3月に入り各テレビ局が4月期の番組改編を発表。ここ数年、視聴率が低迷しているフジテレビの一手にはひと際大きな注目が集まった。フジテレビは3月いっぱいで『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』『ウチくる!?』『おじゃMAP!!』といった長寿番組を軒並み終了させる。2012年からの数年で『HEY! HEY! HEY!』『森田一義アワー 笑っていいとも!』『SMAP×SMAP』などの番組を次終了させてきたフジテレビだが、今回の改編では『変わる、フジ。変える、テレビ』というキャッチコピーを掲げ、ゴールデン帯の改編率は29.8%にも及ぶという。
しかしその改編後のラインナップ、既視感が凄まじい。順にみていこう。『ウチくる!?』の後番組は、ハライチ・澤部佑(31)と同局男性アナウンサーがゲストとともに街ブラする『なりゆき街道旅』を2時間枠で放送。有吉弘行と生野陽子アナのお散歩番組とは違うのか? 芸能事務所が違うだけ?
続いて『とんねるずのみなさんのおかげでした』の後番組は、坂上忍(50)が世間を騒がせた人や事件に切り込むジャーナリズムバラエティ『直撃! シンソウ坂上』、『めちゃイケ』の後番組は、世界の変わった街を東野幸治(50)のMC、パネラー恵俊彰(53)が伝える『世界! 極タウンに住んでみる』となっている。
月曜23時には石橋貴明(56)とミッツ・マングローブ(42)が“ちょっと前の話”をテーマに”大人のノスタルジーを刺激するトーク”を展開する『石橋貴明のたいむとんねる』。水曜20時は林修(52)が知られざる“ニッポン”について授業をする『林修のニッポンドリル』。水曜22時は梅沢富美男(67)が巷に溢れる噂やネタに切り込む『梅沢富美男のズバッと聞きます!』が放送されるという。
番組こそ「変わる」ものの、肝心の出演者は坂上忍、梅沢富美男、林修、東野幸治といった“流行り”のタレントが勢揃いし、番組内容も定番の街ブラロケや世界を旅するバラエティなど、各局がすでに放送している飽和状態の企画ばかりが並んだ。
改編説明会でフジテレビの立本洋之編成部長は「不退転の決意で今回の改編に臨んでいる」「簡単に事態は好転しないことは承知しつつ、0.1%でも視聴率をあげる努力を惜しまずにしていきたい」と強い意志を口にしていたが、無難な番組を並べるだけで「0.1%でも視聴率がほしい」余裕のなさが露呈する結果となった。この3月で終了する番組群は、低視聴率、および視聴者クレームが相次ぐなど問題はあったものの、一方で少なからず固定ファンは獲得していた。長寿番組ゆえ多くの人が一度は目にしたことのある思い出深い番組でもあり、これらを打ち切り坂上・梅沢らの新番組をスタートさせることは「フジ凋落」をいっそう印象付けてしまう。月曜22時、日曜20時の枠などは新番組をスタートさせても視聴率がふるわずコロコロ企画を変えているがまだ成功例はない。
フジテレビの迷走の裏では、他局もしのぎを削っている。圧倒的な強さを誇る日本テレビは、ゴールデン帯の改編率わずか0.5%、ドラマ枠・ミニ枠を覗くと2000年10月期以来となる2期連続でのプライム帯無改編となった。自局の番組を見る習慣を視聴者に植え込むため、あえて改編をほとんどしないという。
また、2017年にゴールデン帯の視聴率が10年ぶりの2位にランクアップしたTBSは、特にドラマが好調。2015年にドラマ枠を5つから3つに絞ったことが好転したきっかけだ。昨年から打ち出した企画重視の姿勢が奏功し、多数の企画が集まり「よりよいものを選択できる」好循環が生まれている。芸能事務所(出演タレント・役者)ありきの企画ではなく、企画を練ってから出演者を決定する。フジテレビも真似してはどうだろうか。
(ボンゾ)