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サプリメントとの上手な付き合い方 栄養は摂りすぎても意味ナシ!

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Thinkstock/Photo by JPC-PROD

※この記事はメタモル出版ウェブサイトに掲載されていた成田祟信さんの連載「管理栄養士パパのみんなの食と健康の話」を再掲載したものです

 前回の記事では、サプリメントはあくまで食品なので、医薬品のような効果や、美容や健康増進などの働きは期待できないことと、そう思わせるような誇大広告には気をつけましょうというお話をしました。では、サプリメントは私たちの生活に必要ではないのでしょうか。今回は、サプリメントの上手な使い方を考えてみようと思います。

 季節を問わず様々な食べものが十分に手に入る現代では、望ましい食習慣の形成のためにも、必要な栄養素はなるべく食事からとることが望ましいのは言うまでもありません。ただし、特別な事情がある場合、栄養素の確保が難しい場合にはサプリメントなどの栄養補助食品を利用したほうがよいこともあります。

【妊娠を希望しているとき・妊娠初期】

 妊娠初期にビタミンB群の一種である葉酸が不足すると、胎児に神経管閉鎖障害という重い先天障害が起きることがあるため、十分な摂取が必要とされています。先天障害を予防するためには1日に葉酸を0.4mg摂る必要があると考えられるのですが、国民健康・栄養調査などを見ると1日の摂取量は0.3mg程度であり、また食品に含まれる葉酸の利用効率は低いため、サプリメントを利用することが推奨されているのです。

 ただし、サプリメントから葉酸をとる場合には、注意点がいくつかあります。サプリメントなど、特定の成分が濃縮された食品の場合、摂り過ぎによる悪影響が心配されます。必要な葉酸は0.4mg程度ですので、1mgを超えないよう、栄養成分表示を確認しましょう。

次に葉酸のサプリメントが必要な時期には妊娠に気づかない場合が多く、気がついてから飲み始めても間に合いません。なので、妊娠を希望しはじめたときから摂ることが大切です。また、妊娠初期を過ぎても、葉酸は胎児の成長に必要なので緑黄色野菜を中心に野菜を多めに食べるとよいのですが、食欲が低下している場合にはサプリメントを使ってもよいと思います。

【明らかに特定の栄養素が欠乏しているとき】

 何らかの事情によって特定の栄養素の不足がわかっている場合、それをサプリメントで補うのは悪いことではありません。

 たとえば、乳製品や卵も含め動物性食品一切を食べない菜食主義の場合、ビタミンB12が不足しています。菜食主義でも食事のバランスに気をつけていれば、たいていの栄養素は確保できるもの。でも、人間が利用できるビタミンB12は、動物性食品にしか含まれていないため不足してしまうのです。宗教上の理由で完全菜食をしている人が多い欧米などではよく知られているのですが、日本では十分認知されていないようなのでご注意ください。なお、病気で胃を切除した場合にはビタミンB12の吸収が極端に低下するため、薬としてビタミンB12が処方されます。

 次に、日光を十分に浴びられないときは、ビタミンDが不足しがちです。ビタミンDは日光を浴びることによって皮膚で合成されますが、冬の北日本のように日射量がとても少ない場合、十分な量を合成できないことがあります。そのほか日光湿疹の予防や美容のために肌の紫外線対策をしている場合にも不足することがあるでしょう。ビタミンDは魚などの動物性食品に比較的多く含まれていますが、アレルギーなどの理由で十分摂ることができない場合には、サプリメントの使用を考えてもいいと思います。

【病気や加齢などで十分な食事が困難なケース】

 健康な若い人の場合はサプリメントのような栄養補助食品が必要なケースは少ないですが、病気や加齢によって栄養素を十分に摂ることが難しい場合には、こうした食品を活用するのも悪いことではありません。

 病気でなくても、高齢になると食欲が低下して十分な食事ができないこともありますが、栄養素を濃縮した食品であれば、無理なく摂れるでしょう。歯の悪い高齢者では亜鉛が不足しやすい傾向がありますが、これは亜鉛の多い食品は貝類やナッツなど高齢者には食べにくいものが多いことと関係があると思います。亜鉛が不足すると味覚障害が起こることがあり、食欲低下の原因にもなるので、さらに栄養不足という悪いサイクルを招きかねません。サプリメントで補充することが本人の負担軽減になるのでしたら試してみてもいいのではないでしょうか。ただし、病気がある場合は医師に相談?薬との飲み合わせ

 ただ、いずれの場合にしても、栄養学の知識が十分でないと、不足しているのかそうでないのかわからない場合も多いでしょう。不足しているかどうかわからないのにサプリメントを摂るのは、過剰症の心配もあるのでおすすめできません。

 ひと昔前に、ビタミンやミネラルなどの微量成分をたくさん摂ることで、がんなどの病気予防、健康増進の効果が得られるのではないかと盛んに研究が行われましたが、調査の結果は思わしくなく、一部のビタミンでは却ってがんのリスクを高めてしまうというデータがでてきたことから、今では下火になりつつあります。しかし、こうした情報は一般にはあまり伝わらず、健康によさそうなイメージがいまだに残っていることが、サプリメントが流行っている理由のひとつかもしれません。どんな栄養素も、たくさん摂れば摂るほどよいということではないことを覚えておいてくださいね。

 さて、サプリメントなどの栄養補助食品について、いろいろと検討をしてきましたが、意外と有効な場面は少ないということがわかっていただけたのではないでしょうか。特定の栄養素を手軽に多量に補給できるサプリメントは、誰がとってもよいというものではありません。場合によっては健康を害する危険性のあるものです。ですから、自分が摂るときに慎重に検討するのはもちろんのこと、気軽に人にすすめないようにしましょう。

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成田祟信『新装版 管理栄養士パパの親子の食育BOOK』(内外出版社)

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