『あなたには帰る家がある』木村多江の魔性と中谷美紀の純真、不穏な空気が漂いすぎてつらい!

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『あなたには帰る家がある』Instagramより

『あなたには帰る家がある』Instagramより

 今期最も恐ろしいドラマといっても過言ではない連ドラ『あなたには帰る家がある』(TBS系)第2話が放送されました。初回視聴率は9.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と一桁発進でしたが、その注目度は数字では測れません。だって、ユースケ・サンタマリアと木村多江があまりにも怖すぎるんだもの!!! 第1話のラストで早くも不倫の肉体関係を結んでしまった木村多江と玉木宏。翻弄される無能営業まん、正義感の妻、魔性の人妻とサイコパス夫の不穏な四角関係はとっくに走り出しているのです。

 『あなたには帰る家がある』第2話は、十三回目の結婚記念日である「13日の金曜日」に、初めての不倫をしてしまった夫・佐藤秀明(玉木宏)が帰宅するところから始まります。年下夫・秀明の好物であるメンチカツを揚げて待っていた妻・真弓(中谷美紀)はプリプリ。秀明は17時には帰るよと連絡していたのに、その後連絡が途絶え19時過ぎの帰宅となったので、怒るのも無理からぬところ。その間、秀明は綾子(木村多江)と行為に耽っていましたしね。というわけで第2話にして早くも浮気がバレそうになる展開です。

 中谷美紀が演じる真弓は結婚してから専業主婦、13歳になる一人娘(桜田ひより)が有名私立中学校へ進学したことを機に、かつて勤めていた旅行業界に復帰しました。玉木宏演じる秀明は、営業成績の低い住宅メーカー社員です。でもどういうわけか羽ぶりは良さそうに見えるのですが(佐藤家に節約感はゼロ)。この夫婦のささやかな痴話喧嘩(主に家事分担をめぐる)はリアルであるあるなのですが、そんなことはさておきと言いたくなるほどの存在感で迫ってくるのが、ユースケ・サンタマリアと木村多江が演じる茄子田夫妻です。

 茄子田夫妻は、秀明が担当している住宅展示場のモデルハウスにやってきた顧客候補。茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)と妻の綾子(木村多江)は、一人息子と太郎の両親で古い家に暮らしており、二世帯住宅建設の相談にやってきたのです。登場から綾子はすごかった。モデルハウスの広々したキッチンに立ち、初対面の秀明を「夫」に見立てて「今晩のおかずなにがいい?」と小芝居を開始しちゃうんですから、「この女、行かれてる!」と視聴者は思います。でも秀明は思わないんです。楚々とした雰囲気をまとう綾子にほぼ一目惚れ。

 綾子の夫である太郎は、今時珍しいぐらいの男尊女卑な感覚を持つ中学教師。服装がまた絶妙に「いるな」と思わせる中年中学教師風で、しかも現存するのかはわからないある種の懐かしさ、つまり30〜50代くらいまでの視聴者にとっては「いるな」なんですが現役中学生には「?」かもしれない感じ。そんなスタイリングも含めて、ユースケ・サンタマリアの演じる「モラハラ夫」は最高に最強で最狂です。そのおかしさは第2話でも炸裂しました。

 真弓の勤める旅行会社の若い女性社員(トリドンル玲奈)が、顧客からあまりにひどいセクハラを受けているということで、真弓が担当を代わることになったのですが、そのセクハラオヤジというのがズバリ茄子田太郎です。修学旅行のプランニングで旅行会社を利用しているというわけですね。太郎は勤務時間外(夜間)でも平気でサービス担当者を呼びつけるクレーマータイプ。初回は秀明を行きつけのスナックに来させて酔い潰しましたが、今回は真弓を呼び出し飲ませます。

 しかし真弓は、威圧的でどう見ても怖い(怒らせると手がつけられなさそうという意味)太郎を前にしてもひるまず、いや酒のせいかもしれませんが、太郎の暴言に怒って啖呵をきるのです。

 太郎はこう言いました。

「女ってのは綺麗にしてニコニコしてないと。それが女の務めだろう」
「俺なんかうちの奴に1日6品作れって言ってるの。世の中にゃあ前の晩のおかず平気で出す嫁がいるっていうんだから信じらんないよ」
「男がどんな女に興奮するかの順番ね、まず一番目が、盗むこと。人妻や他の男の物をね。その次が使用人、3番目が愛人、その次が商売、で5番目が妻だって。うまいこと言ったもんだろ」
「真弓ちゃんさあ、そんな可愛げのない顔ばかりしてると、旦那に抱いてももらえないよ」

 秀明とは長いことセックスレスの真弓、堪忍袋の緒が切れました。一気に反論を畳み掛けます。

「妻は5番目? はあ。そうですか」
「抱いてもらえなくて結構、ほんっと妻なんて何んもいいことない。ふざけんな!」
「毎日仕事と家事で走り回って、育児もして、それでいて若い女にに負けないように綺麗でいろ? 笑顔を絶やさず女でいろ?」
「そんなことできるかできるわけないだろ! 女に一体いくつの役割押し付けんだ、そっちがやってみろ!」
「仕事も家事も育児もして、他の女によそ見せず優しくしろ、妻をないがしろにするな、妻の気持ちを少しぐらいわかれ!」
「まずはあんたらがやれ、そしたら6品でも10品でも懐石料理でも何でも作ってやる!」

 スカッとジャパンですかね? 真弓の真面目ぶり、純真さ、貞操観念がよくわかるセリフたちです。真弓は秀明への13年間の不満(家事育児を妻任せにしすぎ)が溜まっていた上、浮気にも薄々感づいており、デートの約束もすっぽかされて、もう鬱憤たまりまくりでした。そんなところに太郎の挑発的な文句が投げられたわけですから、爆発するのも仕方ありません。で、そんな風に爆発して酔いつぶれちゃった真弓を自宅まで送ったのは……他ならぬ太郎の妻、で秀明の想い人、綾子でした。イヤ〜やめて〜!

 しかし太郎の持論を聞くに、太郎が自ら、妻の綾子に秀明という若い男(作中では30代後半で男盛りと表現されています)を誘惑するよう命令しているようにも感じますよね。いわゆるNTR、他の男に妻を寝取られることでゾクゾクしちゃうって性癖です。といっても茄子田夫妻は肉体関係が今もあり、綾子が布団へ入って太郎が「おい。おーい」と声をかけると、綾子は静かにパジャマを脱ぎ、求めに応じる描写がありました。これって前戯なしの挿入だけして射精するだけの行為なんだろうなあと思わせるそれですね。綾子に断る資格はない、その権利を完全に奪われている状態に見えます。ただ、綾子もそれを望んでいる可能性もあり、現時点ではなんとも言えません。太郎が異常……と見せかけて、実は全てが綾子の掌の上だったなんて展開も、あるんじゃないでしょうか。

 さて綾子に振り回されているといえば秀明。真弓と久々のデートの約束をしたのに、綾子から着信があればあっさりすっぽかし、しかし綾子が太郎と一緒だったとわかるとあからさまに落胆。「一回こっきりなのかなあ」と綾子との情事を思い返してはため息をつく日々。秀明は真弓と交際する際、「この女性を僕が幸せにしたい」と思ったそうなんですけど、持論ですが、「女を幸せにしたい」という男の人は結構おかしいと思うんですよね。悪い人じゃないんだけど、ズレてる。「男に幸せにされたい」という女の人とぴったり合致すれば良いのかもしれませんが、真弓はどうもそういう感じではありませんし……この夫婦は最終回まで離婚しないのかしら。

 まあまだ2話ですし、最終回の予想をするなんて気が早すぎます。今を精一杯楽しめばいいじゃない。今回ラストは、悶々とする気持ちを追い払って家族を大事にしていこうと秀明が決意した矢先、偶然なのか作戦なのか、本屋で綾子に遭遇。彼女を「奥さん」と呼び、あくまでも顧客候補である茄子田太郎の妻として扱おうと努める秀明に、綾子は潤んだ瞳で切なげに訴えるのです。

「私、佐藤さんの家庭を壊すつもりもない。だから時々でいいの。『奥さん』なんて呼ばないで。名前で呼んで」

 うーん、衝撃。綾子の誘惑に、秀明は抗えそうにありません。誘惑って、豊満な胸を触らせたり美脚をチラリズムすることじゃないんですよね、全然。

 次回第3話では、茄子田太郎が秀明と真弓を「家族BBQ」に誘い、不可思議な合同BBQが開催されることに。予告映像ではなんと、周囲の目を盗んで綾子が秀明にブチューッとキスをするシーンが……綾子、本当に凄すぎるから!!!!

(hin-nu)

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