冬は痩せやすい季節だった! 不足しがちな栄養素に注意

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Thinkstock/Photo by Svetl

※この記事はメタモル出版ウェブサイトに掲載されていた成田祟信さんの連載「管理栄養士パパのみんなの食と健康の話」を再掲載したものです

 暑い夏もようやく終わり、食欲の秋がやってきました。8月の記事では夏バテ対策の話をしましたので(※編集部注:再掲載にあたり掲載順を変更しています)、今回は秋冬に不足がちな栄養をテーマに、単なるハウツーではなく栄養学の知識にもふれていただけるよう書いてみたいと思います。

季節と栄養摂取量の関係

 まずは、秋冬に摂取量が減る栄養素を指摘し、それを上手に補うにはどんな工夫が必要なのかを書けば面白い記事になるはず。そう考えて、季節と栄養摂取量についての文献を調べました。ところが、記事を書く立場としては残念なことに(?)、秋冬はどちらかというと栄養摂取量は足りていて、季節による栄養摂取量の差は大きくないようです。比較的季節差が大きいのはビタミンAやビタミンCですが、夏に摂取量が減って、秋冬は多くなる傾向にありました。

 野生動物は食料の乏しい冬に備えて秋に栄養を蓄えますが、季節を問わず様々な食べものを入手できる現代の人間は冬でもしっかりと栄養を摂ることができているようです。冬には新鮮な野菜が不足しやすいイメージがありましたので、ビタミンがしっかり摂れているというのは個人的に意外な結果でした。

 しかし、食べた量だけでは十分なのかどうか判断できない栄養素もあるので注意が必要です。では、どんな栄養素が不足しないよう注意すべきでしょうか?

ビタミンD

 日光を浴びることによって体内で作ることができるビタミンDですが、冬場は日照量が少ないために十分な量を作ることができません。特に東北や北海道のような高緯度の地域では日照量が少なく、体内で作られる量が少ないため、食事からより多く摂る必要があるのです。ビタミンDが不足すると、カルシウムが腸から吸収されにくくなり、骨密度が低下し、骨が脆くなってしまいます。

また、冬から春にかけては、母乳中のビタミンD濃度も低くなるというデータがあります。赤ちゃんにビタミンDが不足すると、骨が変形してしまう病気「くる病」を発症することがありますので、特に授乳中のお母さんはしっかり摂りましょう。離乳食を始めている場合は、赤ちゃんの食事にも注意が必要です。

 ビタミンDが豊富な食品としておすすめしたいのは魚です。秋が旬のサンマやイワシ、サバといった青魚や鮭にはビタミンDが豊富に含まれていて価格も安価なので、ぜひ積極的に食べるようにしてくださいね。

ビタミンB群とビタミンC

 そのほか、特に秋冬に不足しないよう気をつけたいのが、ビタミンB群とCです。

 寒い季節は体温を維持するため、無意識のうちに筋肉をふるわせ、特に何もしなくてもエネルギーを消費します。身体を燃やして体温を上げたいときには、ビタミンB群の役割が重要です。特にウィンタースポーツを楽しむ人には、寒い時期に積極的に摂ってほしいビタミンといえるでしょう。中でもナイアシンは寒い環境下で消費量が増えることが知られていますから、肉や魚、ナッツ類、マイタケなどのナイアシンの多い食べものがおすすめです。

また、寒いところで過ごすのはそれだけで大きなストレスになります。肉体的、精神的にストレスがたまっているときにはビタミンCの消費量が増えるという報告もあります。ビタミンB群とあわせて、野菜や果物からビタミンCも摂るようにしたいものです。

 一方で、エネルギーを消費しやすい冬は、痩せやすい季節でもあります。

 汗をたくさんかく夏のほうが痩せそうなイメージがありますから、意外に思う方も多いかもしれません。汗をかくと痩せるイメージが強いのは、運動や入浴などで大量に汗をかいたあとに体重が落ちるためだろうと思います。これは身体の中から水分が一時的に失われた状態であり、食事や水をとると簡単に元の水準に戻ってしまいます。むしろ暑い夏には体温の上昇をおさえるために身体が節約モードに入ってしまい、エネルギーを消費しにくくなるため、一年のうちで一番太りやすい時期といえるでしょう。

寒さで出不精になってしまえば別ですが、ダイエット効果を一番実感できる季節ですので、体重が気になる方は冬に減量を計画するのもおすすめですよ。ただし、必要な栄養が不足しないよう気をつけてくださいね。

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