
『ホリデイラブ』公式サイトより
今回は『ホリデイラブ』(テレビ朝日系・毎週金曜23時15分放送)に出演する松本まりかさんについて。女の情念をドカン、と表現した怪演が話題騒然となっていますが、ただホラーじみているだけの演技ではないと思うのです。そこから私も女性として学ぶべきことがあると推測しながら、最終回目前の本作を振り返ってみようと思います。
“ネイリストの高森杏寿(仲里依紗)は、夫の純平(塚本高史)と一人娘に恵まれた幸せな家庭を築いていた。そんな中、純平が単身赴任先で起こしてしまった不貞行為をきっかけに、高森家は崩壊の危機にさらされてしまう。不倫相手である井筒里奈(松本まりか)もまた、夫の渡(中村倫也)に関係がバレてしまい、二人の子供を置いて家を追い出される始末……。数え切れないほどの事件を乗り越えて、なんとか立ち直った高森家だったが、その幸せを孤独の身となった里奈は許すことができずにいたのだった”
テレ朝の金曜ナイトドラマ枠といえば、主演2人がまとも(に最初は見える)で、その周囲を取り囲む出演者が狂っているという“大映方式”の作品の印象がここ数年で強くなりました。記憶に新しいのは2017年に放送された『奪い愛、冬』でしょうか。その香ばしさをふんだんに取り入れたのが今回の『ホリデイラブ』です。
主演の仲里依紗さんは『あなたのことはそれほど』(TBS系・2017年)に続き、不倫サレ妻役。同作では「絶対に妻の座を渡さない」という凄みのある演技が話題になりましたけど、仲さんを軽く飛び越えて視聴者の心をガッチリと掴んでいるのが、松本まりかさん演じる、里奈です。
似た者夫婦なのでしょうか。里奈の夫も自分の思い通りにならないと怒りを露わにするキレ夫。女房を「貴様」と呼び、強姦しようとすることもありました。そんな夫から逃げたい気持ちもあったのか、里奈は純平と不倫。両家族をぶっ壊して、さあ純平と一緒になろうと画策するも、予想外に高森夫婦は絆が深かったというわけです。
里奈は、不倫に対する謝罪の意として、杏寿へ電話越しに土下座。が、その数時間後には、自宅を追い出されてネットカフェ難民となった里奈がカップラーメンをすすりながらぼやくのです。
「やっぱ無理……」
里奈は何をやっても裏があるように見える危険人物なんですけど、その中でも刺激的なシーンでしたね。これが最終回へどう続くのか。本作が女性視聴者から「ホラー作品」と酷評を受けるようになったのも松本さんがきっかけ。“狂い咲き女”の演技がまあ上手すぎるのです。
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