『あなたには帰る家がある』ユースケ・サンタマリアと木村多江が最高に気持ち悪い! 今期最もヤバいドラマ確定!!

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金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』公式サイトより

 4月13日より放送がスタートしたドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)。初回視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と一桁発進で、前クール『アンナチュラル』(TBS系)の初回12.7%からは数字を下げてしまったものの、ユースケ・サンタマリアと木村多江の想像を超える怪演で大きな反響を呼んでいる。第一話にして早くもドロドロの不倫がはじまるジェットコースターぶりで、続きが気になって仕方ない視聴者は多いのではないだろうか。

 『あなたには帰る家がある』は、直木賞作家・山本文緒(55)が1994年に発表した同名長編小説をベースに、ドラマ制作にあたって100人超の女性にリサーチしたという「いまどきの夫婦あるあるネタ」が散りばめられている。第一話では、夫婦関係がすっかり冷めきっている佐藤真弓(中谷美紀)と秀明(玉木宏)が、お互いの不満を共通の友人へ個々に漏らす姿に「あるあるネタ」が生かされていた。

 中谷美紀が演じる真弓は結婚してから専業主婦で、13歳になる一人娘(桜田ひより)が受験に合格して有名私立中学校へ進学したことで、かつて勤めていた旅行業界に復帰する。ただし10数年前の常識は、今は非常識。職場復帰したものの浦島太郎状態で、真弓は戸惑う。一方、玉木宏演じる秀明は、イケメンだが営業成績の良くない住宅メーカーの販売員。上司(藤本敏史)から業績についてチクリと嫌味をさされるダメ社員ぶりなので、「よくそんなイチ会社員が鎌倉周辺の広いマンションに住んで、専業主婦を養い、娘を私立中学に通わせられるな~」と思わずツッコんでしまう。やや非現実的な設定だろう。だが、ともかくも、この夫婦はお互いにささやかな不満を持っており、それはどこの家庭でもありふれた「ネタ」だった。佐藤夫婦の痴話喧嘩には、視聴者による「リアルすぎて胃が痛くなる」「何度この台詞を言ったことか」と共感の声が多くネット上に上がっている。

 しかし、『あなたには帰る家がある』から目が離せなくなるのは、「夫婦の『あるあるネタ』満載の共感ストーリー」だからではない。平凡な夫婦の日常が、異常な夫婦の介入によってとことん崩壊していく予感に、ゾクゾクするのだ。異常な夫婦というのはもちろん、ユースケ・サンタマリアと木村多江が演じる茄子田夫妻である。

 ある日、秀明が担当している住宅展示場のモデルハウスに茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)と妻の綾子(木村多江)が、二世帯住宅建設の相談にやってくる。素敵な奥さんふうに描かれているが、綾子の振る舞いが登場シーンから相当ヤバイ。綾子はモデルハウスに入るなり、従業員に過ぎない秀明を「夫」に見立て、台所に立ちながら「今晩のおかずなにがいい?」と初対面にも関わらず小芝居を開始!! 男勝り(という表現もアレだが)な真弓とは180度反対の慎ましくたおやかな綾子の小芝居に、秀明は即効で胸を打ち抜かれてしまう。キーワードは「メンチカツ」だ。

 そんな綾子の夫で、ただならぬ威圧的なオーラを放つ中学教師の茄子田太郎を演じるのは、もともとラテンロックバンドのボーカリストなのに際立つ演技力で日本の映像界になくてはならない存在になってしまったユースケ・サンタマリアだ。茄子田太郎は典型的なモラハラ夫で、初対面の秀明を即小物認定したのか、最初から高圧的な態度。妻のことも「俺の持ち物」としか思っていないような扱い方をする。しかも若い女性にだけは愛想が良くスケベ心を隠さないという男尊女卑の権化だが、無言で立っているだけでも不穏な気配を感じさせるユースケ・サンタマリアの佇まいは東西随一かもしれない。ユースケのサイコパス演技は2016年放送のドラマ『火の粉』(フジテレビ系)でも異彩を放って話題になったが、今回の役も『火の粉』の狂気を想起させる。

 その後、住宅購入をすすめるべく、茄子田家を訪問する秀明。古い民家で、太郎の父母も同居しているのだが、綾子は完全に小間使いだ。台所の床下にあるぬか床から漬物を取り出す綾子の尻を思わず凝視してしまう秀明に、すかさず登場した太郎が「好きなだけ見ろよ」と言い放つ瞬間は、視聴者も肝が冷えたのではないだろうか。

 綾子の色気に一目惚れしている秀明だが、太郎がヤバイ男だということも同時にわかっているはずなのに、何の警戒心も持たず欲望のまま綾子に突進していく秀明の間抜けぶりも面白い。根拠なく自尊心が高すぎる奴と見た。そして、自ら仕掛けているのか何らかのウラがあるようにも思えるが、綾子も秀明を思わせぶりな態度でどんどん蜘蛛の糸に絡めていく。

 真弓と喧嘩した秀明は、太郎に呼び出されたキャバクラへ赴き酔い潰れた挙げ句、茄子田宅で深夜に目覚める。綾子は彼を介抱し「苦しそうだったから」ズボンを脱がしてトランクス姿にさせているのだが、これもまた爆笑必至の場面である。秀明は欲望を抑えることなく綾子を抱き締め、キスの一歩手前までいくが、瞬間、廊下がきしむ音を立てる。我に返った秀明は逃げるように帰宅するのだが――運命のいたずらか、それとも誰かの計画なのか。後日、偶然に街中で綾子と遭遇した秀明は、ついにホテルへ向かい、肉体関係を交わしてしまった。それも佐藤夫婦の結婚記念日だというのに。第一話はここまでだ。

 第二話では、秀明の不倫疑惑を真弓が“浮気チェックリスト”を用いて探っていく模様。さらに太郎が真弓に「旅行会社の客」という立場で接近していく。秀明を巧みに誘導しているように見える綾子。秀明に綾子を寝取らせることに興奮しているように見える太郎。どちらも役者の怪演ぶりが奏功してキャラクターが際立っており、何をおいても第二話を見なければ、という気にさせられる。茄子田夫婦の言動から目が離せない。毎週金曜日が楽しみになりそうだ。

(ボンゾ)

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