白斑のスーパーモデル、ウィニー・ハーロウ〜新たな「美」を突きつける

文=堂本かおる
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winnie harlowインスタグラムより

 アメリカのコスメ・ブランド、カヴァーガールが「白斑」のモデルをCMに起用した。

 CMに登場するエイミー・ディーナは白斑の症状を持つ黒人のモデルだ。白斑は皮膚の一部の色素が抜け、真っ白になる病気。人種を問わずに発症するが、地肌の色が濃いほど色素が抜けた部分との対比が目立つ。故マイケル・ジャクソンも白斑だったと言われている。

 これまで白斑の症状を持つ人のメイクアップは地肌と同色のファウンデーションで白くなった部分を塗り、白斑を隠すものだった。ところがエイミーはブラウンの部分にはブラウンの、白くなった部分には明るいベージュのファウンデーションを使い、白斑をそのまま活かして仕上げている。

 カヴァーガールは過去にも「コスメ・ブランド史上初の男性モデル」を起用(*)するなど斬新なCMを制作することで知られるが、今回のCMも白斑を持つ女性への、かつてない大胆な提案となっている。

(*)いつまで「25歳」に捉われる? 日本のコスメCM vs. 革新を目指すアメリカコスメCM

ウィニー・ハーロウ:白斑のスーパーモデル

 白斑モデル起用の背景には、同じく白斑のモデル、ウィニー・ハーロウの活躍がある。

 ウィニーは今、ELLE(UK版)とハーパースバザー(シンガポール版)の最新号の表紙を同時に飾っているが、過去にもELLE(カナダ版)、グラマ-(UK版)、サンデー・スタイル(オーストラリア版)、マリークレール(メキシコ版)、ロフィシェル(イタリア版)など、世界中のファッション雑誌の表紙となっている。

 各地のファッションショーでランウェイを闊歩しては、その存在感を示し、ショーのリポート記事の見出しに「ウィニー」の文字が踊る。ショーの合間には人気アーティストのビデオ・クリップにも出演する。ビヨンセのヴィジュアル・アルバム『レモネード』に収録の『フリーダム』、エミネム『Guts Over Fear』などでウィニーを見ることができる。

「うつるから一緒に遊ばない」

 ウィニーの本名はシャンテル・ブラウン-ヤング。1994年にカナダのトロントで生まれたジャマイカ系カナダ人だ。4歳で白斑が出始め、以後、学校で「ウシ」「シマウマ」、さらには「うつるから一緒に遊ばない」などといじめられる辛い日々を送る。それでも子供の頃はバレリーナに憧れ、やがて10代となってジャーナリストを夢見るようになる。

 ところが2014年、インスタグラムに上げた写真が元スーパーモデルのタイラ・バンクスの目に留まり、バンクスが仕切るモデル・コンテスト番組『America’s Next Top Model』に出演。優勝は逃したものの、視聴者投票で人気を集め、スペインのファッション・ブランド、デシグアルのオフィシャル・モデルに抜擢。以後、ロンドンに居を移し、スーパーモデルとしての活躍が続いている。

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