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レスリング伊調馨選手へのパワハラ問題、会見で激怒した谷岡郁子学長が今すべきこととは

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谷岡郁子氏公式Twitterアカウントより

 レスリング界におけるパワーハラスメントの告発問題は、未だ収束の気配を見せない。「週刊文春」38日号(文藝春秋)が、今年1月にレスリング関係者が代理人弁護士を通じ、内閣府公益認定等委員会に宛てて告発状を提出していたことを報道。この告発状の内容は、日本レスリング協会の強化本部長で至学館大学レスリング部監督の栄和人氏(57)が、伊調馨選手(33ALSOK所属)および伊調選手を指導してきた田南部力氏(42)に対して、パワハラ行為を重ねているというものだった。これを受けて315日、日本レスリング協会副会長で栄和人氏が所属する至学館大の谷岡郁子学長(63)がこの問題について会見を開いたが、事態を収めるどころかさらにややこしくするだけだった。

 「週刊文春」の報道を受け、栄氏および日本レスリング協会はパワハラを否定している。その後、栄氏は心労により体調を崩して療養中だというが、伊調馨選手とは別の選手から「栄氏にセクハラを受けた」「私もパワハラを受けた」と複数の追撃告発も出ている。

 谷岡郁子氏は会見で、告発状の存在により至学館大の学生たちへの誹謗中傷が発生していることから「わけのわからない風評被害」「私の怒りは沸点に達しました。もう我慢できない。私は本当に怒っています」と激怒。告発状の内容については「ザーっと見てすぐに私でも全く根拠のない話だとわかったので、これはとても恣意的な、わけのわからない文書だということを言いました」と全面否定したが、具体的に事実の検証を行った結果の言葉ではなく、反論として非常に弱いものだった。

 告発状によれば、伊調選手は現在、練習拠点としていた警視庁レスリングクラブへの出入り禁止を言い渡され、田南部氏も栄氏から「伊調選手に指導をするな」と圧力をかけられ警視庁のコーチを外されてしまったことから、思うように練習をできずにいる。2020年の東京五輪出場を目指しているが、その前の世界選手権、そして日本選手権を勝ち抜くためにも、練習環境を整える必要があるわけだが、“パワハラ”により阻止されていると訴える告発だった。

 しかし谷岡氏は、栄氏にそのような“権力”はない、と断言。至学館大の道場は「私が使わせると言えば伊調馨さんはいつでも使うことができます」から栄氏が「誰それには使わせない」と取り決めることなど出来ないとして、「その程度のパワーしかない人間なんです、栄和人は。パワーもない人間によるパワハラっていうのが一体どういうものなのか、私にはわかりません」と発言した。また栄氏について、学生たちは「監督は小心者だから、臆病だから、メンタルが弱いから、チキンハートだから」と口を揃えて心配しているとも言い、「パワハラなど出来る人間ではない」と擁護に回った。

 だが谷岡氏のパワハラ認識に大きな誤解がある。確かにレスリング協会副会長であり至学館大学長である谷岡氏から見れば、レスリング協会の強化本部長である栄氏は「パワーのない立場」であろう。栄氏よりも谷岡氏のほうが権力を持っていることは間違いない。しかし、コーチや選手たちにとって栄氏は「パワーのある立場」である。このことを谷岡氏は把握できていないようだ。そして谷岡氏の「私が使わせると言えばいつでも使うことができる」という発言からは、逆に協会および大学のパワハラ体質が滲み出ている。この組織内では、権力を持つ側の意見は慎重に精査されることもなく通過してしまうのではないか。

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