『隣の家族は青く見える』最終回ハッピーエンドもどこか白々しい?

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『隣の家族は青く見える』公式サイトより

『隣の家族は青く見える』公式サイトより

 木曜ドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)が322日に最終回を迎えた。最終回の平均視聴率は7.9%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と高いとはいえなかったものの、ネット上での評判は上々で、主演の深田恭子(35)と松山ケンイチ(32)演じる五十嵐夫妻のラブラブぶりも「理想の夫婦!」と喝采を浴びている。

 確かに深田恭子と松山ケンイチのカップルは素晴らしく爽やかで素敵、お互いを思いやる気持ちにあふれた「理想の夫婦」だ。けれどこのドラマ自体はどこか薄い、口当たりはマイルドで悪くないけれど印象に強く残らない作品となってしまっていたように思う。

 各家族が意見を出し合いながらルールを作り上げる住居”コーポラティブハウス”に住む4組の家族を描いた『隣の家族は青く見える』。不妊で悩む五十嵐大器(松山ケンイチ)と奈々(深田恭子)夫婦を軸に、一見すると幸せそうなのだがどこかに問題を抱えている4組。

 川村亮司(平山浩行)と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)は婚約中のカップルだが、元妻が事故で他界したことで亮司は息子を引き取ることに。しかしちひろは「子供は作らない」という前提で亮司と結婚を決めており葛藤する。小宮山深雪(真飛聖)と真一郎(野間口徹)夫婦は幼い姉妹の親だが、真一郎は度重なる単身赴任と海外出張に限界を感じ大手商社を辞めて就活中。深雪は夫に仕事をしているふりをさせるなどして、SNSで理想の家族を演じていた。彼らの住むコーポラティブハウスを作った広瀬渉(眞島秀和)は、青木朔(北村匠海)と同棲する同性愛カップルだ。

 不妊治療、ステップファミリー、子供を持つか持たないか、仮面夫婦、同性愛。複数のテーマを詰め込み、並行して描いてきたわけだが、最終回では全てのカップル・家族がそれぞれの落とし所を見つけうまくまとまった。小宮山家の妻・深雪は、娘のダンスに理解を示し、中学受験の強要もやめ、夫婦の離婚もなしに。渉と朔は、渉の母・ふみ(田島令子)もふたりの関係を理解し、ふたりは区のパートナーシップ宣誓書にサイン。亮司とちひろも事実婚誓約書にサインし、亮司の前妻との息子・亮太(和田庵)を二人で育てていく。

 いずれも美しくまとまりすぎているがゆえにリアリティは薄く「ドラマなんだな」と、画面の向こう側の出来事を傍観する姿勢になってしまった。不妊治療のくだりも説明的な部分が多く、ラストのまとまりも含め啓蒙ビデオのようでもあった。人間の美しい部分を切り取ってショーにしているような印象が残る。とはいえ、役者たちが問題を抱えているわけではない。深田恭子はその可愛らしさで大輪の花を背負っているし、松山ケンイチの演技力はさらに向上しているようで何気ない相槌などが飛び抜けてうまい。そして特筆すべきは松山の母親役を演じた高畑淳子だろう。

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