『幸色のワンルーム』実写ドラマ化に当たって丁寧で慎重な表現を期待する

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『幸色のワンルーム』(スクウェア・エニックス)

 家では親から虐待を受け、学校では同級生からのいじめと教師からの性暴力の被害にあっている女子中学生が、ストーカーの青年に誘拐され、過酷な日々から逃れる、という漫画『幸色のワンルーム』(スクウェア・エニックス)の実写ドラマ化が決まったというニュースが今月22日に流れた(「幸色のワンルーム」実写ドラマ化、誘拐犯と被害者の幸せな日々綴る物語)。

 『幸色のワンルーム』はもともと、作者のはくりが2016920日に「世の中にはいろんな人がいると言う話」という書き込みと共に投稿した漫画が元になっている(以後、ツイッターに投稿されたマンガのタイトルを「世の中にはいろんな人がいると言う話」とする)。

 その後、20172月から『幸色のワンルーム』という題名で無料マンガサイトpixivコミックでの不定期連載が開始。コミックス版も発売され、第4巻まで出ている。

 「世の中にはいろんな人がいると言う話」が投稿された同年の327日、埼玉県朝霞市で女子中学生が2年にわたり監禁されていた事件が発覚している。犯人は2014310日に、当時中学1年生だった少女に声をかけ、千葉市の自宅に誘拐。その後、20163月まで千葉市と東京都中野区の自宅に監禁していた。

 事件発覚後、ネットの書き込みだけでなく、テレビのコメンテーターも「なぜ少女は、犯人が2年間、毎日のように大学やアルバイトに通っていたにもかかわらず逃げ出さなかったのか」「逃げられたはずなのに逃げなかった。つまり少女も犯人との「生活」を望んでいたんじゃないか」といった軽率な憶測を垂れ流していた。果てには女子中学生を2年間監禁していた犯人を羨ましがる書き込みもネット上に見られていた。

 実際には、その後の捜査によって、犯人は少女が逃げ出せないように、玄関の外側に鍵をかけ、少女に「さがさないで」というメモを書かせて少女宅に投函させる、「私は捨てられた」と復唱させ洗脳するといった行動を取っていたことが発覚している。少女は逃げなかったのではなく、逃げられなかったのだ。

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