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日本に女性差別なんてない? 性別で扱いを変えることは「当たり前」じゃない。3月8日は国際女性デー

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Thinkstock/Photo by oneinchpunch

 38日は国際女性デーだ。女性差別の撤廃や女性の地位向上を訴える日であり、過去を振り返り変革の声を上げた女性たちの勇気を讃える日でもある。

 日本では、第二次世界大戦後の1945年、女性参政権が正式に認められた。1947年に施行された日本国憲法では男女の平等が明示され、姦通罪も廃止された。憲法24条で次のように定められている。

<婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない>
<配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない>

 1986年に男女雇用機会均等法が、1999年に男女共同参画社会基本法が施行された。1997年以降は共働き世帯が専業主婦世帯を上回っている。厚生労働省が3月2日に公表した人口動態職業・産業別統計によると、2015年度に第一子を出産した母親の45.8%が仕事を持っていた。

 この時代に、「女は意見を言うな」「女の子に勉強は必要ない」と表立って口にする人は完全に少数派だろう。今の日本に男女差別など存在していないと考える人もいるかもしれないし、むしろ女性専用車両やレディスデー、子の親権問題など子育てを巡り女性に付与される“権力”を例にとり、今の日本社会は男性よりも女性のほうが生きやすい構造になっていると思い込んでいる人もいるかもしれない。しかし実際のところ、そうした「女性優遇」に見える諸々は、女性が「女だから」という理由で嫌がらせを受けることを防ぐ目的であったり、ビジネス上女性をターゲットにして消費を促す目的であったりすることがほとんどだ。

 「女性はこうあるべき」(その裏返しの「男性はこうあるべき」も)という抑圧のムードは今なお、この社会に蔓延している。「女性」「妻」「母」という存在に対するリスペクトや応援の声がある一方で、理想的な「女性」「妻」「母」の枠からはみ出た人はバッシングされる。そして女性を分断する「専業主婦か、働く主婦か」「独身か既婚か」「子持ちか子なしか」といった属性ごとに優劣を争わせるような世論もまた、無意味である。女の幸せなんてものはない。追求するのは個々の幸せである。十把一絡げに性別という大きすぎる枠で「幸せ」の道筋を勝手に決定づけられては、たまったものではない。その幻想に囚われて息苦しいまま生きることになったら、それこそ「幸せ」とは程遠い。

 また、就職に際して、女性であることが不利とされる――という告発も今、話題となっている。31日は、大学生の就職活動の解禁日だったが、Twitter上では学歴や性別での「フィルタリング」が話題になっている。ある女子大生が、とある企業の説明会にエントリーを試みたところ「満席」状態だった。しかし、大学名はそのまま性別入力欄で属性を「男子」に変更してみると、説明会は「空席」表示になり、エントリー可能になったという。同じ大学に在籍する学生であっても、男子は受け入れ、女子は受け入れないという姿勢を持つ企業が存在しているということなのだろうか。

 男女雇用機会均等法では、募集・採用の対象から男女のいずれかを排除や優先したり、採用条件を男女で異なるものにしたりすることを明確に禁止している。ただし件の説明会に関して言えば、説明会での受け入れ人数が仮に100名だとして男女半々の参加者にしたい場合、すでに女子学生分の席は埋まっており、男子学生分の席は空きがあったという可能性も考えられる。

 厚生労働省は男女の賃金格差解消のためのガイドラインを設けているが、「賃金構造基本統計調査」によれば、女性の賃金は増加傾向にはあるものの、いまだ管理職に就く女性の割合が10%に満たない程度であることもあり、男性の賃金には追いつかない。また、労働の現場において、「女も評価して欲しいなら男と同じような扱いをしても文句を言うな」という物言いが通用してしまうことは今なおあるようだが、そもそもの「労働者の扱い」がいかに雑かという地点に立って考えることが必要だろう。もし「女だから優しくしてやっているけど、男には厳しく接している」というのなら、その「男への厳しさ」が間違ったものではないか、パワハラではないか、過労死を招くものではないか、不当な残業や理不尽な業務を強いていないか、まずはそこだろう。

 「女だから」「男だから」で受ける差別や不当な扱いに声を上げることは大切だ。当たり前だと認識してやり過ごしてきたことでも「当たり前じゃない」と問い直せば変えていける。国際女性デーは毎年、その気持ちを新たにさせてくれる日だ。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

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