連載

三大皮膚トラブル「虫刺され・汗疹・とびひ」の対処法

【この記事のキーワード】
三大皮膚トラブル「虫刺され・汗疹・とびひ」の対処法の画像1

Thinkstock/Photo by KatarzynaBialasiewicz

※この記事はメタモル出版ウェブサイトに掲載されていた森戸やすみさんの連載「小児科医ママの子どものケアきほんの『き』」を再掲載したものです

 暑い夏には、子どもの皮膚トラブルが多くなります。

 特に多いのが、虫刺され、汗疹、とびひの三つ。みんな赤くなりブツブツしますが、虫刺されは、一番多いのが蚊で1個だけあるいは数個でも離れていることから見分けがつきます。汗疹は盛り上がりが少なく、赤い部分はまとまって散在し数を数えることができません。とびひは、水疱の場合とかさぶたの場合があります。それぞれの原因と対処法を説明していきましょう。

<虫刺され>

 蚊に刺されると痒いのは、蚊の唾液に対するアレルギー反応のため。乳児は刺されてから12日後に痒みが出てくる遅延反応しかなく、幼児期から青年期には刺された直後から痒い即時反応と遅延反応のどちらもあります。うちの次女は1歳くらいまで蚊に刺されても痒がることもありませんでしたし、生後5~6か月未満の子はまだ、手をそこに持って行って掻くということは上手にできません。12日後でも乳児期にはそれほど強い痒みはないのでしょう。

 たとえ掻かなくても、ものすごい腫れと赤みや水疱がでたりするのは、蚊の唾液に対する過剰反応であるストロフルスです。これは冷やしてあげたり、ステロイドの入った軟膏を塗ってあげたりするとよくなります。

 蚊に刺されたときに、50℃のお湯をかけると痒くなくなるという説があるようです。痒み物質が壊れるという発想のようですが、残念ながらありえません。痒みを引き起こすのはヒスタミン、セロトニンなどが主体で、どちらも50~100℃程度では壊れないからです。低温火傷も心配なので、やらないようにしましょう。他にもセロハンテープを貼るといいとか、塩を塗り込むといい、石鹸で洗うといいという説があるのですが、どれも効果はありません。テープを貼れば空気に触れないからいいとか塩の浸透圧で毒を出す、石鹸のアルカリ性で中和するという理屈のようですが、蚊の唾液は皮膚内に入ってしまっているので意味はないでしょう。

 また痒みの原因物質を出すマスト細胞や白血球が、原因物質を出すだけ出した後に痒み止めを塗っても、あまり効果がありません。虫に刺されたらなるべく早くに薬を塗って、ヒスタミンの放出を防ぎましょう。ステロイド入り軟膏は、薬局で市販もされているし、皮膚科や小児科で診てもらって処方してもらうこともできます。目や口に入らないように気をつけて塗りましょう。

 でも、その前になるべく刺されないようにするのも大切です。最近、デング熱、日本脳炎など蚊が媒介する病気が話題ですね。他にも外国にはジカ熱、マラリア、黄熱、ウエストナイル熱などがあります。蚊に刺されたら痒いというだけの認識ではダメです。

 虫除けの効果があって認可されている成分はディートとイカリジンですが、従来それぞれの濃度は12%5%以下になっていました。2016年に厚生労働省が日本でも高濃度の製品を認めることを発表したので、各社が開発を急いでいるところです。ただし、今の濃度のディートでも厚生労働省が使用方法には気をつけるよう勧告をしています。生後6か月未満の乳児には使用しない、6か月以上2歳未満は11回、2歳以上12歳未満は1日に1~3回までです。袖や裾の長い衣服を着るのも虫除けになります。上手に使ってくださいね。

<汗疹>

 汗疹は、予防が第一。クーラーや扇風機などを使って涼しい環境を保つ、汗をかいたらそのままにせず、できたらシャワーを浴びさせてください。水道水で流したり、タオルなどで拭いたり、汗に濡れた服を取り替えたりするだけでもいいでしょう。子どもはよく額に汗疹ができます。額や鼻の頭に赤いブツブツが広がったら汗疹です。そのほか、オムツの中、仰向けに寝る子どもは背中など、長時間蒸れるところにできやすいでしょう。

 汗疹ができてしまったら、まずは痒みを抑えましょう。真皮に汗が染みることで炎症を起こしているため、涼しくして掻かないようにしていれば自然に治りますが、掻き壊すと汗腺膿瘍やとびひになります。痒みが強い場合は、皮膚科や小児科にかかりましょう。ここでも痒みをよく抑えてくれるのは抗ヒスタミン薬の塗り薬やステロイド軟膏です。ベビーパウダー、タルカムパウダー、天花粉は汗疹の予防にはいいのですが、汗疹ができてしまってからは炎症をひどくする場合があるので使わないようにしてください。

 以前、汗疹の話を書いたときに、「子どもがいてもクーラーや扇風機を使ってください、むしろ子どもにこそ必要です。汗をかけないようになることはありません」と書いたところ、主題だった皮膚トラブル以上に、そちらが注目を集めたことがありました。

 大事なことなのでこちらでも書きますが、「子どもが汗をかけなくなってしまうのでクーラーをなるべく使わないように」という説には、科学的な裏付けがありません。確かに汗をかく機会が多いと、ミネラル分の少ない水分ばかりの質のいい汗をかくようになるというのは本当です。でも、汗をかくための練習は必要ありません。暑ければ汗をかきます。そして、外出したりクーラーのない部屋に行ったりと、夏の間に汗をかく機会はたくさんあります。体温調節の能力が大人のようにまだ十分でない乳幼児は、近年の猛暑の中、水分・塩分が十分に取れない場合は、熱中症で命に関わることがありますから注意してあげてください。

<とびひ>

 子どもは、虫刺されや汗疹、傷などを掻きむしってしまうことがあります。すると血が出たり、なぜか周囲までぐしゅぐしゅになって水泡やかさぶたができたりすることがありますよね。これがとびひです。医学的な正式名称は、伝染性膿痂疹といいます。

 初めは1箇所の虫刺されやあせも、傷などでも、触ったり掻いたりすることによりブドウ球菌や溶血性連鎖球菌といった細菌が入り込むと、細菌が作り出す毒素が周辺にまで散らばります。そのため、離れた部分のまったく健常な皮膚にいくつも水疱ができたり、厚いかさぶたのついた発赤疹ができたりするのです。ですから、虫さされや汗疹、傷などを掻いたりしているようなら痒み止めを塗る、痒み止めパッチを貼る、ひどい汗疹なら内服薬ももらうなどすると、とびひになりにくいでしょう。

 とびひができてしまったら、放置すると広がっていくので早めの対策が必要です。小児科や皮膚科にかかって、抗菌薬(抗生剤)や痒みを抑える薬の内服をしたり抗菌薬・抗ヒスタミン薬の軟膏を塗ったりします。治るまでは、プールに入ると悪化するため入れません。また、病変部分の接触で他の人に移したりしないよう注意しましょう。

POS_00_ママパパ_A4

森戸やすみ

小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は世田谷区にある『さくらが丘小児科クリニック』に勤務。朝日新聞アピタルで『小児科医ママの大丈夫! 子育て』を連載中。Wezzyでも。医療者と非医療者の架け橋となるような記事を書いていきたいと思っている。

twitter:@jasminjoy

facebook

さくらが丘小児科クリニック

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。