山口達也の強制わいせつ事件、真相を巡り詳細すぎる報道を続けたフジテレビ

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4月26日、記者会見での山口達也

 TOKIOの山口達也(46)が強制わいせつ容疑で書類送検された事件で、425日にNHKの夕方のニュース番組が第一報を報じてから、複数の報道が錯綜した。もっとも詳細に報じ続けてきたのが、フジテレビの『FNNプライムニュース』だった。

 『FNNプライムニュース』はフジニュースネットワークの報道番組。平日11時半~55分の『FNNプライムニュース デイズ』(週末は1150分~12時)、平日1650分~19時の『FNNプライムニュース イブニング』(週末は17時半~18時)、夜2340分~翌025分までの『FNNプライムニュース α』(金曜は010分~055分)の、三つの時間帯でニュースを伝えている。

 山口達也は426日午後14時から記者会見をおこなったが、その前に放送された『FNNプライムニュース デイズ』では、事件の概要について詳報。それによれば、<山口達也は呼び出した女子高生二名が部屋に入るなり卑猥な言葉をかけ、二人は驚き立ちすくんだ><17歳の女子高生の顔を舐めたり、無理やりキスをした><「何もさせないなら帰れ」と怒鳴った>ということだった。また、<被害者の女子高生は帰宅した後、親に伝え、関係者がNHKに抗議><両親が警視庁に被害届を出した>とも伝えた。

 この内容について、山口達也が記者会見で質問を受ける場面もあった。記者の「『このまま何もしないなら帰ってください』という言葉を女性にかけた記憶はありますか?」という質問に、山口は「そこもちょっと、申し上げることはできません。ごめんなさい」と返していた。

 さらに同日、『FNNプライムニュース イブニング』では、警視庁記者クラブから最新情報を伝える報道記者と中継し、新事実が発覚したと速報。<新たな情報として、事件の当日、山口メンバーの自宅には山口メンバーと女子高生と友人のほか、もう1人の男性がいたことがわかった><男性と山口メンバーとの関係や事件とのかかわりなどは不明><会見で山口メンバーはこの男性について触れておらず、食い違いが生じている>と伝えた。

 この速報を受け、会見で山口達也が「他に同席者はいなかった」と説明していたこととの矛盾から、誰かをかばっている・かばわされているのではないかという憶測がネット上で急速に拡散した。また、今年3月末と4月に退所したジャニーズJr.を「口封じだったのでは」と事件に関連づける声まで出てきた。

 しかし、その晩の『FNNプライムニュース α』では「もう1人の男性がいたとの事実はありませんでした」と撤回。誤報を認めて謝罪した。明らかにスクープ狙いの勇み足だったようだ。

 また、事件詳細を伝えることにも疑問がある。もちろん多くの視聴者の関心ごとであり、情報を伝えることは重要だが、被害者がいるうえ未成年に対する性犯罪であるにもかかわらず、事件現場の詳細を大々的に報じることは、余計な好奇心を煽りはしないか。

 さらにフジテレビの情報番組『直撃LIVE グッディ!』も、非常識かつ無神経な取材方法で突撃していた。同番組のスタッフ公式Twitterアカウントが、425日に逮捕の一報が出た直後から、山口達也が出演していた番組であり、被害女子児童と知り合った仕事と見られている『Rの法則』(NHK Eテレ)出演者のアカウントに片っ端から取材申し込みのリプライを送りつけたのだ。被害者および事件の関係者を探す意図だろう。

 この事件はまだ書類送検されたばかりで、検察の取調べに入る前の段階。現時点で全てを明らかにするのは困難であり、また、現場で何があったかを公表する必要性もあると言えるのか。山口達也はすでに記者会見を終え、無期限謹慎となっている。あとは検察の仕事だ。

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