エンタメ

『ブラックペアン』で二宮和也が魅せた迫力…サディスティックな人物像が見事マッチ!!

【この記事のキーワード】
『ブラックペアン』公式Instagramより

『ブラックペアン』公式Instagramより

 嵐の二宮和也が主演する医療ドラマ『ブラックペアン』(TBS系)の第1話が422日に25分拡大版で放送され、平均視聴率は13.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調な滑り出しを見せた。原作は、フジテレビ系列でドラマ化・映画化もされた『チーム・バチスタの栄光』などのヒット作家・海堂尊氏の小説『ブラックペアン1988』で、『チーム・バチスタ』以前の時代に東城大学病院で起こった事件を描いている。冒頭から緊迫した場面で視聴者をグイグイ引き込んで離さないスリリングな演出、そして「さすが!」と唸らせる二宮和也の演技力は圧巻だった。第1話を振り返ってみよう。

第1話あらすじ~血飛沫の手術室~

 二宮和也が演じるのは、東海地方にある私立東城大学医学部付属病院の外科医・渡海(とかい)。総合外科学教室(通称・佐伯外科)のヒラ医局員だが、天才的な手術の腕を持ち、手術成功率は100%。ほとんど仮眠室で生活している。手術室には執刀医でなく“助手”として入るが、難しい局面に陥れば執刀を交代し見事に成功させてしまう。

 総合外科学教室の研修医(一年目)である世良(竹内涼真)がストーリーテラーとなり、物語はスタートした。舞台となる東城大学病院には、天才的な手術技能を持つ心臓外科の権威・佐伯教授(内野聖陽)のオペを求めて、世界中から多くの患者たちが集まってくる。そこに割り込むのが、国立の超一流大学病院である帝華大学病院のエリート医師たち。帝華大は最新医療用機器「スナイプ」によって、佐伯教授にしか為し得ない、人工心肺を使わず心臓を動かしたまま手術を行う“佐伯式”を「誰でも出来る術式」として広めようとしている。

 帝華大側の言い分は、「佐伯教授の腕は確かだが、イチ地方の職人に過ぎない。あんな男に日本の医療の未来を託すわけにはいかない」。それももっともで、佐伯教授が病気や事故で、あるいは加齢で今と同じ水準の手術が出来なくなる可能性はいくらでもあり、後継者も育っておらず佐伯式の技術を広める手筈も整っていない以上、佐伯教授頼みの東城大学病院はなんだか間抜けに見える。

 しかし一方で、科学技術の力を過信しすぎる帝華大にも問題がないとは言えない。第1話では、帝華大が刺客として東城大学病院へ送り込んだ新任講師・高階(小泉孝太郎)が持ち込んだ最新医療用機器「スナイプ」の使用に関する悶着がメインとなった。ちなみに高階は、『チーム・バチスタ』では東城大学病院の院長にのぼりつめている。

 高階は、世良が担当する高齢の女性患者・皆川(山村紅葉)の手術への「スナイプ」使用を提案。佐伯教授は、自身と渡海が助手に入ることを条件に承諾したが、渡海は高階に「今回の手術で私が途中で代わるなんて事態が起きたら、彼に辞表を書いてもらいます」と要求、高階も「スナイプでの手術が成功したら渡海は病院を辞めるべき」と言いだす。お互いに譲らず火花を散らす、渡海と高階。

 そして手術当日、渡海は海外で「スナイプ」使用手術での死亡例があるという事実を高階に突きつけ、「お前そのおもちゃ持って出て行け。それ人殺してんだろ?」と詰め寄る。しかし佐伯教授はスナイプによる手術続行を指示。手術は成功したが……かのように見えたが、皆川の容態は急変。内蔵が破裂し、大出血を起こしていた。原因は、高階がCTの検査結果をきちんと確認していなかったことにある。高階は心臓しか見ておらず、患者の全身状態の把握を怠った。皆川にスナイプ使用の手術をすればこうなるであろうことを渡海も佐伯教授も予想しており、だから渡海は執刀を代わると言い、だから佐伯教授は「スナイプで続行」と指示したのだった。

 高階はショックを受けるが、渡海は「この婆さん殺したらお前死ね。辞表書くか? お前の退職金で助けてやる」と痛罵。皆川と信頼関係を築いていた世良が、「いくら払えば助けてくれるんですか? 僕の患者です!」と土下座したことで渡海はオペ室に戻り、皆川を救命したのだった。うーん、渡海センセイまるでブラックジャック。

 第1話から多くの開腹手術シーンが描かれたが、どれもこれも血飛沫がビューッと飛び散る壮絶さで、グロ耐性の低い視聴者にはしんどいシーンも多かったかもしれない。「渡海先生が何とかしてくれる」にしても、血まみれでパニック状態に陥っている手術室は衝撃度が強かった……。

悪魔というより小悪魔的な二宮和也「ケケケケ」

 原作では新人の世良が主人公かつ狂言回しで、渡海は魅力的な脇役の一人にもかかわらず、ドラマでは渡海にスポットを当てた。それだけ渡海のダークな存在感が面白いということなのだろう。そして渡海を演じる二宮和也が、見事にキャラクターの魅力を際立たせている。

 まず渡海が最初に登場するのは、冒頭、佐伯教授が執刀中に別の特別室患者が急変し緊急オペが必要になり手術室がピンチを迎えるところだった。緊急オペを担当したのは佐伯教授の一番弟子である横山医師(岡田浩暉)だが、ミスをして窮地に陥ってしまう。そこへ現れたのが、“オペ室の悪魔”と呼ばれる超凄腕医師・渡海。渡海は、横山に対して「辞表書けよ。お前の退職金、一千万で、(手術ミスを)揉み消してやるよ」と言い、横山がYESの意思表示をしたところで執刀交代、テキパキ指示を出しあっという間に縫合を終える。

 淡々と、ひたすら淡々と手を動かす渡海。さらに“佐伯式”での手術も「はい、やるよ」とサラッとやろうとし、周囲を圧倒する。手術中は大きなマスクをしており、目の演技が重要になってくるが、二宮和也の“目”は、まさに口ほどに物を言う。与えられたキャラクターの設定ももちろんだが、彼自身が放つ威圧感はその小柄な体躯に似つかわしくないほど重い。

 また、渡海の口癖は「邪魔」。手術室でも、仮眠室でも、患者の病室でも、クールに「邪魔」。手術以外の場面では悪魔というより小悪魔的で、セリフの語尾に「ケケケケ」という笑い声が付随しているわけではないのに、「ケケケケ」と空耳が聞こえてきそうだ。平凡なフリーターやサラリーマンも馴染むが、クセの強い男を演じさせれば二宮和也はさらに活きる。

 派閥争いのある大病院に、型破りで傲慢な金にうるさい天才外科医……という構図だけを見れば大ヒットコンテンツ『ドクターX』(テレビ朝日系)をはじめとした医療ドラマと同じではあるが、結局のところ、痛快医療エンタメは面白いのである。なんと次週29日放送の第2話も25分拡大版ということで、TBSも相当な気合を入れている『ブラックペアン』。高階はまだ完敗したわけではなくこの先もガンガン東城大学病院をかきまわしていき、佐伯教授もウラがありそうな存在、渡海はただの変人ではなくある目的のもとに上記のようなスタイルで仕事をしているようで……ここから三カ月、最終回まで見逃せない。

※第1話はTBSオンデマンドParaviでも配信中

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。