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レスリング界パワハラ騒動で「凄惨暴力・セクハラ」証言と「親族の虚言」疑惑が真っ向対立

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Thinkstock/Photo by Vitalij Sova

 レスリング界におけるパワーハラスメントの告発問題が、いっそう混迷を極めている。発端は、今年1月にレスリング関係者が代理人弁護士を通じて内閣府公益認定等委員会に宛てて告発状を提出したことだ。「週刊文春」38日号(文藝春秋)が、この告発状について報じたことで一斉に情報が広まった。告発状の内容は、日本レスリング協会の強化本部長で至学館大学レスリング部監督の栄和人氏(57)が、伊調馨選手(33ALSOK所属)および伊調選手を指導してきた田南部力氏(42)に対してパワハラ行為を重ねているというものがメイン。しかしレスリング協会・至学館・栄氏と、伊調を含む告発側とで真っ向対立したまま現在に至っている。

 告発状によれば、伊調馨選手は現在、練習拠点としていた警視庁レスリングクラブへの出入り禁止を言い渡され、田南部氏も栄氏から「伊調選手に指導をするな」と圧力をかけられて警視庁のコーチを外されてしまったという。伊調選手は2020年の東京五輪出場を目指しているが、その前の世界選手権、そして日本選手権を勝ち抜くためにも、練習環境を整える必要がある。しかし“パワハラ”による阻害を受けているため思うように練習ができずにいる、と訴えるものだった。

 「週刊文春」はさらに315日発売の号でも追撃。栄氏の暴力やセクハラを複数の元教え子ら至学館関係者が証言している。それによれば、元教え子の女子選手A子さんは栄氏によって「他の選手が見ている前でビンタや蹴り」を入れられ、「先の割れた竹刀で太ももの裏を何度も何度も叩かれ」て「20センチくらいのミミズ腫れとなり、お腹や鼻にも切り傷ができました」。A子さんはパニック障害のような症状に苦しんだという。

 また別の女子選手B子さんは人目につかない場所で栄氏から執拗に殴られ「翌朝、B子の片目は“お岩さん”のように真っ青に腫れ上がっており、目頭からは血が流れ続けていました」という。この暴行事件は揉み消された、という。また、栄氏の日体大時代の同級生が、酒に酔った栄氏がレスリング部の同級生C氏に暴力をふるったことを証言。栄氏は「ビール瓶を叩きつけ、尖った先端部分をC氏の顔面に突き刺した」「C君の鼻の辺りから、血が噴水のように吹き出し」「六十針以上縫った」そうで、C氏はレスリング部を引退して故郷へ帰ったという。顔に大きな傷が残っており、C氏の母親は同誌取材に「死ぬまで恨みますよ、私は……」。くわえて、栄氏から肉体関係を迫られたという女子選手たちの声も生々しく刺激が強い。

 対して、同じく315日発売「週刊新潮」(新潮社)は、冒頭の告発状自体が、栄氏を恐喝するために仕組まれたことだと真っ向対立する記事を掲載している。同誌は前週号で、栄氏のパワハラ否定と「もしかしたら、馨の従兄弟だというあの男性に、私との確執が一因となって、謀られることになったのかもしれませんが……」という疑念を掲載。告発状を仕掛けたのが伊調馨選手の従兄弟であり、恐喝容疑で逮捕された経歴のある元芸能事務所経営の男だ、としている。

 そして同誌の見解では、告発状で「パワハラを受けた」と訴えるのは日体大OBばかりであり、女子レスリングが至学館一強体制であることを快く思わない日体大勢が、伊調選手の従兄弟の策略に乗ったのではないかという見方を示している。また、伊調選手と田南部コーチが不倫関係にあるのではないかという疑惑もあり、その疑惑ゆえに栄氏は伊調らを厳しく注意したという理屈だ。

 一方は、「パワハラ」「セクハラ」「暴力」があった、という主張。もう一方は、「至学館を転覆させるための罠だ」という主張。まったく噛み合わず、まさに泥沼の様相を呈している告発合戦だが、告発状を受理した内閣府公益認定等委員会は、告発状を提出した側への聞き取り調査をすすめている。真実がどこにあるのか、徹底的に解明する必要があるだろう。

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