『anone』はすべての伏線が不幸に繋がる! 今冬1番の重厚ドラマが迎えるエンディングとは

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『anone』公式サイトより

 今回は『anone』(日本テレビ系・毎週水曜22時放送)について。本コラムは、各ドラマを出演する1名の役者さんにフィーチャーする形で紹介してきましたが、今回は作品そのものについて書いていこうと思います。というのも、本作は出演者すべてが主演クラスな上に、全員の演技が面白すぎるから。たった一人にフォーカスを当てるよりも、この作品をまるごと楽しんで欲しいと思って見どころをまとめることにしました。残すは最終回のみの放送ですが、最終話だけを見ても『anone』の世界に吸い込まれていくこと間違いなし、なのです。

“ネットカフェに住んでいた辻沢ハリカ(広瀬すず)、夫を亡くし娘から連絡を拒否されている林田亜乃音(田中裕子)、我が子を含む家族に捨てられた青羽るい子(小林聡美)、自営のレストランを廃業、不治の病に襲われている持本舵(阿部サダヲ)。ふとした偶然や事件が重なって4人が共同生活を送るのは、亜乃音の夫が営んでいた印刷工場。以前、同工場で働いていた中世古理市(瑛太)が4人を巻き込み、偽札作りを始める。そしてついに警察の捜査の手が印刷所に及ぶことに……”

 とにかく物語全体は切なさと悲しさの連打です。放送回を増すごとに不幸の濃度は増すばかりで、視聴中にクスリと笑ってしまうシーンが(私に至っては)ほぼありませんでした。でもこの不幸のミルフィーユ状態が『anone』にハマる理由のひとつ。

 その世界観を牽引しているのが、やはり坂元裕二さんの脚本。坂元さんといえば、直近だと『カルテット』(TBS系・2017年)で、毎週火曜に視聴者を感情の迷子にさせた名脚本家さんです。あの時は物語に張られていた伏線にドキドキしましたが、今回はその伏線すべてが“不幸”に繋がります。伏線が解かれるたびに「ああ……」と落胆してしまうイメージでしょうか。台詞回しに定評のある坂元さんゆえ、同ドラマでもさまざまな重厚な台詞が奏でられています。

「お金じゃ大事なものは買えないけど、辛いことは減らせるの」

「半分向こう側にいて、生きている子どもに愛されないから死んだ子どもを愛しているんです」

「いいことをして大事な人が死んじゃうんなら、悪いことしてもその人が生きてるほうがいい」

 そして演出を手がけているのは水田伸生さん。坂元さんと一緒に『Mother』(2010年)、『Woman』(2013年・ともに日本テレビ系)を作られたスタッフです。2人の手腕によって、脚本に書かれた一文がただ事じゃない不幸へとシフトアップしていくのです。

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