アリーナ・ザギトワ選手への恥ずかしい接待「日本のどこが好き?」「好きな男子は?」「高いお寿司だよ」

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 スケートへの向き合い方などをザギトワ選手が語ると、番組出演者は「これが15歳の言葉ですか!」と大げさに驚いて見せるため、話がそれ以上広がらない。結果的に、「親日家」で「犬好き」だという側面以外の“素顔”は見えて来ない。フィギュアスケートについて語れるゲストを誰か一人でも出演させていれば、こうはならなかったかもしれないが。

 同じくTBSの『新・情報7daysニュースキャスター』では、安住紳一郎アナウンサーが男子金メダリストの羽生結弦選手へインタビューを敢行しているが、安住アナは堀尾やテリーの「いい質問」をばっさり割愛していた。事前に番組スタッフが用意した「町の皆さんの質問」をまとめたフリップには、「お嫁さんはどうするんですか?」という質問もあったが、安住アナは「現役のアスリートに聞く質問じゃない質問も入っていますので、答えなくていいものは答えなくていいと思います」とスルーを促した。

 トップアスリートの“素顔”やプライベートが垣間見える映像を撮りたい、意外性を引き出したい、という番組制作側の意図もわからなくはないが、それならば少なくともある程度の信頼関係が必要だろう。情報番組に慌しくチラッと出演するだけで、素顔大放出なんてサービスを求められても、アスリートは困惑するはず。また、「素顔は等身大の女の子」といった変換も、スポーツ選手としての評価から逸脱したゴシップ色の強い見方でしかなく、視聴者が選手を応援するうえで必要な情報だとは思えない。

 平昌五輪では女子カーリングも注目を集めたが、代表チームメンバーの美貌や「そだねー」という相槌、ハーフタイムの「おやつ(もぐもぐタイム)」など脇道に逸れるメディア報道も多かった。純粋に競技を楽しんでほしい、競技の認知度を向上させたい、という選手の思いはなかなか届かない。私たちは偉大な成績をおさめたアスリートの「等身大の素顔」に親しみを覚える前に、まずオリンピアンである彼ら彼女らへ敬意を払うことを大前提としなければならないだろう。

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