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とんねるずの「バラエティを滅ぼすなよ」というメッセージに、被害者意識が滲む

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フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした」公式インスタグラム より

フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした」公式インスタグラム より

 3月22日の放送をもって、30年続いた長寿バラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)が終了した。最終回の平均視聴率は9.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、今年最高の数字だったという。1988年に『とんねるずのみなさんのおかげです』の番組名で放送スタートし、1997年6月に『〜した』となった同番組。とんねるずとして一時代を築いた石橋貴明(56)と木梨憲武(56)だが、これで「とんねるず」の冠番組は一旦なくなる。

 この30年でテレビをめぐる視聴者の姿勢も、制作側の意識も、徐々に変化した。とんねるずは確かにスーパースターだったし、彼らを尊敬し信頼するテレビマン、中堅・若手芸人はとても多い。だからこそ番組が終わらなければならないことについて、妙な「被害者意識」が根を張っているようにも見える。面白いことをやり続けているはずなのに、世の中が息苦しく窮屈に変わってしまったせいで、ここにいられなくなるのだ……というような。

 最終回は、TBS系で1996年〜2010年まで放送していた石橋とSMAP中居正広(45)司会の歌番組『うたばん』のパロディである「ほんとのうたばん」企画で締めた。その名もの「さいごのうたばん」。「とんねるずのみなさんのおかげでした」スタッフで結成し人気アイドル状態にまでなった音楽ユニット「野猿」の元メンバーたち、そして石橋木梨と同い年の歌手・松田聖子(56)が登場。当時売れていたミュージシャンのミュージックビデオを、とんねるずやスタッフがそっくりに仕上げた過去のパロディMV集が多く流されたが、それを見ると「終わるべくして終わった」ことは明らかだった。とんねるずはその頃縦横無尽に暴れまわるプレイヤーだったが、もうここ数年はプレイヤーとは呼べないポジションにいた。

 ここ何年かは、コントやパロディMVは封印され、「食わず嫌い王」「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」「男気じゃんけん」「全落・水落シリーズ」「2億4000万モノマネメドレー選手権」「きたなトラン」「芸人が高い何かを買う」などの企画で回っていた。そのほとんどが、とんねるずはプレイヤーではなく、審査する立場だ。その結果、誰がプレイヤーになるのかといえば若手・中堅芸人だ。するとそこにとんねるずがいなくても笑いが成立してしまうケースが多い。巧みな話術でエピソードを引き出すでもなく、むしろ高圧的な側面が目立ち、若手が恐縮する場面もそのまま移される。とんねるずは「スーパースター」だったが、放っておいても栄光が持続するわけではない。時代も確かに変わったが、彼ら自身も大きく変わったのだ。

 最終回ラスト、ヒット曲「情けねえ」を歌唱したとんねるずは、最後のサビの歌詞を変えた。「この国を/滅ぼすなよ」という元の歌詞を、「バラエティを/滅ぼすなよ」に、「この国を/おちょくるなよ」を「フジテレビを/おちょくるなよ」と変えて歌った。『SMAP×SMAP』最終回のように、歌で締めたのは視聴者の涙を誘ったと思う。これを受けて、ナインティナインの岡村隆史(47)が22日深夜放送のラジオ番組『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』で「最後の歌詞にもあったと思うんですけど、やっぱバラエティーという……ねぇ。本当に何なんでしょう、情報、グルメ、東大、クイズ、そんなことばっかりになってきますから。なんかね、さみしいですね。パロディとかも見られなくなるっていうのが。やっぱりそういうのも見たいですし」と憂えた。ナイナイも長く続けた『めちゃ×2イケてるッ!』が31日放送で終了する。

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ヒポポ照子

東京都在住、兼業ライター。

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