
記者会見での山口達也
TOKIOの山口達也(46)が強制わいせつ容疑で書類送検されたことを報じるにあたって、多くのテレビニュースや新聞が「山口達也メンバー」という呼称を使った。示談が成立しているとしても、検察の取調べがまだ行われておらず起訴するか否かの判断が出る前という段階であるため、一般的には山口は被疑者(容疑者)の立場。であれば一般的には「山口達也容疑者」と表しても特に間違いではないが、なぜか。
この点について民放各局でTBSだけが明確な説明をした。いわく、「TBSでは書類送検された場合、原則的として実名報道はしておりません。ただ、今回は、著名人であり、社会的影響が多いことから実名報道をしております。また、すでに和解が成立しているため容疑者という呼び方はなくメンバーと伝えております」。
「メンバー」呼びといえば、2001年8月に稲垣吾郎(44)が公務執行妨害と道路交通法違反で現行犯逮捕されたときの報道である。当時、稲垣吾郎の逮捕は同じようにテレビ各局のニュース番組で報じられたが、<「SMAP」の稲垣吾郎メンバー><稲垣メンバー>と呼称されていた。
「メンバー」だけではない。2005年1月、小泉今日子(52)が、東京都目黒区の路上に止めていた新聞配達員のミニバイクに運転していた車を当て逃げした容疑で書類送検された際、テレビ報道は<小泉今日子タレント>という謎の呼び方をした。 2007年、布袋寅泰(56)が町田康(56)を暴行し傷害容疑で書類送検された際には、一部メディアが<布袋寅泰ギタリスト>と珍妙な呼び名で事件を報道した。
これらはあまりに不自然すぎたためか、一昨年12月にNONSTYLE井上裕介(38)がタクシーに当て逃げ(ひき逃げと過失運転致傷の疑い)し書類送検された事件の際は<「NONSTYLE」井上裕介さん>と呼ばれることが多かった。
現在は芸能界を引退し沖縄で悠々自適な暮らしを送るが、かつて芸能界と頂点に立っていた男・島田紳助(62)が、傷害事件を起こして書類送検された時は、報道各社の見解がわかれた。島田紳助は2004年に勝谷誠彦の女性マネージャーの態度に腹を立てて暴行、全治1週間の頸椎捻挫を負わせた暴行傷害容疑(傷害罪)で書類送検されたが、一部のメディアが<島田紳助所属タレント><島田紳助司会者>という不思議な呼び方をした。一方で<島田紳助容疑者>と伝えたメディアも少なくはなかった。島田紳助は容疑を認め略式起訴されており、有罪判決を受け罰金30万円を命じられた。
ただ、前述のように“逮捕”されていても稲垣吾郎は<メンバー>だったのに対し、草なぎ剛(42)は<容疑者>だった。2009年4月のある深夜、東京都港区の公園で泥酔して全裸になり一人大騒ぎしているところを通報され、公然わいせつ容疑で現行犯逮捕された草なぎ剛。このときNHKニュースなどでは<草なぎ剛容疑者>と報道した。当時の世論として「違法薬物にも手を染めているのでは」と疑う声が大きかったことも影響していたかもしれない。しかし家宅捜索の結果、草なぎの疑いは晴れた。仕事への影響は約一カ月の謹慎で済み、その後も変わらぬ活躍を続けている。