連載

不慮の事故を減らすために知っておきたい子どもの死因順位

【この記事のキーワード】
Thinstock/Photo by Oleksandr Boliukh

Thinkstock/Photo by Oleksandr Boliukh

※この記事はメタモル出版ウェブサイトに掲載されていた森戸やすみさんの連載「小児科医ママの子どものケアきほんの『き』」を再掲載したものです

 乳児というのは1歳未満の子どものことですが、その死亡数はこの5060年で激減しました。1000人のうちどのくらい死亡数があるかということを死亡率と言いますが、厚労省の統計(24ページ)1950年の乳児死亡率は60.1。一方、2017年は1.9でした。これは1000人のうち1年間に1.9人しか死なないということで、世界でもトップレベルです。それだけ社会全体の生活や衛生、医療の水準が向上したということですね。

 時代とともに、死亡原因も変わってきました。昔は治療法が少なく、衛生状態も悪かったので1960年の乳児の死亡原因は肺炎や腸管感染症などの感染症が上位を占めていました。現在、そういった病気が原因で亡くなる子どもはとても少なくなっています。そういった感染症が減ったぶん、生まれたときの先天奇形や染色体異常、出生時の仮死や乳幼児突然死症候群(SIDS)、不慮の事故が上位になってきました。先天奇形や染色体異常、出生時の仮死や乳幼児突然死症候群(SIDS)は、人の力ですぐには減らすことができません。モニターやエコーなどの検査機器が向上しても、あるいは胎内治療法が開発されても染色体異常は減らせないし、胎児仮死・新生児仮死も減らすことはできないのです。乳幼児突然死症候群は、そもそも原因がわからないので、危険リスクを減らすことしか手立てがありません。でも、不慮の事故は努力次第で減らすことができます。

 厚労省が発表した2013年の子どもの死因順位(平成25年人口動態統計より)によると、0歳では不慮の事故は4位、14歳では2位、59歳では1位と年齢が上がるごとに増えてきます。では、具体的にはどんな事故が多いのでしょうか。年齢別に見ていきましょう。

<0歳>

 まだ自由に動くことのできない0歳児は、窒息が最多です。乳児は日々、成長発達が激しいので、昨日まで寝返りができなくても、突然できるようになることがあります。寝具は顔が埋まらない程度の硬さのあるものにしましょう。顔にかかって取れなくなるような掛物も近くに置かないようにしてスタイ・よだれかけ・衣服などの紐は寝る際に取りましょう。おでこに貼るタイプの冷却パッドも窒息の原因になります。あれは気持ちがいいだけで体温を下げる効果はありません。使う場合は、保護者が見ているときだけにして、目を離すときには取りましょう。

 また、赤ちゃんを抱いているときには、階段の上り下りを慎重にしてください。滑りやすい敷物も床から取ります。

<1~4歳>

 この年齢になると、不慮の窒息は2位になりますが、手を上手に使うことができないうちは、まだまだ危険ですから上記のことに気を付けてくださいね。それに加えて、なんでも口に入れる時期なので、誤嚥や誤飲にも注意が必要です。口に入るサイズのもの、薬、化粧品、整髪剤、除光液、洗剤などは子供の手が届かないところにおきましょう。噛みにくい食材は小さく切ってください。

 1位は交通事故です。歩けるようになった子どもは、初めは不安から保護者にくっついて歩きますが、次第に喜んで駆け出すようになり、飛び出したりもします。交差点はもちろん、駐車場では手を繋ぎ、あるいは抱っこしましょう。運転者からは身長の小さい子どもは見えにくいのです。

 そして、たとえ近所でも、車に乗せる際にはチャイルドシートを使いましょう。低速でも車が衝突事故を起こすと、その衝撃によって乗っている物や人の重さは何十倍にもなります。大人の両手でも支えきれませんから、車内の物にぶつかってケガをしたり、窓ガラスに衝突して車外に投げ出されることもあるのです。チャイルドシートの有無で死亡率、重症のケガの罹患率は全く違います。

 また、行動範囲が広がるので、ポットや炊飯器などの火傷の恐れがあるものは手の届かないところに置き、コードは引っ張ったり引っ掛けたりしないように巻いておく、保温のときには取り去る、ポットにはロックをかけるなどしましょう。お風呂での溺水や窓からの落下にも注意が必要です。

<5~9歳>

 1~4歳と同じく、最も気をつけたいのは交通事故です。就学後は子どもだけで出歩くようになりますから、特に歩行中の事故が増えます。特に7歳児の交通事故による死傷者数は、なんと大人の25倍。ですから、もう一度、交通ルールをしっかり教えておく必要があるでしょう。警視庁のサイトに注意事項などが載っているので、ぜひお子さんと一緒に確認してみてください。

 また、6歳未満の場合は必ずチャイルドシートを使用しましょう。それ以降も小柄な場合は使ったほうが安心です。それから、思春期を過ぎるまで子どもを助手席に乗せてはいけません。

 このほか、これからの季節は、なんといっても水の事故が心配です。子どもが落ちる危険のある溜池などの近くでは遊ばせないようにしましょう。プール、川、海などで遊ぶときは、アームヘルパーやライフジャケットを着用させてください。遊んでいる最中にひっくり返ることもあるので、目を離してはいけません。

 最後に、消費者庁が行っている「子どもを事故から守る!プロジェクト」のサイトをぜひ見てください。年齢別にどういった事故が多いのか、事故にあったときにはどういう点に着目し、どう蘇生したらいいのか、連絡する先はどこがいいかといったことまでがまとめられていて、登録すると週に一回無料で注意喚起のメールが届きます。

森戸やすみ

小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は世田谷区にある『さくらが丘小児科クリニック』に勤務。朝日新聞アピタルで『小児科医ママの大丈夫! 子育て』を連載中。Wezzyでも。医療者と非医療者の架け橋となるような記事を書いていきたいと思っている。

twitter:@jasminjoy

facebook

さくらが丘小児科クリニック

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

[amazonjs asin=”4862573606″ locale=”JP” title=”新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK (専門家ママ・パパの本)”]