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演劇界の至宝・吉田鋼太郎がヒロイン役にぴったり! 面白くも切ない『おっさんずラブ』の素晴らしさ

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 劇中、吉田は実に巧みに<上司>と<乙女>の顔を使い分けている。頼りになりリーダーシップもある上司の顔。その一方で一話から惜し気もなくブッコんできたのは、可愛く、可憐で乙女度満載のヒロインとしての顔だ。いつものあの張りのある太く大きな声で(ときには吉田の声が大きすぎて、マイク越しの声が割れる事態になりながらも)、春田に全力で恋する<黒澤部長>を演じているのだ。キュンだ。もうこれはキュン以外の言葉が見当たらない。ただただ人が人に恋して必死に想いを伝えようとする様子を、吉田は見事にドラマのヒロインになりきって演じているのだ。あぁ可愛い、なんて可愛いの吉田鋼太郎。いや黒澤部長!

 吉田の想像をはるかに超えるヒロインぶりはさておき。筆者は主演の田中圭にもかなり感激している。これまで多くのドラマで田中を観てきたが、大変申し訳ないのだが筆者としては大きく印象に残るものはなかった。だが、今作の田中はすごい。演劇会の至宝である吉田の胸を借りる、というよりは、まさにがっぷり四つなのである。田中からはいい意味で「俺が主演なんだ!」というギラギラしたエネルギーがほとばしっており、その暑苦しさがまたとってもいい。「そうか、田中圭ってこんなにも演技が上手な人だったのか」と初回を鑑賞した際、ひとり静かに感動したものだ。

 全力の変顔と(ときにパンサーの尾形かと見間違ってしまうような)オーバーリアクション。33歳でやってきた突然のモテ期に戸惑いながらも、徐々にそれを理解し、少しずつ人間味を深めていく様子を見事に演じている。この田中と吉田の演技合戦に、林遣都が絶妙に絡んで――。キュン度のスピードは加速していくばかりだ。 428日に第2話が放送されたばかりだが、筆者はもう来週の土曜日が待ちきれないまさに『おっさんずラブ』中毒状態である。

 役者陣の演技合戦も見どころだが、徳尾浩司氏の脚本も素晴らしいし、メロドラマ感を盛り上げる音楽も非常に効果的だ。恋愛とは男女間、つまりヘテロセクシュアルの人だけに許されたものでは決してないことを、このドラマは小難しい講釈なしで心にすんなりと印象づけてくれる。捧腹絶倒のコメディながら、人を愛することと生きることの楽しさを再認識させてくれる素晴らしいドラマだ。

(エリザベス松本)

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