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井ノ原快彦が『あさイチ』で残した名言があまりに多い!柔軟性と寄り添う姿勢、想像力と広い視野

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『あさイチ』と共に成長した井ノ原快彦の8年間。日本中に愛された名コンビが残してくれたことの画像1

V6 オフィシャルサイトより

 3月30日放送の『あさイチ』(NHK)をもって、8年間にわたりキャスターを務めてきた井ノ原快彦(41)と有働由美子(49)が卒業した。最後の放送で井ノ原が着用したシャツの袖口には「3」と「9」の数字が。サンキュー、という意味だろうか。

 『あさイチ』は2010年のスタート時から10%前後(ビデオリサーチ調べ・関東地区/以下同)の安定した視聴率をキープ。2015年から2018年のデータを見ても15%前後を推移しており、同時間帯では不動のポジションを築いてきた。

 その要といえるのが井ノ原快彦と有働由美子コンビだ。二人は常に、過去にとらわれず「今」を観察し、彼らの言葉と価値観を視聴者に提示してきた。広い視野を持ち想像力をはたらかせる井ノ原快彦の存在は、視聴者にとっては心強い存在であり、視野が狭くなりがちなマジョリティ層の視聴者にも多くの気付きを与えてくれたはずだ。

 「イマドキ シングル女性」について特集した放送回では、視聴者から「ただでさえ結婚しない女性が多い昨今、その風潮を煽るような番組はやめてほしい」とのFAXが番組に届いた。すると井ノ原は、「こういう番組をやることによって少子化が進むんですか?」「本当にそれだけが理由なのでしょうか」と疑問を投げかけ、「それよりも、今『本当につらい』とか『一人でどうしよう』とか不安を抱えた人たちが、どうやって生きてくかっていうことも大事」ともっともなコメントを残している。

 またLGBTについての特集でも、井ノ原は「人として付き合っていけたら一番いい。ゲイだろうとレズビアンだろうといい奴も悪い奴もいる」と主張。さらに「この番組を見て理解した気になる前に、自分だったらどうか想像してほしい」と訴えた。

 夫婦別姓問題では「家族の一体感が損なわれる」という意見に対し、「姓が同じの夫婦でも一体感がない時だってある」と持論を展開。痴漢問題では「軽く肩を触ってセクハラと言われては……」という番組で紹介された加害者側の意見を、「その気がなくて触るのは意味がわからない」と真っ向から否定した。

 「スメハラ」特集で紹介された女性の“ワキ汗”を批判するようなアンケート結果を見て、「ハラスメント」「この結果自体が信用できない」と切り捨てるなど、時には制作陣の意向に沿わない形でも、はっきり主張してきた井ノ原。子育ての話題や沖縄基地問題、原発特集などにも、忖度なしに当事者の目線を想像して切り込み続けた。

 社会問題へのコメントだけでなく、共演者への配慮が賞賛されたことも多々ある。共に卒業する有働アナは、番組で“未婚イジリ”をされることが多かったが、セクハラ特集に関連させて井ノ原は「この番組でも結構(セクハラだと)思うことは多い」「”縁結び”とかのネタの時に有働さんに全部振るのはどうかと思う」と批判。そして、相手が有働アナのように強くて返しが上手い女性だとしてもセクハラはセクハラであり、しっかり配慮をしなくては悪気がなくてもセクハラの加害者になってしまうと注意を喚起していた。

 そして、2人の番組卒業が発表された際、有働アナが「(卒業理由を)一部で『結婚じゃないか?』『プライベートの充実のために』とか言われてますけど、プライベートの充実のために仕事やめないよね。ってか充実してるから!」と言い放つと、井ノ原快彦は「(独身は)充実してない前提やめて! してるから! 結婚してても充実してない人いるから!」と合いの手。有働由美子アナもこれに「ですよね! 私は(結婚)してないけど充実してます」と笑顔で答えていた。

 井ノ原は専門知識で理論武装するよりも、他者に寄り添って物事を考える姿勢で、番組を支えてきた。その人柄は、特集だけでなくプレミアムトークでも発揮されており、常に聞き上手だった。木村拓哉(45)が出演した際には、元SMAPメンバーのことを「自分たち」と話しにくそうに言葉を濁す木村に、「自分たちって“SMAP”のことですか?」と直球で質問。木村はこれに「うん」と答えていた。何気ないやりとりだったが、視聴者からは「生放送でこれを聞けるのはイノッチだけでしょ」「多分この質問ひとつでキムタクも少しだけ救われたと思う」と感謝のコメントがSNS上に多数並んだ。

 そんな井ノ原自身も、『あさイチ』への出演で成長していったのだと振り返っている。3月8日に公開された「朝日新聞デジタル」のインタビュー記事で、井ノ原は「『あさイチ』が始まったとき、NHK地上波はいろんな方が見ておられるから、相当フラットな立場でなければ、キャスターは務まらないなと思いました」と告白。そして「だから、女性から『よく言ってくれた』という反応があると、ありがたいなと思う半面、『そうなのか、世の中は』と複雑な気持ちになりますね。女性がどういう思いで生活し仕事をされているかを想像し、差別や偏見が知らず知らずのうちに生活の中にはびこっていることを強く感じます」。「そんなことないだろう、世の中は」と反発するのではなく、「そうなのか、世の中は」と受け止める柔軟性。これこそが彼の持ち味だった。

(ボンゾ)

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