している。

 まず意識調査では、しつけのために子どもに体罰をすることについて、「積極的にすべきである」1.2%、「必要に応じてすべきである」16.3%、「他に手段がないと思った時のみすべきである」39.3%と、56.7%の回答者が、程度の差はあれ体罰を容認・肯定する考えを持つことが明らかにされた。「決してすべきではない」は43.3%だった。回答内容と回答者の属性(年齢、性別、居住地、子どもの有無など)に大きな因果関係は確認できなかったという。「体罰」という言葉から連想する行為には個人差があるが、しつけのために子どもをたたくことについては、「積極的にすべきである」0.9%、「必要に応じてすべきである」15.5%、「他に手段がないと思った時のみすべきである」43.7%、「決してすべきではない」40.0%と、60%がしつけのために子どもをたたくことを容認・肯定している。しつけのために子どもをたたくべき理由としては、「口で言うだけでは、子どもが理解しないから」が42.8%で最多、「その場ですぐに問題行動をやめさせるため」23.6%、「痛みを伴う方が、子どもが理解すると思うから」20.6%、「たたく以外に子どもをしつける方法がわからないから」2.6%、「大人の威厳を示すため」1.8%

 また、全回答者に「怒鳴りつける」「にらみつける」などといった体罰以外の子どものこころを傷つける行為について質問すると、「怒鳴りつける」を58.2%(「積極的にすべきである」0.9%、「必要に応じてすべきである」20.2%、「他に手段がないと思った時のみすべきである」37.1%)が容認・肯定。「にらみつける」を44.9%、「屋上やベランダに出す」を25.9%が容認・肯定。最初の質問で、体罰を「決してすべきではない」とした回答者であってもうち33.4%は「怒鳴りつける」を容認・肯定していることも明らかになった。

 なお、回答者の体罰等の経験と子どもに対する体罰等の意識の関連については、たたかれる経験や怒鳴られる経験を持つ回答者は、そういった経験が全くない者と比べ、体罰等を容認・肯定する割合が高かった。他方、たたかれる経験や怒鳴られる経験が全くない回答者であっても3~4割が「お尻をたたく」「怒鳴りつける」行為を容認・肯定している。

 実態調査の結果で、18歳以下の子どもを育てている1,030人の男女のうち、過去にしつけの一環として子どもをたたいたことが「日常的にあった」1.9%、「時々あった」37.0%、「12回あった」31.2%、「全くなかった」29.9%。約7割が実際に子どもをたたいた経験を持っていた。子育てに関する状況との関連を見てみると、過去に子どもをたたいたことのある者の約8割が、日常において「子どもの言動に対してイライラする」「孤独を感じる」「家事、育児、仕事の両立が難しいと感じる」「家に引きこもり、子どもを連れての外出が難しい」と回答している。そして意識調査同様、子どもの頃に体罰等を受けた経験がなくても自身の子どもに体罰等をおこなう回答者は一定数存在し、また体罰等を「決してすべきではない」と考えていても子どもに対して体罰等をおこなってしまう回答者も同様だった。

 日本の法律では、学校などでの体罰および家庭などでの虐待は禁止されているが、家庭などでの体罰については明確に禁止されているわけではない。民法では「第822条 親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」と親権者の懲戒権が認められており、「しつけとしての体罰」は懲戒権の行使なのか濫用なのか、あやふやともいえる。しかし日本は国際条約である「児童の権利に関する条約」の批准国だ。同条約には、子どもに対する体罰は、どんなに軽いものであっても子どもに対する暴力であり禁止されるべきであると明確に規定されている。

 セーブ・ザ・チルドレンは、この報告書で3つの提言をしている。(1)子どもに対する体罰等を容認しない社会をつくるために、啓発活動を推進すべきである。(2)家庭を含むあらゆる場面での子どもに対する体罰等を、法律で禁止すべきである。(3)親や養育者が体罰等によらない子育てを学び、実践するための支援をさらに拡充すべきである。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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