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認知症の可能性がある親に、つきっきりにはなれない。そんなときに頼れる「成年後見制」とは

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Thinstock/Photo by jacoblund

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 佐藤正子(@SATOMasako)です。こんにちは。

 さて、春めいてきましたね。私は、鼻水が出る、目がかゆくなるという謎の病気が来るので春の訪れにはかなり敏感です。

 ここしばらくは子どもの話をしてきましたが、今回は親のことを少し考えてみます。親と離れて子育てしていると子どものことでいっぱいいっぱいになりますよね。親と会ったのはいつぶりか、ちょっと振り返ってみてください。正月とお盆以外は会っていない、という人もいるかも?

 私は親とは電車で1時間くらいの距離のところに住んでいるのですが、子どもがいないときは全然会っていませんでした。まあ元気ならいいんですが……それでもときどき心配になります。父が73歳、母が67歳になりましたからね……まあいつの間にか連載中に私も40歳になりましたので当たり前なのですが。

 こんなことが起こったらどうします?

 久々に実家に帰ったら一人暮らしの母(68歳)が巨大な冷蔵庫と洗濯機(家族3~4人用)を買い替えていた。電化製品の調子が悪かったのは知っているが、一人暮らしの母親にはそこまで立派なものは必要がないはず。しかも家には食べきれないほどのおやつが貯まっている。高血圧で通院先の薬も種類が増えているし、ちゃんと飲めていないのか何袋もある……。

 またこういうのはどうしますか?

 75歳の父がひとりで住んでいるマンションの管理会社から連絡があった。父がゴミを出す日がわからないようで、ゴミの日ではないのにゴミを出していて、苦情が来ている。さらにゴミの分別を守っていない。実は、家賃の支払いも忘れているときがある。

 なんとか週末に行ってみたらゴミが家に溜まって床が見えないくらいになっていた。しかし、毎週帰るのはとてもじゃないけど無理……。

 母のケースで特に気になるのは、お金の使いすぎや食べ物の買いすぎですが気になります。このようなときには、後見人、保佐人、補助人(病気の程度によって変わりますが、お世話をすることが出来る人)をつけてもらうよう申請し子どもである自分がなる、あるいは、弁護士等の法律家になってほしいと希望するとよいかもしれません。

 後見人、保佐人、補助人は、お世話される人の財産の管理についての判断力の違いで決まります。

 判断力がないとされる後見の場合、後見人は本人に代わってほとんどのことが判断できます。財産管理に常に援助が必要な場合、保佐人が選ばれ、重要なことは保佐人が決めるとされますし、何を代理するかは保佐されるご本人と相談の上、決められます。補助人は、財産援助が必要な場合があるときに定められます。本人が同意することが必要です。あらかじめ補助される人が同意や代理をする行為を決めることもできます。

 例えば誰かが母親の後見人になった場合、母親の通帳を後見人が管理できるようになるので、お金の使い方がすぐにわかるようになります。買いすぎないようにクレジットカードなどを止めることもできます。なお、お母さんにお小遣い程度のお金を渡して、それを好きに使ってもらうことはできますので、生活に困ることはありません。

 自ら後見人になる、あるいは法律家になってもらうためには、まず、お母さんに認知症の検査を受けてもらうとよいでしょう。お母さんが内科に通院しているのであれば、病院までついていって検査をお願いしてみてください。内科であれば、認知症の検査はたいていできます。精神科でないと無理ということはあまりないようです。

 そのとき、事前にお医者さん宛に診断書のひな形や説明書を持っていくとなお、話が早いです。私が住んでいる滋賀の場合、こちらのサイトに書式が提供されています。

 後見や保佐、補助を裁判所へ申請するのは誰でもできるのですが、ただ、上記のサイトを見ればおわかりいただけるように、申立のための書式がずらっと並んでいて、かなりの量の書類作成が必要です。しかも、必要書類を法務局などから取る必要もありますので、ハードルは低くありません。

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佐藤正子

滋賀弁護士会。通称サトマコ(@SATOMasako)。大阪市生まれ。2005年より2011年まで大阪、その後は滋賀県高島市にて弁護士として働いています。一般財団法人河合隼雄財団監事、季刊刑事弁護編集委員、日弁連取調べの可視化本部事務局員など。美人でセクシーかつおもしろくてかしこい人になるのが目標です。2015年12月に女児を出産して、夫1人子ども1人の家族で暮らしています。

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