
西内まりやInstagramより
15日、公正取引委員会が発表した「フリーランスの働き方」に関する調査報告書にて、芸能事務所と所属芸能人との間で締結される契約について“新制度”を検討していることがわかった。報告書によると、芸能事務所で構成される国内最大の業界団体・日本音楽事業者協会の、契約更新時の独立や移籍を事務所側が先延ばし出来るという規定を契約書のひな型から削除したり、所属芸能人の育成費用を回収すべくスポーツ界の「移籍金制度」の導入などを検討しているとのこと。
なお公正委員会は、現在の芸能人の働き方には「独占禁止法違反の恐れがある」と指摘し、「芸能事務所側が、契約更新の意思がない芸能人の報酬の支払いを遅延したり、移籍しようとした芸能人に芸名を使わせないなどの事例が過去にあった」とも発表。公正取引委員会の山本大輔経済調査室長は、「芸能人の方からしますと、契約終了時の選択肢が広がるということになります」と移籍トラブルの改善が期待されている。
これまで、さまざまなタレントが事務所とのトラブルで世間を騒がせてきた。今回、公正委員会が発表した「移籍しようとした芸能人に芸名を使わせない」との事例は、のん(24)の移籍が記憶に新しい。”能年玲奈”名義でレプロエンタテインメントから女優デビューを果たし、大ヒットを記録した『あまちゃん』(NHK)で一躍大ブレイク。しかし、同ドラマ撮影時も月給5万円という過酷な環境に置かれていたそうで、事務所との確執、洗脳騒動などのネガティブな報道が相次ぎ、瞬く間に表舞台から姿を消した。その後は、自身が代表取締役を務める事務所「株式会社non」を立ち上げ、”のん”として活動中ではあるものの、独立前と比べると露出はいまだ少ない。
LIBERAに所属しているローラ(27)は、17年8月の「週刊文春」(文藝春秋)がブラックな契約内容を報じて話題となった。同誌によると、ローラは「LIBERA」と2020年までの10年間契約を結んでいるのだが、例え満了したとしても事務所が自動で10年間の契約更新が出来てしまうという。ちなみにローラは同時期に、自身のTwitterで「10年の信頼をかえしてください」と意味深な発言をしている。
移籍以外にも、芸能人と事務所間の契約には多くの問題がある模様。17年11月には西内まりや(24)が、所属事務所・ライジングプロ・ホールディングスとトラブルを起こしたと報じられた。「週刊文春」(文藝春秋)によると、事務所社長と打ち合わせしたところ、突如社長を平手打ちして全治一カ月の怪我を負わせ、「もう我慢できない!」「私はアンタたちのためにこんなに頑張ってるのに何で認めてくれないの……」「私の心を返して! もう死んでやる!」などと叫んだそう。2月20日の「女性自身」(光文社)のインタビューによると、「ファンの皆さんに楽しんでいただけるようなエンターテインメントをお届けするという目標や、私自身は何も変わっていません」と芸能界引退は考えていないと語り、事務所との関係については「弁護士さんと相談して進めている件ですので、私がいまこの場所で語ることはできません」と言葉を濁していた。
17年6月には、西山茉希(32)は所属事務所・オフィスエムアンドビーの「給料未払い」を告発。西山茉希は2004年のデビュー当日から同事務所に所属してきたが、一度も昇給したことがなく、固定給で働いてきたそう。しかし、西山茉希が第二子を妊娠し切迫流産で入院中に社長から「給料を半額にする」「形だけ半額にしてあとは現金で渡す」とメールが届き、西山茉希が「減給ですか」と聞いたにも関わらず、社長は明確な返答をせず、実際同月から半額になってしまったそうだ。そして、17年2月からは、所属事務所から給料が1円も支払われていないことを明かし、問題解決に向けて弁護士と話を進めている。
その他、17年11月にはアイドルグループ「虹色fanふぁーれ」の元メンバーが、「月給は3万8000円。ただし、レッスン費の3万8000円が差し引かれる」「契約締結から5年は辞められず、契約解除以降も2年間は芸能活動は出来ない」などと不当な専属契約を結ばされたとして、契約解除や賃金相当額約400万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。
このように、タレントと事務所間の問題が大々的に報じられることが多いが、タレント以上に奴隷となってタレントと事務所のどちらにも尽くしているマネージャーも存在する。17年11月発売の「週刊現代」(講談社)には「芸能マネージャー 本日も人権なし」との記事が掲載され、AAAの元マネージャーが彼らを売り出そうと連日飲み会に参加し、疲れ果てて路上で眠ってしまったところタクシーに轢かれ亡くなったことを報じていた。
公正委員会が検討中の新制度については、2月18日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)でも取り上げられ、松本人志(54)は「もうそろそろ(芸能界の働き方は)変わらなアカン時期にきてることは、間違いないと思いますよ」、「若い人ですごく安い給金で大変で、でも辞めるのも怖い……みたいな人は、いっぱいいるだろなと思います」とコメント。業界の体質改善に積極的な姿勢を示したが、一方で「事務所側もね、せっかく売れて『ほんなら変わりますわ』ってそんなやられたら溜まったもんじゃないぜ、っていうのもわかる」との見方も示していた。音事協が検討している“新制度”をきっかけに、業界全体が変わっていくことを祈るばかりだ。
(ボンゾ)