妻が大黒柱になっていることをひた隠す夫のプライドに、我慢の限界

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Thinkstock/Photo by SIphotography

 高度経済成長期はとうの昔に終わり、モーレツ仕事人間の夫を専業主婦の妻が支えるなどという構図は崩れ去った。共働き世帯は珍しくなく、逆に妻が夫を支えている場合もある。だが、依然として男は家族を養い、妻は家庭を守るものという価値観だけが、しぶとく生き残っている。こうした価値観を押し付けられた女性トピ主が、発言小町で叫んだ。

夫を養うのをやめていい?

 トピ主(女性・年齢不明)の夫は自営業で、年に50万円も家に生活費を入れられない状態が10年以上続いている。トピ主の仕事は同年代の女性と比べると稼ぎが良いため、家計自体は問題ない。トピ主は働きながら社会人大学院にも通い、家事全般もしているという。

 そう、大黒柱のトピ主、仕事だけでなく朝夕の食事と休日の三食を作り、他の家事も全てやっている。仕事に大学院に家事に忙しく、毎日4時間程度の睡眠が続いているという。タフだなあ。

 だが、そのことを知っているのは夫婦だけ。夫は堂々とした体格と物言いから、周囲からは「仕事しながらとはいえ、学校へ行く自由を妻に与えている寛大な夫」と見られているようなのだ。もちろん大黒柱は夫で、自営業でちゃんと稼いでいると思われている。夫は(時々は)周囲に「仕事も家事も学校もこなす妻は偉い」と言ってくれるのだが、しかし義母にだけは「面子があるのか、そのようには言いません」。そしてトピ主も夫の恥になると思い、夫の稼ぎがほぼ無いことを義母に言っていない。

 夫婦で「そういうことにしておこう」と納得しているのなら家庭内でおさまることであり問題はないのだが、先日、トピ主の不満が爆発した。トピ主の論文がメジャーな学会で賞を取る事ができたので、親戚にその報告をしたところ……

「義母は嫌味ったらしく、『そんな賞を取ったところで、喰わせてもらいながら、さぞ家事は放ったらかしなんだろう、息子はそれでも怒らないんだから偉いわ』と周囲の親戚に言ったそうです」

 トピ主はその場にいなかったが、親戚を通じて義母の発言がトピ主夫婦の耳に入ってきた。それを聞いた夫は「妻の好きなことをやらせるために我慢している」と、親戚に言ったのだという。トピ主は憤慨している。

「情けない。男の面子とは、嘘をついて妻を悪者にすることですか。
私が学校に行っているのは今後の生活に必要だからです。学費だって夫にはビタ一文出してもらっていません。
夫が何かを我慢していたとしても、私が仕事で飛びまわる間、ゲームをしている夫を尊敬できません。
もう夫を養うのがバカバカしくなりました。なんで、夫を養って、面子も保ってやって、こんな事言われなきゃいけないんでしょうか?
私が選んだ夫ですが、離婚してもいいですか?」

という相談だ。

 夫が不倫している相談をすれば、いの一番に「離婚」をすすめ、また義母の介護を親戚一同から押し付けられているという相談をすれば、同じくいの一番に「離婚」をすすめるのが小町の流儀。やはり今回の相談も「離婚」一択であるというコメントが相次いだ。まあトピ主が「離婚してもいいですか?」とズバリ聞いているのだから、それもそうだろう。

「(夫婦の年齢が)おいくつかわからないし、子供の有無もわかりませんが、10年間そんな生活だったと言う事は、40代以上ですよね? 話し合いで多少は解決するように思いますが、離婚を視野に入れて、言いたい事を言う方が良いと思います。収入を増やして家計に半分入れてくれないなら、家事を負担してもらうとか、義両親には本当の事を本人から話してもらい、今後妻を侮辱するような発言はやめるよう言ってもらうとか。何も進展がなければ離婚でよろしいかと」

「サッサと離婚したら?」

「石の上にも三年と言いますが、何が良くて10年も我慢していたのですか? もう少し、自分を大切にした人生を歩んで下さい」

「離婚していいと思う」

「出来すぎる女はバカを見ます。離婚一択ですよ。あなたの人生は、そんな男と義母のために使い切ってしまっていいのですか? あなたのご両親は、そんな人生を送らせるためにあなたを育てたのではありませんよ。うじうじしていないで早く行動を起こして!」

「私が言うことではありませんが、いいですとも! トピ主さんはもう十分頑張りました」

「こんな状況でなぜ離婚しないのか不思議です」

 男性ユーザーからも「その義母も賞を取ったあなたにそれしかいえないなんて酷いですね。そんな夫とは離婚して良いと思います」と背中を押されている。確かに、親戚の前で家庭の内幕を明らかにはできなくとも、トピ主への感謝を口にできず、あろうことか「妻の好きなことをやらせるために我慢している」と言った夫はダサい。トピ主もそこにがっかりしたのだろう。ただ、コメントでエールを送られ、少し溜飲が下がったようだ。トピ主レスではこう綴った。

「お叱りをうけるものと思っておりましたが、思いもかけず皆様からたくさんのエールを頂戴しました。
出社前にここを見て、感謝の気持ちでいっぱいです。
幸い、子供はおりません。
夫の『我慢』はもしかすると、(トピ主が)仕事上の都合でずっと旧姓を使っていることへの不満かもしれません。
件の受賞も旧姓のまま発表しましたので、そもそもが不満なのかもしれません。
離婚について、知り合いの弁護士と相談しますが、収入が低いことを離婚理由にするのは難しいかもしれません。
まずは、弁護士と相談の上、根拠を固めてから夫との交渉に挑みたいと思います。
ありがとうございます」

 ああ~、あるある。夫婦別姓を許容するしないの議論で、「結婚で夫の姓に変更すると仕事上の不利益を被る。論文など旧姓時代の成果が同一人物のものとして扱われず、功績が無になってしまう」という女性の話は多いのだ。

 トピ主は自分が「旧姓を使っている」ことで夫に我慢をさせていたのではというが、しかしいまどき、戸籍上は夫の名字だが仕事では旧姓のままという女性は珍しくもなんともない。そこに不満を持つ夫、ものすごく了見が狭いのではないか。ちょっと驚いた。

 「もう確認の必要もないぐらい離婚がベストチョイスだと思われます」と離婚を進めるコメントが続く中、そんな夫といままで夫婦としてやってきたことへの疑問や、親戚に反論しない理由を問うコメントも書き込まれ始めた。

「『好きなことをやらせる』って、ソレで稼いでいるのでしょう。『我慢している』って、家事はむしろ夫が率先してやるべきでしょう。
この件で、夫はトピ主に謝罪したのでしょうか。まさか謝罪がない? それならトピ主さんは夫と話し合いをしなかったのでしょうか。だったら、もう完全に仮面夫婦ではないですか? なぜ一緒にいるのか神経がわかりません。夫はわかりますが、特にトピ主さんの側の心理が理解不能」

「どうして、『家事はこなし、学費は自分でだしています』と、夫が発言する前に反論しなかったのでしょうか? トピ主さんが、義母さんを交えた話し合いで発言できないほど大人しい性格なら、真実は他人には分かりません。今まで、構ってもらうことはなく、余計な事は話してないから、夫さんも義母さんも変わらないのです」

 夫は夫でプライドがあるのだろうが、せめて家事をやればいいのにと思う。また、同じように自営業の夫を支えているという妻の立場からのコメントもあった。

「私も似たようなもので、私は夫の倍の稼ぎで、子供二人を扶養しています。夫は、子育てのために仕事をセーブしている、と周囲に言っています。実際は家のことや子供のことなど全くやらず、仕事は楽したい、そこそこの暮らしはしたい、ただの怠け者です。そんな夫でも離婚しないのは、単に面倒だから。
私は仕事、子育て、家事でとても忙しく、離婚の諸々の手続きに向けるエネルギーがありません。いないと思っていれば、さほどストレスでもなく、自分のペースで暮らせます。
離婚するにしても、資産財産は折半ですよ。あなたが築いたものが、持って行かれるんです。
世の中うまくいきません。でも、誰かは必ず本当のことを見ているはずです。その人が理解してくれていれば、少しは報われますね」

「同じく自営業妻、かつ生活費を碌にもらえない立場として言わせて頂きますと、『別れるなら1日も早く、思い立ったが吉日!!』ですよ。これに尽きます。自営業夫(ひとくくりにするな、というご批判は甘んじて受け入れます)は、一国一城の主であるが故に家庭でも態度が大きく、特に妻に対してぞんざいな態度を取りがちなんですよねー…。
生活費をほとんど入れてもらえず、妻であるご自身が(私も含め)屋台骨となって家事全般、生活費の工面、親戚付き合い諸々を仕切らないといけない状況に心が折れそうになった事は今まで何度もあろうかと思います。
夫の自営業も業績が好転するか否か見通しが立たないまま、先の見えないトンネルを歩くのは疲れますよね。
もう、やめにしませんか。幸いにも大黒柱妻様は、ご自身の業績で受賞もされ、自分の足でしっかり立つ土台を構築されていらっしゃる。
ここで肩の荷を下ろして、一度身軽になって歩き始めてもいいと思うんですよ。
私はそこまで自分の足元を固めるに至っておらず、どうすれば現状を打破できるか思いあぐねていますが、主さんは違う。だからこそ、自由になってほしいです」

 とはいえ、たとえトピ主が離婚を切り出したとしても、夫が拒否して調停や裁判などにもつれ込んだ場合、夫の稼ぎが悪いことは離婚事由として認められにくいという。トピ主は弁護士に相談したとして報告を書き込んだ。

「週末に弁護士と相談してみました。結果、当初、私が危惧していたとおり、低収入だけでは離婚に持ち込むのは非常に難しいそうです。
また、第二の問題である義母に対する嘘も、夫が『悪かった、本当のことを話す』と態度を変えたとたんに、離婚に持ち込めなくなりそうです。
しかも、夫は時々は、周囲に『仕事も家事も学校もこなす妻は偉い』と言うのは事実ですので、普段から私をないがしろにしているわけでもありません。弁護士には、『もっと強力な離婚希望に至る理由を考えてください』と言われました」

 なるほどなぁ。それにそもそも、トピ主は、夫が低収入なことに対して強い不満を抱いているというわけではないのだろう。トピ主が「男のくせに」という価値観で夫を責めるようなところは、これまでの文章から見えてこない。離婚したい理由は、結局、トピ主の死に物狂いの頑張りを夫が労うどころか、周囲にひた隠して体裁を保とうとしていることに堪忍袋の緒が切れたところにあるのでは。

「皆様が書かれたとおり、夫の『我慢している』発言の際に、私がしっかり言い返せばよかったのだと思います。
ただ、ご理解ください。あまりの怒りに言葉も失い、頭の中で『嘘つき!! 離婚!』だけになってしまいました。
私が本当に望んでいることは『離婚』なのか?『発言の撤回』なのか? 少し冷静に考えようと思います」

 仮に夫が発言を撤回しても、夫自身は「自分で稼げず、妻に養ってもらってるなんてダサい」と思っているのだろうから、まず義母や親戚に対しての態度は変わらない。家事も丸投げなのに「妻を好きにさせてやっている寛大な夫」と嘯く限りは、トピ主の中で静かな怒りの炎が燃え続けるだろう。

 トピ主も、もう「自分が夫を養っていますけど、何か!?」と宣言しちゃっていいのではないか。こうして妻に収入があっても夫が養っているように見せかけなければならないなんて、本当にくだらない。男の沽券とやらにこだわっていたら、多様な生き方とか多様な価値観など根付きそうにない。

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