フリーおっぱい・おっぱいビールはNGでフリーキスはOK? YouTubeのガイドライン

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Kiii オフィシャルサイトより

 3月12日、渋谷駅前でバニーガールのコスプレを着て「フリーおっぱい」と書かれたスケッチブックを持ち、不特定多数の人に自らの胸を触らせた高校1年生の女性Youtuberが、同伴していた高校3年生の男子生徒と、映像制作に関わった23歳の男性とともに東京都迷惑防止条例違反の疑いで書類送検された。その動画は配信されることはなかったが、三人はYouTubeの広告収入を目的に「フリーおっぱい」を行ったと供述しているそうだ。

 同様の動画が昨年11月にも渋谷駅前で撮影されており、その時は現場で止められることなく動画公開に至っていた。その動画の女性Youtuberはバニーガールの服装ではなくごく普通の洋服を着用し、60名ほどの男女が胸を触っていたが、Youtubeの規約違反と判断され投稿からまもなくして削除されている。その後、女性はTwitterに「YouTubeは何で人の努力もわからずに……もっと過激な動画たくさんあるじゃん泣 私絶対有名になるからっ」と同じ動画を投稿。YouTubeにも、別のアカウントを使用し、年齢制限をかけて同動画を投稿している。

 昨今、YouTubeはアップロード動画の内容について規制を強化する動きを見せている。今年1月には「YouTube パートナー プログラム」にて動画を収益化するための新基準を発表。「チャンネルの過去12カ月間の総再生時間が 4,000時間」「チャンネル登録者が1,000人」という要件を満たしてから、初めて収益化の可否審査を受けられるようになった。

 審査では、動画コンテンツが「YouTube パートナー プログラムのポリシー」「YouTube 利用規約」「YouTubeのスパムポリシー」「YouTubeのコミュニティ ガイドライン」を遵守しているかが確認される。「YouTubeのコミュニティ ガイドライン」には、「YouTubeでは、ポルノや性的なコンテンツを許可していません」と明記されており、性的コンテンツを含む動画は行為の過激度に応じて、削除したり年齢制限を設けるなどして対応している。つまりそもそも「フリーおっぱい」のような動画を全年齢閲覧可能枠で投稿することはYouTubeのガイドラインに反しているわけだ。

 性的コンテンツを含む動画を「悪ふざけ」のノリで投稿するYoutuberは少なくなく、たとえば自らをサイテー東大生と称するYoutuberの稲井大輝が投稿した、海で女性をナンパして「おっぱいビール」をしてもらう動画は41万再生されている。女性の胸の谷間にビールを注ぎ、それを男性が下で飲んでいる映像だが、これは年齢制限がかかっている。

 また「おっぱい」はNGだが「フリーおっぱい」企画に似た「フリーキス」動画は問題ないと認識されているようだ。クリエイターマネジメント会社「Kiii」に所属している男性3人組のYoutuberユニット「よさこいバンキッシュ」は、渋谷の駅前で「フリーキス」をするという動画を投稿している。映像では無作為に選ばれた男女とキスをする3人の姿が映されている。よさこいバンキッシュの「フリーキス」動画は年齢制限なしで広告あり、カブキンというYoutuberの同様の動画も広告ありだ。

 問題は性的であるかどうかだけではない。wezzyで過去にも記事にしているが、明らかに性差別を助長する内容の動画など、人気Youtuberの投稿で問題含みのものは決して少なくはない。前出の「YouTubeのコミュニティ ガイドライン」は、<悪意のある表現は許可しません>と明示しており、具体的に<次のような特性に基づいて個人や集団に対する暴力を助長したり差別を扇動したりするようなコンテンツ>と示されている。

・人種または民族的出自
・宗教
・身体障がい
・性別
・年齢
・従軍経験
・性的指向性 / 性同一性

 さらに丁寧なことに、<たとえば、一般的に民族国家を批判することは許容されますが、特定の集団に対し、その民族であるという理由だけで差別を扇動することを主な目的としているコンテンツや、宗教など上記のような特性に基づいて暴力を助長するコンテンツは YouTube のポリシーに違反すると見なされます>との説明もある。

 しかし現状、Youtuberたちの投稿した動画でこのポリシーに違反しているものはかなり多い。前述のように性差別的な動画もあれば、特定の人種や民族への差別を助長するような動画もある。特に、まとめサイトなどの書き込みを転載する形で、テキストが上下にスクロールするだけの動画は数多くアップされている。同じく差別的な投稿を禁止しているTwitterと同様に、YouTubeも自らが設けているポリシーを徹底できていないのが現状なのだ。

 もちろん純粋に視聴者に楽しんでもらおうという心意気で趣向を凝らしたコンテンツを投稿するYoutuberも大勢おり、きちんと評価もされている。「Youtuberはよろしくない」などという偏見が(主にYoutuber投稿動画を閲覧しない人々のあいだで)広まってしまうのはもったいないことだ。

 露悪的だったりわざと過激な演出をしたりの動画コンテンツで知名度を上げようと目論むYoutuberは未だにいる。有名になりたいという野望がそうした行動に走らせるのかもしれないが、その動画は世界中の人間に拡散される。そのことに伴う責任を自覚しないまま、目立ちたい精神で暴走することは本人にとってもリスクが大きいと気付いてもらいたい。

(ボンゾ)

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