ライフ

働きやすい会社は「女性を優遇」とは考えない。働き方改革の本質とは

【この記事のキーワード】
働きやすい会社は「女性を優遇」とは考えない。働き方改革の本質とはの画像1

Thinkstock/Photo by Vasyl Dolmatov

 2018年度の生活が始まった。昨年度は「働き方改革」が叫ばれる一方で、裁量労働制の是非が問われるなど、働き方に注目が集まった1年だった。その流れは年度の区切りで途切れるわけではない。2016年秋に発覚した広告大手・電通社員の過労自殺が労災認定された件が、経済界に与えたインパクトも非常に大きかった。

 政府が「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標(『202030%』)」を設定したのは2003年のこと。2020年まであと2年足らず。しかしながら厚生労働省が発表した2016年度時点での女性管理職の割合(企業規模10人以上)は、12.1%だ。

 『202030%』目標が設定された2003年より以前、1990年代半ばの段階で、専業主婦世帯より共働き世帯の数が上回っており、女性が働くことは特別なことではなくなっていたはず。にもかかわらず、女性がリーダー的地位に就く割合は現在もなお、1割超にとどまっているということである。

 女性が管理職や指導者になれない、なりたがらない要因のひとつとして挙げられるのが、マネジメントに伴う長時間労働である。重要なポジションになればなるほど、責任者としてプライベートを犠牲にし仕事を最優先にしなければならないという労働観も根強く、女性には結婚・出産・育児との両立が難しいだろう、と敬遠する向きがあること。同時に、女性自身が「家庭などプライベートを犠牲にし、プレッシャーに耐えてまで管理職に昇進したくはない」と消極的になる側面もある。結果、マッチングがうまくいかずに、意欲を持つ女性も昇進の可能性の低いマミートラックにのせられたり、退社したりの悪循環を生んでしまう。

 では、積極的に女性の管理職登用を推進する企業は、どのような施策をとっているのか。「ポテトチップス」や「じゃがりこ」で有名なカルビー株式会社(1949年創立)は、2010年にダイバーシティー委員会を結成。「女性の活躍なしにカルビーの成長はない」「多様性なくしてカルビーの成長はない」という方針で、女性に限らずすべての従業員がワークライフバランスを取りながら働けるよう、支援制度を充実させる方向に舵を切った。カルビーでは小学生の子ども2人を育てる執行役員女性が「16時退社」を継続しながら成果を上げてきたことが、20142016年にかけていくつかの媒体でクローズアップされ、驚いた方もいるだろう。

 同社は2016年には、女性活躍推進法に基づく優良企業認定を受け、内閣府による「女性が輝く先進企業表彰」では『内閣総理大臣表彰』受賞。また、経済産業省と東京証券取引所が選定する女性活躍に優れた上場企業「なでしこ銘柄」にも4年連続で選ばれている。2017年度4月の女性役員比率は20%(15人中3人)、女性管理職比率は24.3%(272人中66人)、ちなみに2017年度4月の女性従業員比率は46.9%(3,705人中1,737人)だ。

 2009年にカルビーの会長兼CEOに就任した松本晃氏は、多くのインタビューに応えているが、きわめて明快に「長時間会社にいるだけで働いた気になっている社員など要らない」と語る。同社の働き方改革は、「女性を優遇するため」ではなく、効率的に利益を追求するために社員の働く意識を変えた。簡単にいえば、成果を出さなくとも年功序列で賃金やポジションが上がる日本的な組織風土にNOをつきつけ、人事評価の基準も大きく変えたという。どれだけ残業して頑張ったかではなく、結果に表れる数字を見る。優秀ならば男女や年齢を問わず上に。中央集権的な組織ではなく、各部署のリーダーが裁量を持てるよう分権化し、組織の階層自体もシンプルにした。その結果として、長時間労働で会社への帰属意識を問うこともなくなり、時短勤務の女性でも執行役員になれる。実にわかりやすい。

1 2

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。