乳児の入場を禁止する改正案を熊本市議会が可決。「議論が必要」というコメントはなんだったのか

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 市議会議員の中でも意見はわかれていていた。毎日新聞の報道によると、緒方市議の行動について「原口亮志市議は『個人的な理由で議事進行を妨げたのは問題で懲罰の対象だ』と批判。共産党の那須円市議は「『事前に議会運営委員会に相談すべきだった』としながら『欧州では乳児を連れて議場に入ることもある。子育て世代の議員活動について議論が必要だ』」と述べていたのだという。また沢田議長は「『子育てが大変で思い詰めた部分もあったのだろう。子連れでも議会に参加できる仕組みを考えたい』と述べ、近く開催する議会活性化委員会で議論する方針」を示していたという。

 また大西一史熊本市長は、ツイッターに「議場の赤ちゃん連れについて、議会のルールについては執行機関側の長として発言は控えますが、この件を単なるパフォーマンスとしないためにも、子育てと仕事を両立する事がとても大変で困難な環境が沢山ある事を広く社会問題として捉え、一つ一つの改善策を議論する事が政治の仕事だと私は思います」とも投稿している。

 緒方市議の手法については評価がわかれるところかもしれないが、こうした発言を見る限り、緒方市議が求めていた「仕事と子育てを両立し女性が活躍できるような議会」に変化していく可能性を感じさせるコメントは確かにあった。

 しかし、実際は、わざわざ議会へ乳児を連れて入れないようにするための改正案が提出され、ほぼ全会一致で可決されるという結果に終わっている。

 また緒方市議は、以前から議会内託児所や防音された傍聴席の設置を求めていたが、実現しなかったため長男との議場入場に踏み切ったとも述べていた。この要望に対して議会事務局は「『託児所を設けても当面は緒方氏専用になりかねず、市民の理解を得られない』と説明」したのだという。

 事務局の説明からは、子育て中の議員の参加を積極的に推進していこうという意志は感じられない。子供がいても参加しやすい環境があってこそ参加意欲が出てくるのであって、環境を整えることが先ではないだろうか。

 議場に乳児を連れて入ることの是非は置いておくとしても、議会のこのような対応には不信感さえ抱かざるを得ない。11月の騒動の際には「開会の際に議長が議事進行の遅れを謝罪したところ、男性議員から『おわびする人間が違う』とやじが飛んだ」のだという報道もされている。本当に子育て中の議員も参加しやすい環境を整える気があるのだろうか。

 日本の国会の男女比はおよそ9:1、平均年齢は54.7歳。市議会になると女性議員がゼロというところもある。子育ては決して女性だけの役割ではない。共働きで育児をしながら議会に参加しやすい環境作りがなされることは、誰にとっても望ましいものではないだろうか。熊本市議会には、議会に乳児を連れて行くことを禁止するのではなく、女性や妊娠・子育て中の議員が参加しやすい環境作りの先駆けとなってほしい。
(もにか)

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