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妊活ヨガ講師になった妹。愛されママアピールのために作られた、嘘の世界

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 そしてそのブログを隅々までチェックしていると語るのは、今回の取材に同行してくれたBさん妻。身内の立場から、Bさん妹のつづる〈嘘〉がわかってしまうそう。

Bさん妻「妊活ヨガ講師を始めたら、急に〈設定〉が変わったんですよね。以前は家庭の愚痴とかをかなり赤裸々にブログで暴露しまくっていたのに、幸せいっぱいな愛されママみたいなノリになってびっくりです。『@@の法則を取り入れたら、夫婦仲がすごくよくなった!』みたいなことも書いていました。実際は全くそんなことはなく、夫婦仲はかなり微妙みたいですから、完全にビジネス上の演出です。住居も都心の一等地みたいなことを臭わせていますが、実際は山梨。それらはたぶん、以前通っていたネットビジネスセミナーあたりで、自分プロデュースなんて定番の手法をレクチャーされたんでしょう」

 まあ確かに、家庭内・夫婦仲の荒れている人物に妊活をアドバイスされても、頼りにならなそうだよなあ。それはさておき、ビジネスがらみのものもそうでないものも、ブログやSNSで語られている〈素敵な私〉の姿は、虚像であることが多いということを、再確認できるお話です。

 Bさん妹がそれに関わっているかは不明ですが、妊活ヨガ周りには、〈資格商法〉をはじめるとする問題もありそう。〈妊活ヨガ〉〈親子ヨガ〉〈マタニティヨガ〉など、ターゲットがよりピンポイントになるものを謳う講師の資格は、しっかりした技術をイチから学べるヨガ資格(例:全米ヨガアライアンスなど)に比べ、金額も受講内容も極端に手軽なものが存在。それって妊活以前に、怪我人が出るんじゃあ……なんて心配も頭をよぎります。

Bさん「あの優秀だった妹が『こんなポーズが着床をバックアップします!』とか語っている動画を見ると、なんとも言えない気持ちになるんですよ。妹の夫は僕よりさらに年上ですが仕事もしているのかしていないのか。とにかくほとんど頼りにならないようで、妹は金銭面も何もかも自力でなんとかしようと思っている節があり、生活がかかっていて必死なんでしょうけど」

助産院での出産がきっかけ?

Bさん「僕も妹が活躍するのは嬉しいですし、ヨガ自体は悪いものではないので好きにやればいいと思う反面、やはり根拠のはっきりしない話で人を怯えさせて金を稼ぐという行為は、とてもじゃないけど受け入れられるものではありません。正月に実家で、『コーヒーは代謝を妨げるから飲んじゃダメ!』と力説されたときは、ああいよいよヤバくなってきたな~と思い、すっかり距離を置くようになってしまいました」

Bさん妻「しかも義妹さん、前はコーヒーめっちゃ飲んでましたけど! そういえば、卵も砂糖も体に悪いって言い出して。ヨガのレッスン後に出すおやつをブログで紹介していたときは 『卵も小麦粉も使わない、ナチュラルなお菓子です』なんて書いてありました。いやいやいや、卵も小麦粉も自然なんですけど(笑)。あんまりワケわからなすぎて、一時期は熱心なブログ読者になっていましたよ」

 兄であるBさん以上に状況を把握している、義姉! さらにこんな解説が続きます。

Bさん妻「義妹が体の声とか努力とかで妊娠をコントロールできると思い始めたのは、完全に助産院の影響だと思います。2人目の子どもを助産院で産んだあたりから、ワクチンを拒否したり、自分の病気もレメディだけで乗りきろうとしたり、いわゆる〈自然派ママ〉になったんです。内海聡や、真弓定夫(過去記事ご参照)とかも大好きみたいですよ。そんな素地があるところに加え、うさん臭い成金ファッションの男性セミナー講師の元へ通い始めたことで、今の妊活ヨガビジネスへとつながっていったのでしょう。昔から、すごくがんばり屋だと感心する面もあるのですが、ベクトルが残念な方向へ行きがちなんですよね」

 親しかった友人が変わってしまい疎遠になると「人の縁には賞味期限がある」と表現し、仕方のないことと気持ちの折り合いをつけることもできますが、Bさんの言葉からは、家族の場合はそう簡単に割り切れないことが伝わってきます。

Bさん「頭がよすぎたのか、1周しておかしな行動に出がちな妹ではありましたが、よりにもよって、藁にもすがる気持ちになっている人たちにつけこむような、妊活ビジネスに流れるとは。僕が勤めている会社でも、それまでは穏やかな人柄で皆から好かれていたのに、妊活宣言をしてから人が変わったようにヒステリックになって職場をかき回したメンバーがいたんですよ。そのトラウマもあって、妊活と聞くと拒否反応が出てしまうというのもあり、妹の行動がますます受け入れられません。昔はそれなりに仲のいい兄妹だったのに、なぜこんなことになっているのか」

 Bさん妹は、心の底から〈世の女性の役に立ちたい〉と思ってやっていることかもしれませんが、無責任なアドバイスで妊娠を希望する女性たちの貴重な時間を浪費させてしまっているという事実は事実。このようなとき家族としてはどういう接し方をするのが正しいのか?

 この〈家族がトンデモになりまして〉シリーズに共通する〈悩み〉を解決する方法は、いつか出てくるのでしょうか。まだまださまざまなケースから、この暗闇を探っていきたい次第です。

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引き続き、みなさまの体験談も募集中です。ご自身の体験を語ってくださる方は、山田ノジルメール「nojiruyamada@gmail.com」へ、ぜひ情報をお寄せください。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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